「トッチくんのカレーようび」は、ぶん・まどころ ひさこさん、え・やまもと まつこさんの作品で、ポプラ社から出版されている絵本です。
初版が昭和44年と古く、私が2歳の時に出された絵本ということになります。
この絵本は、子どもがまだ幼いころに、よく読み聞かせをしたもので、私自身もお気に入りでしたね。
「おなかが すいたよう」
トッチくんの、このひとことからはじまるお話で、
おかあさんが「トッチくんのだいすきなものをつくりますからね」とこたえます。
おかあさんの買物かごから出てきたものは・・・
お肉、じゃがいも、にんじん、たまねぎ、カレー粉。
「わかった。カレーライスだね」とトッチくんの声が弾みます。
おかあさんが、じゃがいも、にんじんと次々に切っていきます。
ここまでは、カレーを作って、おいしく食べるお話かな?ってとこですが・・・
たまねぎを切るところから、お話は動きます。
おかあさんが、なみだをぽろぽろとこぼす姿に、トッチくんはびっくり!
心配するトッチくんと涙がとまらないお母さんを尻目に、たまねぎが「ころ、ころ、とん、とん」と逃げていきます。
「うーーん!たまねぎめ」と、トッチくんはたまねぎを追いかけます。
ともだちのミコちゃんも加わります。
やおやさんに行くと、やおやのおじさんも、たまねぎが逃げ出して困っています。
やおやのおじさんは、トッチくんの家も、ミコちゃんの家も、今日はカレーライスだということを知っています。
何で知ってるのかと聞く2人に、おじさんは「今日は、カレーようびだからね」と答えます。
以前、読み聞かせをしていた時、おじさんの「きょうは、カレーようびだからね」というところを、何かうれしい気持ちで読んでいたのを憶えています。
カレーようびという日があるのを、とても面白いというか、いいなあという気持ちで読んでましたね。
あんまりたくさんのカレーが作られて、たまねぎもいっぱい使われるので、たまねぎもいやになったのかな。なんでたまねぎだけなのかな。丸いからかな・・・とかいろいろと思いうかべながら・・。
そのうち、町中のこどもたちが出てきて、たまねぎを追いかけます。
たまねぎたちが横断歩道を渡ろうとすると、信号が青になって、たまねぎたちは、信号をちゃんと守って渡っていきます。追いかけてきた子どもたちが渡ろうとすると、信号が赤になってしまい、みんなはガッカリ。
たまねぎに振り回される子どもたちの姿が、とても面白いです。
トッチくんは、やおやさんから10円を借りて、公衆電話をかけて、レストラン・カレーけんに、たまねぎがそっちに行くからドアをあkておいてくださいと頼みます。玉ねぎたちは、カレーけんにどんどん転がり込んでいきます。
そこへお母さんたちがやってきて、コックさんと一緒に、たくさんのカレーを作り一件落着です。
「あしたっから、たまねぎは転がらないように、ふくろに入れて売るぞ」と真面目に言う、やおやのおじさんには、笑ってしまいます。
ようやく、カレーライスにありつけそうなトッチくんのうれしそうな姿でお話は終わります。
これを読むと、むしょうにカレーライスが食べたくなりますよ。
このお話は、昭和44年に出された事もあって、今の生活とちょっと違う姿が見えます。
やおやさんが地域にちゃんとあることや、買物かご、公衆電話もそうですが、このお話の最後の部分が、
「おとうさんたち、はやくおつとめから帰ってこないかしらね」とあるように、お母さんは家、お父さんはお勤め、と今よりもハッキリとしていた時代が見えますし、お父さんもまだはやく帰ってこれる状況だったのかもしれませんね。
変わらないのは、子どもたちがカレーライスが大好きと言う事でしょうか。
昭和の時代の、何となくほっこりするような雰囲気も感じられる作品です。
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