今月の国立劇場は鶴屋南北の通し狂言貞操花鳥羽恋塚という大時代物です。
大時代・・・江戸時代に書かれたこの作品はその頃からすると時代劇である源平の頃のお話です。
中村富十郎さんの遠藤武者盛遠と中村梅玉さんの渡辺左衛門亘と中村時蔵さんの袈裟御前の三角関係が物語の軸となって歴史上の有名人がからんできたり怪奇現象がおきたり、親の決めた顔もしらぬ許婚同士が大人になって出会ってすぐ深い愛で結ばれたりとザ・南北な狂言です。
尾上松緑さん演じる崇徳院が天狗になって魔界へ飛んでいくところは初日の様子がNHKのニュースでも報じられてましたが客席を斜めに横切る筋交いの宙乗りなど趣向たっぷり、全幕5時間のボリューミーな狂言でした。
---以下ネタバレ注意---
序幕、亀三郎くんの渡辺丁七唱が甘酒売り風の拵えで登場、浅黄色が似合ってました
信二郎さん扮する平宗盛は公家悪の筋隈で登場・・・珍しいけど、意外とサマになってる~。
その後信二郎さんは奴さん、長谷部信連というお殿様で登場は凛々しい姿でした
以仁王役、梅枝くんは声も良く、格の高い役柄を充分に演じていて、若手の中でも期待度バツグンですね~。
冨十郎さんは片目眼帯姿で演じているのは不自由でしょうが口跡の明瞭さはやっぱり気持ちイイ
お屋敷のシーンが長く続く中で、南北の工夫だそうですが、世話物ふうに演じるシーンがあって格好と仕草、セリフのミスマッチも面白く息ぬき出来るとこもあるのもめずらしいです。
ラストは国立劇場ならではの美術のみせどころが美しく、工夫満載の復活狂言が今回の演者のオリジナルになっていると感じさせられました。
通し狂言は面白くて満足度満点で作者のすごさを実感いたしまするでございます~
『通し狂言 貞操花鳥羽恋塚(みさおのはなとばのこいづか』
2005年10月3日(月)-10月26日(水)
国立劇場大劇場