この本の作者は、アーノルド・ローベルという人で
他にも、いろいろと面白い作品がある人なんですが
それは、またの機会として、
この「いろいろへんないろのはじまり」は、まきたまつこさんの訳で、富山房(ふさんぼう)というところから出版されてます。
このお話は、「ずっとむかし、いろというものは ありませんでした」という出だしではじまります。
昔は、くろかしろ、そのあいのこであるはいいろしかなかったとのこと。
魔法使いが、そんなのはおかしい!と考えていたら、ひょんなことから、新しい「いろ」ができました。
それは「あおいろ」でした。
またたくまに、世の中は、あおいろに染まっていきます。
はじめは良かったんですが、だんだん、みんなの気持ちがブルーに悲しくなってしまい、
魔法使いは、今度は「きいろ」を作りました。
あっと言う間に、世の中がきいろに染まっていきますが、これもはじめは喜んでいたのですが、今度はだんだんまぶしすぎるという文句が出てしまいます。
魔法使いは、今度は「あかいろ」を作り、世の中が真っ赤に染まりますが、今度はみんな怒りっぽくなって、あちこちでけんかばかりの世の中になってしまいます。
魔法使いは、新しいいろを作ろうと必死にがんばりますが、出来る色は、あお、きいろ、あか、ばかり。
困っていた時に、3色のいろがまざりあい、いろいろないろがどんどん生まれてきました。
たくさん生まれた色を、人々は上手に使って、世の中はカラー写真のようになって、魔法使いが言うように、「まったく、もうしぶんのない、よい、ながめ」になって、このお話は終わります。
このお話は、いろいろなことを考えさせてくれますよね。
いわゆるブームとか流行っていいますが、すぐにひとつの色に染まってしまう、染められてしまう人間社会を風刺しているかのようです。
誰かが「あかがいい」と言ったら、あっという間に「あか」に染まってしまう。
昔、バナナが身体に良いとか、納豆が身体に良いとかテレビで流されると、次の日のお店には、バナナも納豆もあっと言う間に無くなってしまう事がありましたよね。政治の世界でも、同じような事がくりかえされている感がありますが。
世の中には、いろいろないろがあるから、うまくいっている、という事も教えているようです。
みんな違って、みんないい、というのは金子みすずの有名な詩の一部ですが、みんなそれぞれに個性があり、かけがえのない存在だと、一般的にはよく言われますよね。
でも、世の中の実際というのは、なかなかそうはいきません。
いつの間にか、何となしに、個性は殺されて、1つの色にまとめられてしまっていることがよくありますよね。
異論を許さない雰囲気というか、言いたい事が言えない、黙ってしまう
そんな世の中は、表面的には、うまくまとまっているようですが、実はとてももろいというか、崩れやすいものだなあと思うんですね。間違いも犯しやすいとも言えます。原発もそうでしたけどね。
いろいろな色があり、それを認め合う世の中であってこそ、みんなが幸せになれる・・・
そんなことを、もしかしたら、考えさせてくれる絵本なのかもしれませんねえ。
まったく関係ないのかもしれませんがね。
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