激しく打ち付ける雨が上がった隙に外へ出た。
とんでもない蒸し暑さ。体が嫌がってる。
皐月の植え込みにニョキニョキ新芽を出したのは笹の葉。
雨粒をたっぷり乗せて、両手を大きく開くように伸びている。
「ささのはさ〜らさら」と 音と言葉が脳裏に浮かぶ。
そうか、明日はもう七月。七夕が近いんだ。
歌詞は「のきばにゆれる」と続く。
軒のない家も増えた。まして笹の葉が揺れる軒端なんてそうはない。
歌詞はさらに「お星さまきらきら金銀砂子」と続く。
「きんぎんすなご」の意味を知らないで歌っていた。
今は金箔銀箔の微粉とわかる。日本画の画材。
空の星がそんな風に見えたんだろうね。
東京にはそんな空はない。
笹の葉の揺れる軒も砂子のような星空もない。
それでも笹の葉を見ると歌詞が浮かび、天の川を微かに思い出す。
音楽って、体の真ん中に残っているもんなんだね。