蛇口が取れた

4年半の杭州生活を終え、ついに帰国。現在、中国人化後遺症に悩まされ、好評リハビリ中。

自分、不器用ですから・・・

2006-01-12 19:21:35 | テレビ・映画
つい、雪深い漁村にひとりで暮らしてしまいます。
つい、言葉ができない異国で我を通してしまいます。

張芸謀(チャン・イーモウ)が帰ってきた!!
新作『千里走単騎』にはイーモウ節があふれている。
容姿の整っていない子供・幼顔の女優・中国の田舎・人捜しが実は自分探し・悪意の全くない登場人物などなど。
一時は『HERO』『LOVERS』で、監督自身がワイヤーでどっか飛んでっちゃった感があったけど、
新作は本来のチャン・イーモウ。

ストーリーは、
こじれた関係のまま会うこともなく言葉も交わすこともなく、
長い時間が過ぎてしまった父親と息子。
息子が病気になったことを知り、父親は息子に会いに病院に行くが、拒否される。
そんなとき、息子の嫁から渡された1本のビデオを見た父は・・・

というわけで、主演は高倉健。
娘の嫁に寺島しのぶ。
息子は中井貴一。(ただし、声のみ)
しっかりした役者を揃えています。
それもそのはず。
日本側の中心は降旗康男、
カメラは木村大作。
なんだ、彼らの映画なのか、って感じです。

でも、なんか、よかったですよ。
しっかり泣きましたし。
特に、中国で暮らしているからこそわかることっていうのがあって、
「ああ、中国人ってそうなんだよねえ」
「そうそう、こんなときってどうしていいかわかんないよねえ」
っていうシーンがたくさんありました。

それにしても、健さんはやっぱり不器用でした。
無極』の真田広之は中国語で演技してましたが、
健さんは日本語オンリー。
「謝謝」すら、中国語でいいません。
あまりの潔さに、思わず感動してしまいました。
しかし、ここまで不器用であることを通しきるってことは、
逆に、究極に器用なのではないか、って思っちゃいます。
健さん、すごいです。

日本ではまだ公開されていないようですが、ぼくは『無極』よりこちらをオススメします。

*写真は烏鎮です。映画と関係ないですが、なんかチャン・イーモウ映画のイメージに近い感じがします。