議会が終わった直後に、何となしに手にとって読んでみました。
レオ=レオニの絵本も、子どもが小さい時によく読みましたね。
この「スイミー」も久しぶりに読んでみたんですが、レオ=レオニの絵本は、ある意味大人向けかも。
「スイミー」は、「ちいさな かしこい さかなの はなし」という副題がついているとおり、
1匹だけ、まっくろな、およぐのは誰よりもはやい、ちいさなおさかなのお話です。
ちいさなあかいさかなたちと一緒にくらしていたのですが、そこに、「おそろしい まぐろ」が「ミサイルみたいに」つっこんできて、あかいさかなたちを、みんな食べてしまいます。
1匹だけにになったスイミーは、海の底を悲しい思いで泳いでいました。
でも、スイミーは、海ですばらしいものと出会います。
「にじいろの ゼリーのような くらげ」
「すいちゅうブルドーザーみたいな いせえび」
「みたこともない さかなたち」
「ドロップみたいな こんぶや わかめの はやし」
「うなぎ かおを みる ころには、しっぽを わすれてるほど ながい」
「かぜに ゆれる ももいろの やしのきみたいな いそぎんちゃく」
実際、絵もとてもきれいで、おもしろいです。
無表情にみえる スイミーですが、よく見ると、微妙に表情が違うようにみえます。
そんなとき、スイミーは、いわかげに隠れている、ちいさなさかなのきょうだいたちを見つけます。
スイミーは「でて こいよ、みんなで あそぼう。おもしろい ものが いっぱいだよ」と呼びかけます。
でも、ちいさなさかなたちは、こわがって出てきません。
スイミーは言います。
「だけど、いつまでも、そこに じっと してる わけには いかないよ。何とかかんがえなくちゃ」
いろいろと考えたスイミーは、叫びます。
「みんな いっしょに およぐんだ。うみで いちばん おおきな さかなの ふりして!」
そして、離れ離れにならず、持ち場を守るというルールをみんなに教えて、ちいさなさかなたちは、1匹のおおきなさかなみたいに 泳げるようになります。
そして、まっくろなスイミーは、そのさかなの「め」になります。
1匹のおおきなさかなになったスイミーたちは、大きなさかなを追い出し、お話は終わります。
ちいさな さかなたちが 1つになって、おおきなさかなたちを追い出す
そんな痛快なお話に、子どもたちは、とても喜ぶのでしょうね。
でも、このお話は、それだけのことだけでなく、とても大事なことを教えてくれていると思います。
スイミーたち、ちいさなさかなたちは、子どもたちそのもの。
子どもたちが成長する社会、世の中は、とても厳しいですよね。
「おそろしい マグロ」が「ロケットのように」突っ込んできて、怖い思いをしたり、さびしい、悲しい思いをしたり、必ずそんな時を経験します。
そんな時、危険をさけてばかりで、チャレンジする勇気もなくなりがち。
私たち親も、「あれはダメ、これはダメ」と、「子どものため」という理由をつけて、危険やリスクを除去しようとしがち。
もちろん、危ない事やリスクをともなう事を、何でも自由勝手にやらせる事は、ただの無責任でしかないですね。
それに、スイミーが海の中で、いっぱい面白いものを見つけたように、世の中には、危険やリスクもあるけど、面白い事、素晴らしい事もいっぱいあって、世界は広がっています。
さあ、どうする?
スイミーは「いつまでも、そこに、じっとしてるわけにはいかないよ。なんとか 考えなくちゃ」と考えます。
そして、みんなが1つになる事で、世界に出ていく術を身につけました。
危険をさけるだけでなく、どうすれば乗り越えられるかを考え、世界を切り拓くことができる事の大切さ、そして、それは1人ではなく、仲間と力を合わせて、みんな一緒に切り拓く事ができる事の素晴らしさ・・・
スイミーは、そんなことを教えてくれているように思うんです。
だからこそ、スイミーは「ちいさな かしこい さかな」だと。
かしこさ って、テストで点数を取れるかどうかではなく、困難を乗り越える知恵、みんなと力を合わせ、つながり合う事ができる力だと感じますよね。そんな、しなやかな力こそ、子どもたちに育んでほしいものですね。
何か教育的なお話になってしまったけれど、そんな難しい話ではないかも。
面白いものがいっぱいある海の中で、どうすればみんなとのびのびと遊べるかを、必死に考えるスイミーの姿は、まさしく、子どもそのものってことかな。