ずいぶん久しぶりになってしまい、すみません。
このところ、新型インフルエンザの感染で、特に関西は「厳戒態勢」のような感じでしたが、ここ数日、急速にマスコミなどでの扱いが小さくなってきているように思います。
「騒ぎすぎ」との声もあったり、弱毒性という事がとりあえず判明して、休校していた学校とかも次々と解除される中で、そうなったのかもしれません。
それでも感染者はまだ増えているし、まだ警戒体制は続いているのは変わらないのですが、これだけ急速にマスコミでの扱いが「下火」になると、もう大丈夫なのかと思ってしまいますが、あらためてメディアの影響力のすごさを実感します。
マスコミの扱いに左右されずに、油断なく対応しなければ。
さて、昨日、6月議会に向けての、総務厚生常任委員会がありました。
いろいろ議論したのですが、今日は、「税務共同化」の問題にしぼっての議論を紹介します。
「税務共同化」って、そもそも耳にしておられますか?
たぶん、多くの住民のみなさんはご存知ないのではと思うんです。
それもそのはずで、住民にはもちろん、議会にさえちゃんとした説明がされていないものですから当然なんです。
税務共同化というのは、いま役場がしている税務、つまり、納税者への課税や徴収の仕事を、京都市を除く府内の市町村でつくる「京都地方税機構」という広域連合でやろうというものなんです。
広域連合を立ち上げるための「京都地方税機構」の規約が、この6月の各市町村議会に提案されようとしているのですが、詳しい中身はまだつめられてなくて、とりあえず「器」だけつくろうというものらしい。
決まっている事は、
1)連合がする仕事は、住民税と国保税の滞納分の徴収や処理
2)連合に設置される議会の定数は32人(府会議員6、宇治市議2、その他1)
3)経費の負担は、基本負担5%+人口割47.5%+税収割23.75%+滞納繰越額割23.75%で算出
4)連合の事務所は京都市内で、地方事務所が府内6か所におかれ、相楽は木津振興局内に
5)まず滞納分の徴収業務から来年1月から始める
6)連合へ各市町村から職員を派遣し、和束からは1人 などです。
昨日の委員会では、いろいろ疑問をぶつけてみました。
まず、共同化は、税金を「取る側」の都合が優先されたもので、納税者の立場に立っていないのではないか?
委員会で配布された「広域連合設立による税務共同化について」という文書の中に、「税務共同化の効果」という項目があるのですが、その中に「納税者利便性の向上」という事があげられてます。
例えば、「コンビニ納税」「クレジット納税」「インターネットバンキング」とか、納税手段の多様化が言われてます。でも、これらは、裏を返せば、取る側にとって便利で効果があるという事で、私は「介護保険や後期高齢者医療での年金天引きと同じではないか」と問うと、町長は「納税の義務を果たすための利便性だ」と強弁。
払える方は、どんな方法であっても払うし、払うに払えない人は、どんなに払うチャンネルがあっても払えないものではないか。ちょっとずれてますよね。
次に、共同化の第一の目的が「徴収率の向上」「平均徴収率を98%に」となっていて、「徴収率の向上ありき」になっている。その上で「断固たる滞納処分の実施」をうたっており、納税者の状態を無視した、強行的な徴収が横行するのではないか?
全国的には、すでに同じような組織を立ち上げての取り組みがやられていて、そこでは、1人1人の事情に即した相談などはほとんど行われずに、差し押さえばかりが行われているし、そういう中で、自殺者とか悲惨な事例も生まれている。
京都でも、この1月に、出産育児一時金を市が差し押さえるという暴挙があって、結果的には批判があり撤回したりしている。
こういう事を紹介しながら、共同化でこういう事態が起こるのではとの危惧が広がっていると問うと、町長は、「これまでやっている事の延長の事」として、今までのやり方となんら変わらないみたいな話をされた。
いま町の収納対策課がやっている滞納処理の状況の資料を強調して、「今までも、各ケースに応じて相談に乗り、対応してきた結果が、3割程度の収納率。もっと強行的にやれば収納率もあがるかもしれないが、これ以上の事はできない中で、こういう結果だ」「もし和束でそれが原因で自殺者とかあるんだったら、言ってほしい」などとずいぶんまくしたてて言われました。
でも、京都府は、それでは不十分だから、と共同化を進めてきたわけで、今までみたいに「きめ細かい対応」をしていたら、とても98%にするなんてことは出来ないではないか。98%にするという事を目的にやるという事は、これまでの「きめ細かい対応」をすっ飛ばして、どんどん取るよ、という事にしかならないですよね。
そもそも「今までの延長」だったら、何で連合なんかする必要があるのか、さっぱりわからないです。
しかも、共同化の効果として、税務に関わる職員を3割減らすと言ってるので、限られた人数で、徴収率を上げようと思ったら、ていねいな対応などしてられなくなるのは明らかです。将来は、クレジット会社などに滞納リストを「委託」して、容赦のないサラ金みたいな取立ても起こるかもしれない、それも可能性としてはある事も、町長は別段何も問題ないかのような顔をして話していました。
いずれにしても、こんな大事な問題を、納税者である住民に何ら説明もなく決めてしまおうなんて事は、言語道断です。そのことを問うと、町長は相楽東部広域連合の時と同じように、「住民に説明する必要なし」と言うんです。
そして「決まり文句」のように、「議会制民主主義を大事にしているから、議会に諮って、そこで決まった事を尊重する」と。「岡本さんは、住民に聞いてからでないと決められない」堂々としていないやり方だ、と。
私は「議会制民主主義だから、住民説明はいらないなんていうのはあなたの勝手な解釈だ。一番影響を受けるのは住民である以上、住民に説明するのは当たり前だ。議会も町長も住民があってのものではないか」と厳しく批判して、説明会を開くよう要求。その上で「議会制民主主義を大事にするなら、まず議会に説明をすべき」として、府の担当者を呼んで説明をする機会を持つように議長にその場で要望しました。
ところが町長はあわててこんな事を言い出すのです。
「和束だけでやるというのは出来ない。他の自治体でいっせいにやろうとしているものであり、他のところでやるなら別だが、やらないなら和束もしない」と言い、隣の議長に「そういう事でお願いしますよ」と。
和束の議会に説明する事が、なぜ独自で判断できないんでしょうか。
町長のいう「議会制民主主義」とは、そんな程度の事で、本当に大事にしようなんてさらさら思っていないと言う事です。
とにかく、こんないい加減な事で、なんでも通るようでは行政も議会もあったもんではないですね。
今、大変な経済状況の中で、苦しんでいるのは国民です。
一時的な給付金とか「特典」とかのバラマキはあっても、この間増え続けた税金や負担は何も変わっていない中で、ますます納税しにくい状況が広がっています。
そういう今、行政がやらなければならないのは、納税者・住民の生活状況をよくつかんで、ていねいな対応を今まで以上にする、法や条例上で可能な減免や負担軽減を積極的に行う、少しでも生活応援の取り組みを行い、少しでも税を納めやすくするという事ではないのでしょうか。
取るだけ取れれば、あとはどうなっても良い・・・
共同化の本当のねらいは、そういう事だと思うのです。