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規制を乗り切るブローカーの仕掛け『医療マフィア』

2023-02-05 08:11:12 | ミステリー小説から見えるもの
@世間には表と裏、闇の世界がある。これは医薬品を納めるためブローカー(MR)が医者・医療関係者、医者、大学教授などへアプローチして成約させる。その為の「裏取引」(罠と脅し、改竄など)工作を巧みに仕組んでいく小説だ。本題は、製薬会社のMRは国の規制により表立った接待、贈与などが禁止になったことで、「裏」取引がこの小説の本題となっている。現実社会は、どの世界でも「裏と表」があり、そこの隙間に入り込み裏金を貪る輩も多いが、司令塔として指示する側には中々メスが入り難い、が現状だ。文中にある興味ある言葉「巨万の富を築いたものには、3つの敵が現れる。1つは国税、1つは妬む者、1つは金をむしり取ろうとする者」
『医療マフィア』新堂冬樹
「概要」朝からゴルフ、夜まで豪遊。札束で膨らんだ“お車代”。製薬会社が医師に対し、製品を採用してもらうべく仕掛けていた過剰な接待・贈賄は、法律で禁止された。ところが皮肉にも、規制強化につけ込む裏ビジネスが生まれる。自ら“医療マフィア”と名乗る花島正輝は、製薬会社に代わって優秀な美人医療情報担当者を送り込み、医師を籠絡。巨額の報酬を懐に入れていたのだ!
ー大手の編集長から転身してMRのボスとして動き出す男は、薬の納品契約が取れることで数億円をもたらす商売に興味を持ち、拡大しようと計画する。
ーMRの部下として数人の女性を雇用し、新たな戦略を次々に仕掛ける。だが、一部は使い捨ての役割と化し消えていく。だが、数百万もの大金で動かない者はいない。
ーある大学病院の薬事決定者である医者を標的に動き回る。医者は異常なほどの堅物で、酒、女遊び等は一切しない人物で、如何に口説けるかの仕掛けが見どころとなる。
罠を仕掛ける方が罠にかけられ、売り手側と買い手側、さらにそれを上手く脅しにかけながら天秤にかけていく仕掛けが面白い。