南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

もしもジャック・バウアーがバンコクに出かけたら

2006-11-30 02:12:34 | アジア
本日、バンコクからシンガポールに戻ってきました。二泊三日
の旅でした。上の写真は、この間オープンしたばかりのバンコ
クの新空港の様子です。お店がいっぱいあって奇麗ですが、
ガラスばりの外壁は、汚れが目立ってしまっています。こんな
にガラスを使っていると掃除が大変なのですが、ひょっとした
ら作ったはいいけど、掃除まで手が回らないのかもしれません。

この旅に出る前に、ビデオでドラマの『24』のシーズン4を
見終わりました。シーズン1から3まで見てなくて、いきなり
シーズン4だったのですが、見出したらやめられなくなり、出
張の前日の日曜の夜に最後まで見終わってしまいました。今は
日本の皆さんはシーズン5の話題になっているので、今頃、4
を見た話しはちょっと時代遅れかもしれません。でも私は海外
におりますので、大目に見てください。

バンコクを旅していて、『24』のジャック・バウアーの姿が脳
裏にちらついてしかたがありませんでした。タイは、全体的に
のらりくらりしているので、『24』の世界とは全然違います。
時間がゆったりと流れ、すべてがアバウトで、細かいことは気
にしないという世界なので、シンガポールに比べてもかなりの
ギャップを感じてしまいます。

もし『24』のジャック・バウアーがバンコクに旅行に来たとし
たら、どんなことになるだろうかと想像してみました。以下は
私の勝手なフィクションです。

*************

ジャック・バウアーがロスからバンコクに到着した。飛行機から
降りて、足早に入国審査の列に並ぶ。入国審査の係官は何人もい
るのだが、どこも行列が長い。ジャック・バウアーは素早く各列
に並んでいる人数を分析し、一番人数の少ない列の最後尾に並ぶ。
バンコクの入国審査管は何をチェックしているのか知らないが、
テロリストなのか、犯罪歴があるのかなどをコンピューターで照
合したりして時間がかかっている。ジャック・バウアーは次第に
いらいらしてくる。

カシオのGショックを苛立たしげに覗き込む。もう10分が経って
いる。時間の制約の厳しい『24』のドラマの中では、10分という
のは貴重な時間だ。それがただ無意味に過ぎていく。ジャック・
バウアーは隣の列の進み具合と、自分の列のそれを比較して分析
する。何と、自分の列の進み具合が相対的に遅い。ジャック・
バウアーの目が、前方の入国審査管の動きを瞬時に分析する。
自分の列の審査官は、無駄な動きが多い。パスポートにスタンプ
を押すアクションがあまりにもゆったりとしている。別にさぼっ
ているわけではないが、このようなスローペースの積み重ねで、
作業効率が落ちてしまっている。ジャック・バウアーは、この
ようなことに我慢ができない。

リーバイスのジーンズのポケットに手を入れて、H&K社製のUSP
コンパクトのピストルを取り出して、審査官にもっと機敏に動
けと脅したくなる。しかし、飛行機に乗る前にピストルは危険
物として別預けになっていた。もう我慢できなくなったジャッ
ク・バウアーは、係官を人差し指で指差して、叫んだ。「おい、
そこの係官、もっときびきびと動け!何時間待たせれば気が済む
んだ!俺はもう待てない!」

係官はきょとんとして、ジャック・バウアーを見つめる。
一瞬、緊張した空気があたりを覆う。彼は、タイの空気の中で
完全に浮いてしまっている。もし彼がコメディアンの才能があれ
ば、ここでギャグをとばして、爆笑とはいえなくとも、失笑の
空気で状況を緩和させるのだろうが、彼はそういうタイプでは
ない。空気は凍り付いたままなのだが、タイの審査官はこういう
状況で、どうしたらよいのかわからずににたりと笑う。それに
あきれて、とりあえず状況はマイペンライ的に丸く収まり、
やがて、ジャック・バウアーのパスポートにスタンプが押された。

通関を出ると、人がうじゃうじゃと待っている。初めての空港な
ので、あたりをきょろきょろと見回すジャック・バウアー。その
様子を見て、リムジンやらハイヤーの斡旋業者が群がってくる。
「タクシーですか?」とか、アプローチしてくる。「俺が探して
いるのはパブリック・タクシーだ!」と叫ぶジャック・バウアー。
「パブリック・タクシーはありません。リムジンがいいですよ」
とタイ人の男が言いよってくる。すぐに頭にきたジャック・バウ
アーは、その男の胸ぐらをつかみ、「嘘を言うな!パブリック・
タクシーはあるはずだ。正直に言うんだ」とすごむ。ついつい
日頃の尋問の癖が出てしまう。

タイ人の男はびっくりして、エスカレーターの下のほうを指差し、
「パブリック・タクシーはこの下の外側」と白状する。ジャック・
バウアーは、「世話をかけやがって」と捨て台詞を言いながら、
エスカレーターを駆け下りていくのであった。

と、ここまで書いてきて、まだ市内に入らないうちに疲れてし
まったので、このへんにしておきますが、ジャック・バウアーは
タイとは対局のタイプの人間なので、彼がタイにきたらすごく
大変なことになるというのはおわかりいただけたのではないかと
思います。では、かなり尻切れトンボですが、とりあえずこの
へんで失礼します。ジャック・バウアーのファンの皆様、つまら
ぬ話しで失礼しました。