shuの花日記

山や近所で見かけたお花をエピソードを添えて掲載しています。お花の説明は主にウィキペディア、花図鑑を参考にしています。

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その②(旭岳→白雲岳避難小屋)

2024-07-25 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は、表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その①(姿見駅→旭岳)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


旭岳(標高2291m)は北海道の最高峰であり、当然今回の縦走路でも旭岳が最高峰で、旭岳からは下りとなった。
すぐに残雪が現れると思っていたが、しばらく砂礫の急坂が続いた。途中いくつかの樹木の花が観られた。

・キバナシャクナゲ(黄花石楠花、Rhododendron aureum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)
日本では北海道から中部地方までの高山帯から亜高山帯上部にかけて自生する。分布域がアズマシャクナゲやハクサンシャクナゲよりさらに高地であり、生息環境が厳しいため樹高は3~40cmにしかならない。


・メアカンキンバイ(雌阿寒金梅、Sibbaldia miyabei、バラ科タテヤマキンバイ属の小低木)
北海道の硫黄山、羅臼岳、斜里岳、雌阿寒岳、大雪山系、羊蹄山に分布し、高山の日当たりのよい斜面や砂礫地に生育する。北海道以外では千島列島に分布する。


砂礫の急坂を20分ほど下ると、ようやく雪が現れた。ここでアイゼンを着用した。砂礫より締まった雪の方がずっと歩きやすい。相変わらずガスが濃かったが、GPSがあるので道を見失う心配はなかった。
 

雪渓を抜けると平坦な砂礫の道となった。所々にお花畑があり、特にキバナシャクナゲの群落が見事だった。風雪が厳しい環境のため樹高は20cmほどしかない。
この先で前を歩いていた二人組に追いつき、白雲岳避難小屋まで一緒に歩いた。
 

・キバナシャクナゲ


ガスに加え風が出てきて、お花の撮影が難しくなってきた。それでも可愛いお花たちにカメラを向けてしまう。

・イワヒゲ(岩髭、Cassiope lycopodioides 、ツツジ科イワヒゲ属の常緑矮性小低木)
日本では、本州中部地方以北、北海道に分布し、高山帯の風当たりの強い岩場の裂け目などに張り付くように生える。


・エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜、Phyllodoce caerulea、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・アオノツガザクラ(青の栂桜、Phyllodoce aleutica、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・エゾタカネスミレ(蝦夷高嶺菫、Viola crassa subsp. borealis、スミレ科スミレ属)
北海道の大雪山、夕張山地、日高山脈、羊蹄山に分布し、高山の礫地に生育する。


前を歩いている二人も風で歩きにくそうだった。


・イワウメ(岩梅、Diapensia lapponica L. var. obovata、イワウメ科イワウメ属の常緑の小低木)
日本では北海道から本州中部にかけての高山帯に分布し、岩礫地や岩壁に張り付くように生育する。


時折ガスの切れ間から噴火口跡の景色が見えた。


10時39分、間宮岳分岐に到着。ザックを下ろして空荷で間宮岳へ向かった。2分ほどで間宮岳に到着した。標柱がないとどこが山頂か分からない。


すると奇跡的に数分の間、御鉢平カルデラのガスが晴れて、黒岳(標高1984m)の雄姿を観ることができた。


間宮岳分岐にに戻り、荒井岳(標高2183m)、松田岳(同2136m)を通り、北海岳(同2149m)を目指す。


・クモマユキノシタ(別名ヒメヤマハナソウ、雲間雪の下、Saxifraga laciniata、ユキノシタ科ユキノシタ属の多年草)
北海道の大雪山、夕張山地、日高山地に分布し、高山の湿った礫地に生育する。


・イワヒゲ




・コマクサ(駒草、Dicentra peregrina、ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属の多年草)


・イワブクロ(別名タルマイソウ、岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)
北海道から東北地方の高山帯に分布する。火山系の山の岩場や砂礫地に多い。




北海岳に向かって、最後の登りを頑張る。嬉しいことにガスが晴れてきた。


11時36分、北海岳に到着し、ザックを下ろして昼食を摂った。白雲岳避難小屋までは3.5kmだ。
 

ガスが晴れてきたので、山々が見渡せた。
烏帽子岳(標高2072m)のようだ。


右が黒岳(標高1984m)、左が桂月岳(同1938m)のようだ。大雪山には2000m級の山が立ち並んでいる。


北海岳から白雲岳に向かう道はお花畑が続いていた。表大雪でも有数の規模のお花畑のようだ。




・イワブクロ


・イワヒゲ


・エゾツツジの蕾(蝦夷躑躅、Therorhodion camtschaticum、ツツジ科エゾツツジ属またはツツジ属の落葉低木)
日本では本州北部(早池峰山・岩手山・秋田駒ヶ岳)と北海道の高山に分布する。高山の過酷な環境のため、高さ10~30cm程度にしかならない。


・キバナシャクナゲ


・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)
北海道に分布する。高山の湿った所に生育する。


チングルマの群落が続いていた。


・ヒメイワタデ(姫岩蓼、Pleuropteropyrum ajanense、タデ科オンタデ属の多年草)


・キバナシオガマ( 黄花塩竃、Pedicularis oederi var. heteroglossa、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)
日本では北海道の大雪山系と空知のみに分布する。高山の乾いた草地に生える。




・エゾオヤマノエンドウ(蝦夷御山の豌豆、Oxytropis japonica var. sericea、マメ科オヤマノエンドウ属の多年草)


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)
北海道と本州の飯豊山以北の東北地方に分布する。花序は長く、細毛を密生し、花は7~12段つく。花冠と萼との境で背軸側に曲がる。


晴れていたら白雲岳(標高2230m)に登頂するつもりだったが、厚い雲がかかっていたので避難小屋の方へ直接向かった。

途中に観たエゾノツガザクラの大群落も見事だった。


岩場にはキバナシャクナゲが群生していた。


・キバナシャクナゲ


・エゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花、Anemone narcissiflora. var. sachalinensis、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
北海道から東北地方北部の高山帯に分布する。ハクサンイチゲとの違いは、葉の幅が広く先端がとがらない。




・ウコンウツギ(鬱金卯木・鬱金空木、Weigela middendorffiana、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)
北海道から東北地方北部の亜高山帯に分布する高山植物。大雪山などでは登山道から大群落が見られる。


・チシマノキンバイソウ(千島の金梅草、Trollius riederianus、キンポウゲ科キンバイソウ属の多年草)
北海道から中部地方以北の高山帯に生える高山植物。雪渓が溶けたあとの湿った草原に生える。






白雲岳避難小屋が見えてきた。あと少しの頑張りだ。


・ミヤマバイケイソウの蕾(深山梅蕙草、Veratrum alpestre、ユリ目シュロソウ科シュロソウ属の多年草)


もう少しで避難小屋に到着だ。


・トカチフウロ(十勝風露、 Geranium erianthum f. pallescens、フウロソウ科フウロソウ属の多年草)
チシマフウロの1品種で、主として大雪山系および日高山脈に見られる。母種のチシマフウロとの相違点は花色が淡い点にあり、チシマフウロの淡紅紫色に対して、トカチフウロでは淡青紫色である。




・ミヤマアズマギク(深山東菊、 Erigeron thunbergii subsp. glabratus、キク科ムカシヨモギ属の多年草)
日本の北海道から中部地方以北に分布し、高山帯の乾いた礫地や草地に生える。


白雲岳避難小屋のキャンプ指定地に13時43分に到着した。テントを張り終わるとしばらくして雨が降り始めた。日が暮れてから雨が強くなり、嵐のようになった。
この日から4日間、天気予報では晴れだったので、軽量化のためテント(1.9kg)ではなくツェルト(0.8kg)にしようかとも思ったが、テントを持参して良かったと思った。
雨は翌朝に上がった。翌日雨の中を歩くことはなかったが、濡れたテントの所為で荷物がいっそう重くなったのは仕方ないことだった。

この日は避難小屋が満杯で、まるでイワシの缶詰のような状態だった。テント場も混雑していたが夕刻に到着した人でもテントを張れたようだった。

1日目に歩いた距離は10.7km、累積標高差は登りが1032m・下りが640mで、歩行時間は途中休憩(42分)を含めて6時間50分だった。
表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その③(白雲岳避難小屋→忠別岳) に続く。
コメント (8)
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