南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

『だから、新書を読みなさい』を読みました

2009-11-11 00:10:39 | Weblog
昨日、日本から香港に戻ってきました。日曜日に、丸の内の丸善
で何冊か本を買ったのですが、その中に『だから、新書を読みな
さい』(奥野宣之著、サンマーク出版)という本がありました。
カバーデザインが気に入ったので買うという、いわゆるジャケ
買いだったのですが、じつは内容でも共感できる部分があったこ
とは事実です。

「読まなくてはいけない本」は読まなくていいと、著者は言いま
す。また、情報源は少ないほうがいい、ということで著者は新書
に絞った読書を提案します。この出だしの論法は、まさに我が意
を得たりの感覚でした。

日本に帰って、テレビとかつけていると、知らなくてもいいよう
な情報がどんどん流れてきます。犯罪事件の犯人についての推理
とかが延々と報道されています。しかしこういう犯罪のディテー
ルとかを知って役にたつのは、警察関係の人か、これから犯罪を
犯そうとしている人のどちらかです。こういう情報をインプット
されるおかげで、もっと大切なことを考える余裕がなくなってい
るのです。また、こういう報道に浸っていると、知らず知らずの
うちに考え方が画一化していくということもあるでしょう。

新聞を読んでいても、新聞は読めば読むほど、余計な情報の洪水
の中で溺死しそうになります。だから、新聞は読むとしても、
見出しや、広告を眺めるだけにしています。これは以前から感じ
ていたことなのですが、著者が言うように「情報をシャットアウ
トして自分の頭の中で考える時間を増やしていく。そのために
情報源をあえて絞る必要がある」ということなのですね。

今の世の中は、調べものをしようとすると、インターネットで
検索するというのが手っ取り早いと思ってしまうのですが、
インターネットの検索で得られる情報は、かなり断片的だし、
結局はみんなが得られる情報が得られるだけで、オリジナリティ
のある視点の情報はなかなか得られません。

ということで、この著者は、新書を読め、と言うんですね。
それも一つのテーマで三冊同時に読むのがよいと提案します。
早速、私は、昨日、成田空港の本屋で、次の二冊の新書を買っ
て飛行機の中で読んでみました。

藤井雅子著『人はなぜ怒るのか』(幻冬舎新書)というのと、
アルボムッレ・スマナサーラ著『怒らないこと』(サンガ新書)
の二冊です。三冊までいかなかったのですが、この二冊を同時
に読んでみて、新鮮な感覚がしました。

かたや心理カウンセラーの日本人女性の書いた本、かたや
スリランカの仏教の長老が書いた仏教法話。ともに「怒り」と
いう共通のテーマをカバーしていながら、アプローチが違う。
確かに微妙に論点の違う二つの本を平行して読むと、何だか
すごく物事の見方が広がる気がしました。

立体映像は、右目の映像と、左目の映像を微妙にずらすことに
よって物事を立体的に見せますが、ちょうどそれと同じような
事が起きているような気がしました。「怒り」というものが
まさに立体的に見えてくる、ような気がしたのです。一つの本
だけでは得られない感覚です。

この「怒り」に関してはまた、チャンスがあれば論じてみたい
と思いますが、たしかに『だから、新書を読みなさい』という
本が述べていることは、よいポイントだと思います。