shuの花日記

山や近所で見かけたお花をエピソードを添えて掲載しています。お花の説明は主にウィキペディア、花図鑑を参考にしています。

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑤(ヒサゴ沼避難小屋→トムラウシ山南沼キャンプ指定地)

2024-07-29 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その④(忠別岳→ヒサゴ沼避難小屋)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


縦走3日目は、ヒサゴ沼避難小屋を出発し、トムラウシ山の北沼を経由し南沼に行き、そこにテントを張った後、最少限の荷物でトムラウシ山に登頂した。距離は6.4kmで、4日間の中で一番短かった。

今回の縦走では夕食にアルファ米のご飯とレトルト食品を中心としたおかず、朝食にはカップ麺を食べるのが日課だった。昼食はカップ麺とミックスナッツやドライフルーツ等の行動食で済ましていた。
アルコール類は一切摂らず、野菜が不足する分はビタミン剤を服用していた。4日間だけのことなので、栄養より重量を重視した。

朝食とトイレを済ませテントを撤収し、ヒサゴ沼避難小屋キャンプ指定地を後にしたのは5時43分だった。私より早く出発した何組かのパーティーは、トムラウシ山に登ってその日に下山するようだった。

ヒサゴ沼からトムラウシ山へ向かうには、先ず沼の北岸を西に進む。そして目の前の雪渓を登っていく。
 

沼の岸は雪渓から流れ出た水が作る湿地となっていて、たくさんの高山植物が咲いていた。

・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)
サクラソウ属の花には通常、雌しべが長く雄しべが短いタイプと、その逆に雌しべが短く雄しべが長いタイプの2種類がある。そして同じタイプの花同士では受粉が成立しない仕組みになっている(異形花柱性)。この株は雌しべが長い。


一方、前日観た株は雄しべが長かった。


・エゾウサギギク(蝦夷兎菊、Arnica unalaschcensis var. unalaschcensis、キク科ウサギギク属の多年草)
北海道・本州(東北地方)、千島・アリューシャンに分布する。高山帯の草地や砂礫地などに生え、茎の高さは10~30cmで全体に白い軟毛がある。茎先に、直径4~5cmの黄色の頭花を1個つける。頭花の中心部は筒状花、周辺は舌状花となり筒状花の筒部には毛がない。






・イワイチョウ(岩銀杏、Nephrophyllidium crista-galli 、ミツガシワ科イワイチョウ属の多年草)
南千島と日本の北海道、本州の中部以北に分布し、多雪地の亜高山から高山にかけての湿原などに自生する。


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)
葉はふつう4枚輪生し、羽状に裂ける。花は上部に数段つき、花冠が大きく曲がる。


雪渓はかなりの傾斜があったので、アイゼンを着用した。
 

雪渓を登っていくと眼下にヒサゴ沼が見えてきた。アイゼンのお陰で雪渓を自由に歩けたので、様々な角度からヒサゴ沼を観られた。


ヒサゴ沼は双子の沼で、その真ん中付近にキャンプ指定地が見えた。


雪渓が終わると少しの間草地となった。


そしてその後に大きな岩が重なっていた。重い荷物を担いで岩の上を歩くのは苦手である。慎重に歩いた。


岩場が終わった所で五色岳からの道と合流した。付近にツアーの団体が休んでいた(右の写真は反対方向から見ている)。
 

・イワブクロ(別名タルマイソウ;岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)


ここから先は『日本庭園』と呼ばれるところへ入っていく。遠くに霧がかかっていて幻想的だった。










・コケモモ(苔桃、Vaccinium vitis-idaea、ツツジ科スノキ属の常緑小低木)


・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)
花のように見える白い部分は装飾花で、1個の花序が1つの花のように見える。花は小さく、20~30個が集まって4枚の総苞片の中央につく。


ヒサゴ沼を見下ろせる岩場でしばし休憩した。キャンプ指定地にテントがもう見えなくなっていた。


7時23分に天沼に到着した。ここの景色は本当に素晴しい。たくさん写真を撮った。
 

 

 

 





・イワイチョウ




天沼を過ぎたところで大きな岩の上で休憩した。その後はロックガーデンである。
 

そして2000m台地に向けて登っていく。
 

台地上から振り返って観た景色が素晴しかった。


そして台地の先にトムラウシ山と北沼が待っていた。




北沼から直接トムラウシ山へ登ることもできるが、当初の計画通り先ずは南沼まで行ってテントを張り、そこから最少限の荷物を持ってトムラウシ山を目指すことにした。
その前にここで水を2.5L補給した(結果的に南沼でもきれいな水が得られたので、ここで汲む必要はなかった)。


標柱から右に進み南沼へ向かった。


・エゾコザクラ


9時47分、南沼へ向かう途中で北沼の湖畔で休憩し昼食を摂った。カップ麺はスープも残さず食べて、さらにお湯を注いでそれも飲むので山には迷惑を掛けない。カロリーと水分を同時に取れる理想的な食事だ。


障害物(?)を除けてのショット。最高の天気に恵まれ空も雪も水もがまぶしかった。


そして、座っていた背後はお花畑だった。まさに天国での最高の昼食だった。


ゆっくり休み元気いっぱいになったところで南沼へ向かう。


南沼が見えてきた。途中にもお花がたくさん観られた。その中で面白い花を見つけた。


・コエゾツガザクラ(小蝦夷栂桜、Phyllodoce caerulea f. yezoensis、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)
コエゾツガザクラはエゾノツガザクラとアオノツガザクラの雑種で、原種のエゾノツガザクラと比べると花色が薄く花の形は球形に近い。これまで観てきたエゾノツガザクラは、ほとんどが雑種(コエゾツガザクラ)のようだった。


・ニシキツガザクラ(錦栂桜、Phyllodoce caerulea f. marmorata、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)
ニシキツガザクラはコエゾツガザクラとアオノツガザクラが交配したもので、花色は様々である。この個体は黄色である。


これまで雑種については記載せず、特徴が近い原種名を書いてきたが、南沼で雑種の特徴が色濃い花を観たのであえて記載した。
その他の植物については続報でご覧いただくことにしたい。

さて、南沼のキャンプ指定地に10時30分に到着した。途中で昼食を摂ったので計画より30分遅れた。それでもテント場は閑散としていて好きなところにテントを張れた(写真は設営途中に撮影)。


表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑥(トムラウシ山登頂と南沼の高山植物)に続く。
コメント (1)
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