血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

アパパネ

2010-04-15 13:35:43 | 07年生
アパパネ(キングカメハメハ×ソルティビッド-Salt Lake)牝・07生

主:5 結:4 土:3 弱:5 影:3 質[近]:1 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:30点 クラス:2B 芝:6~9F ダ:5~8F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:□

 アパパネは血統の前面で、Northern Dancer5・5・7×5及び、Nantallah7×6~Nasrullah6・7・8・8×6・7を形成した配合形態。このことから解るように、主導としては非常に不明瞭な配合形態で、実質的に評価項目からは削除しているものの、その位置も決して褒める事は出来ない。

 更に、Northern Dancer及び、Nantallah~Nasrullahの結合は、自身の土台構造を形成する、Nearco~Pharos(=Fairway)によって強固になされているものの、Count Fleetは10代目The Tetrarchで、Case Aceは10代目までに結合を完了できていない。実質的な異系交配であるものの、やはりこの結合力の弱さはひっかかる部分である。

 しかしながら、Northern DancerやMr.Prospector内のスピードの生かし方はなかなかきめ細かく、国内向きのマイラーとしては見るべき点もある。

 配合形態としては安易な内容だといえるだろうが(前面にNorthern Dancerクロスを作り生かし方が中途半端)、欧米系のスピードを再現できたのは幸運だと言えるだろうか。

スティルゴールド

2010-03-17 20:02:46 | 07年生
スティルゴールド(フジキセキ×カーラパワー-Caerleon)牡・07生

主:5 結:5 土:2 弱:5 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:5 特:1(主導牝馬クロス)
合計:35+1点 クラス:3B 芝:9~15F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 スティルゴールドは血統の前面で、Almahmoud5×6を作成し主導とした配合。次いでMilan Mill5×5をほぼ系列クロスにし、血の集合はかなり不明瞭で主導としての評価はいまひとつだろう。更に、単一クロスではあるもののHail to Reason4×5のクロスも生じている。

 この事からも簡潔に解るが、Hail to Reasonが単一クロスで影響が弱く、結合面をアシストをしてはいるものの、当馬の配合における最大の問題点は、個々の主張の強い血脈を主導たるAlmahmoudがまとめきれなかった点である事は疑いようが無いだろう。

 したがって、これだけでは決して評価しようがない血統構成であるが、スティルゴールドの最大の長所は、その問題点と背反の関係にあると言える。つまり、前述したMilan MillがPrincequillo~Prince Roseと継続クロスを形成した点である。本来、Almahmoudを主導とした場合、Princequilloのスタミナを取り込む(結合させる)ことは非常に難しいが、Milan MillがHyperion~Gainsborough~Bayardoを内包しているために、極めて強固とは言い難いものの確実に結合を果たしている(自身の土台構造を形成しているのもGainsboroughであり、その面でもプラスに作用していると考えられる)。この重厚な血脈をスタミナの核とし、フジキセキの産駒としては非常に珍しい中~長距離型の血統を作り上げる事に成功している。

 また、父母をはじめサンデーサイレンス、Caerleon~Nijinsky、Shirley Heights~Mill Reefと血統を構成する血の質も高く、成長力・底力共に期待できるが、それだけに日本向きの血統だとは言えない(軽いスピードで、強い影響を持つのはNasrullah(=Malindi)7×6・7・7程度)。

 しかし、それでも非常に興味深い血統構成をしているのは間違いなく、距離適性の考察(真性のステイヤーではないものの15F克服可能と判断した)も含め注目に値すると考えている。この、異端児とも言えるフジキセキ産駒の飛躍を期待したい。

セイルラージ

2010-03-04 20:34:57 | 07年生
セイルラージ(アグネスタキオン×ビワパシフィカス-ブライアンズタイム)牡・07生

主:5 結:5 土:3 弱:6 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:5 特:1(主導牝馬クロス)
合計:37+1点 クラス:1A 芝:8~15F ダ:8~12F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 セイルラージは、血統の前面でAlmahmoud5×5を作成し主導とした配合形態で、単一クロスであるHail to Reason4×4で結合をアシストした比較的ありふれた配合形態だと言えるだろう。

 しかしながら、主導たるAlmahmoudは、父Mahmoudを3ブロックに配したものの、Ⅲブロック(母父ブライアンズタイム)内においては8代目に存在する為、決して血統全体を強力にリードする存在ではない。

 また、結合力という側面においても、Hail to Reasonがアシストをするものの、TeneraniはNearco内Havresacを通じかろうじて結合を果たし、その効果はやや疑問である。

 しかしながら、これといった弱点のない血統と、安定感のある影響度バランスには見所があり、ややクロス多可気味であるものの、仕上がった際には非常に迫力がある内容だと言えるだろう。

 また、生かされたスピード・スタミナ勢力は強靭で、スピード面はNasrullah・Pharamond
(=Sickle)・My Babuとクロスさせ、主導たるAlmahmoudへと補給され、Hyperionが7連と開花した場合は器用なレースを見せる可能性を秘めている。スタミナ勢力は更に強靭でAlycidon(=Acropolis)・Bull Lea~Sir Gallahad(=Bull Dog)~Plucky Liege、前述したHyperion。隠し味的にBlue Larkspur・Tourbillonと隙が少ない。前面のクロスを鑑みるに、本質的なステイヤーではないだろうが日本の芝でなら間違いなく15F克服可能。

 偉大な叔父の背中は遥か彼方にあるだろうが、追いかけられるだけの素質は秘めている。その馬名(セイルラージ=順風満々)どおりの競争生活を送れる事を願う。

ゴールスキー

2010-01-28 16:25:43 | 07年生
ゴールスキー(ネオユニヴァース×ニキーヤ-Nureyev)牡・07生

主:8 結:4 土:2 弱:5 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4 特:1(主導牝馬クロス)
合計:37+1点 クラス:1A 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 ゴールスキーは血統の前面で、Almahmoud5×5・7と作成し主導とした配合。この主導はかなり明瞭だと言え、ゴールスキーの血統を強力にリードしている。但し、父母のポインテッドパスはAlmahmoud~Mahmoudを含まず、この部分は動き出しが遅く若干の不満が残る。
 
 また、結合力や土台構造にも不満が残り、ややちぐはぐな印象が残る。

 反面、父や母が持っていたHyperion(9連)の流れにはかなりの迫力があり、仕上がった際の破壊力は期待できる。更に、Donatello・Bull Lea~Bull Dog(=Sir Gallahad)のスタミナを上手く主導へと取り込んだ形態を作り上げ、12Fはドンと来いと言い切れる内容では無いが、全体としてはスタミナ優位の配合だと言える。

 スピード面も中々良く出来た配合だと言え、Nasrullah・Pharamond(=Sickle)・Tetratemaとクロスさせ、それらを主導へと補給している。

 本質的には中距離馬と言える内容で、父であるネオユニヴァースの良さを上手く生かした配合だと言えるだろう。無事な成長を期待したい。
 

ヴィクトワールピサ

2010-01-23 13:05:34 | 07年生
ヴィクトワールピサ(ネオユニヴァース×ホワイトウォーターアフェア-Machiavellian)牡・07生

主:7 結:6 土:2 弱:5 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:38点 クラス:1A 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 ヴィクトワールピサは血統の前面で、Halo3×4を形成した配合馬。このHaloは系列クロスを形成する、Almahmoud5×6・6を内包し極めて強力とは言い難いものの、血統全体をリードし主導としての機能をはたしている。

 また、主導たるHaloが3代目からクロスしているため、近親度の強さを考慮しても結合面に対する評価は悪くは無い。しかしながら土台構造はBlandford・Gainsboroughが形成するものの、やや散漫で惜しまれる点である。

 更に、大きな弱点や欠陥は無い配合で、影響度バランスも(8-3-9-3)と安定感のある配合だと言えるが、やはり近親度の強さが気にはなる点であり、突然の不調や故障には通常以上の配慮を要するタイプだと言える。

 しかしながら、生かされたスピード・スタミナ勢力は中々に強靭で、HaloへとAlmahmoud・Nasrullahをはじめ、Fair Trial・Tetratemaがスピードを、Crepello・Hyperionがスタミナを補給している。ややスタミナ勢力に比較してスピード勢力が強い為、距離延長といった点では不安が残るものの、ペース次第では12Fを克服することは可能。

 日本向きの中距離馬といった趣がある配合だと言え、決して成長力の高い配合だとは言い難いものの、血統構成自体は優秀でクラシックでの活躍を期待したい配合馬。