血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

エイシンフラッシュ

2010-06-04 17:56:14 | 07年生
エイシンフラッシュ(King's Best×ムーンレディ-プラティニ)牡・07生

主:5 結:5 土:1 弱:5 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:34点 クラス:3B 芝:9~15F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:○

 エイシンフラッシュは血統の前面で、Birkhahn5×5を作成した配合。このBirkhahnはAlchimist~Heroldと系列クロスを形成し、非常に珍しくはあるものの主導として機能している。しかしながら、その父Alchimistは血統の2ブロックにしか存在せず血統全体を見渡しても多数派という訳でもない。したがって、主導としての評価自体は高くは無い。

 また、土台構造はかなり散漫でPhalarisが10ヶと、相当貧弱だと言わざるをえない。とは言うものの、BirkhahnがPhalaris・Bay Ronaldを内包していたのは幸いだと言え、この両者によって、9代目までにぎこちなさは残るもののきちんと結合を果たしている。

 ドイツ系の異系配合でありながら、生かされたスピード勢力はNasrullah・Forliを生かしているため悪くは無く、やや物足りなさは残るものの決して悪くは無い。更に、スタミナ勢力は非常に強靭でTantieme・Hyperion・Magnat・Bahramとクロスさせ、それぞれ主導へとスタミナを補給している。本質的なステイヤーとしては若干もの足りなさを覚えなくもないが、7~8代目においてもスタミナ優位のクロスを作成し、国内の芝でなら間違いなく15F克服可能。個人的な見解ではあるが、このように7~8代目において隠し味的にスタミナを補給した配合は、長く脚を使えるタイプが多く、また本馬の場合シンプルな形態でこそ無いものの、クロス自体が少なく脆弱ではあるもののきちんと結合をしている為、瞬間的な反応のよさを見せてもおかしくはない。

 更に、血統全体を見渡してみると、これといった弱点・欠陥は存在せず、影響度バランスも悪くはない為、安定感のある血統構成だと言える。

 総括すると非常に珍しい血統構成ではあるものの、理にかなった部分がある血統で、今後の成長を含め興味深く見たい配合だと言えるだろうか。

サンテミリオン

2010-05-24 20:03:49 | 07年生
サンテミリオン(ゼンノロブロイ×モテック-Last Tycoon)牝・07生

主:6 結:6 土:3 弱:4 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:普通 馬場適性:兼用 重馬場適性:□

 サンテミリオンは血統の前面でNearctic6×5および、Almahmoud5×6を形成した配合。両者の影響力は拮抗しており主導としては若干不明瞭であるが、血統全体を鑑みるにNearco~Pharos(=Fairway)系の流れが強い為に、どちらかを選べと言われた場合Nearcticが主導だと言えるか。

 また、異系交配の配合馬にしては全体の結合力は悪くは無く、NearcticとAlmahmoudはGainsboroughで8代目までに確実に結合している。他に6代目までに影響を及ぼしているクロスである、PharamondはPhalaris・Seleneで、Buckpasser・Native DancerはPharamond~Phalarisで結合し、前述したBuckpasserがWar Admiral~Man o'Warなど米系の血統をしっかりと結合させる粘着剤の役割を果たしている。これはかなりのレベルだと言える。更に土台構造もGainsboroughが16ヶと平均レベルは確保されているのが見てとれる。

 この結合力がサンテミリオン最大の武器で、仕上がった際には、粘りあるスピードを発揮できる可能性を秘めている血統構成だと言える。

 血統の前面においてはスピードが勝った配合だと見えるが、7~8代目においてSir Gallahad(=Bull Dog)~Plucky Liege・Hyperion・War Admiral~Man o'Warがしっかりクロスされ、結合力の強固さを生かして血統の前面へと吸い上げている為、本質的には中距離馬だと言えるだろう。惜しむらくは、母が抱えるMill Reef・Sicambreのスタミナを生かしきれなかった点で、本当に厳しい流れになった場合、脆さも同居する可能性があり12F克服は相手やペース次第だろうか。

 その、Mill Reefは母系クロスで4※4となってはいるものの、スタミナというよりはややスピードよりとなっている為に、徐々に8~10Fを守備範囲とするタイプにシフトしていくと考えられる。

ダノンシャンティ

2010-05-13 15:38:34 | 07年生
ダノンシャンティ(フジキセキ×シャンソネット-Mark of Esteem)牡・07生

主:7 結:5 土:2 弱:4 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:36点 クラス:3B 芝:7~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 ダノンシャンティの前面でクロスしているのは、Halo3×3の中間断絶クロス。Halo内はAlmahmoudが系列クロスを形成し、Haloが実質的に主導だと言える。このHaloへと、血統に散在するクロス馬を集積したのが、ダノンシャンティの能力の源泉だと言えるだろう。

 主導たるHaloへの血の流れは良好で、3代目から影響力を行使している点も相まって、結合力も強固だと言えるが、近親度の強さを考慮するとやや良いといった程度だろうか。また、土台構造もGainsboroughが14ヶとやや貧弱で(実質的主導はAlmahmoudの為Pharos(=Fairway)を土台構造および、そのアシストとするのには無理がある)、ややアンバランスな血統構成だと言える。

 しかしながら、その生かされたスピード・スタミナ能力はかなりのレベルで、前面でクロスするのはスピードタイプが多く全体的にスピード優位と言えなくはないが、Blue Swords~Blue LarkspurやSir Gallahad(=Bull Dog)など、意外ときめ細かくスタミナを生かしている。Milan Mill5×6はその父Princequillo6×7・7とクロスしスタミナを補給はしているものの、Khaled(=Red Ray)の影響も強く、ややスピードよりの血統構成になった為、スタミナの核としてはやや弱いのが惜しまれる。

 それでも、全体的には良く出来た血統構成だと言え、軽いスピードを血統の奥にあるスタミナで底支えすることが出来た内容で、日本の軽い芝向きのスピード馬だと言えるだろう。前述のスタミナの核の欠如から、本質的には10F前後までの血統構成だと言え、12F克服は展開の助けが必要になるだろう。

トゥザグローリー

2010-04-27 17:31:08 | 07年生
トゥザグローリー(キングカメハメハ×トゥザヴィクトリー-サンデーサイレンス)牡・07生

主:7 結:5 土:4 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:3
合計:37点 クラス:3B 芝:7~10F ダ:7~9F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:□

 トゥザグローリーの血統を強力にリードしているのは、Nureyev4×3である。このNureyevは途中Nearcticが断絶するものの、Northern Dancer5・5×4とクロスさせ、ほぼ系列ぐるみのクロスを形成。やや近親度が強くなっているものの有効に作用している(父方7代目Northern Dancerは世代ズレと判定しクロスとカウントしていない)。

 このNorthern Dancerは、Almahmoud・Native Dancerとクロスさせたうえに、Nureyevの影響やNasrullahの影響をうけスピード型へと能力をシフトさせていると考えられる。

 また、結合力自体は主導たるNureyevが3代目からクロスする為に悪くは無いものの、近親度の強さを考慮すると平均的だと言えるだろう。反面、土台構造は強固だと言え、Pharos(=Fairway)が18ヶ、Gainsboroughが15ヶと世代が新しい配合の中ではかなりのレベルを確保している。

 惜しむらくはスタミナの核の欠如で、距離延長は本質的に不利なタイプだが、生かされたスピード勢力はNureyevへと効率よく補給されているのは見て取ることができ、日本向きのスピード配合だと言えるだろう。

 また、前述の世代の問題や、極端では無いものの、影響度バランスの悪さ(8-2-4-11)や近親度の高さから調整には難しさを伴うタイプだと考えられる。

 全体としてみると、決して悪い血統では無いものの、母トゥザヴィクトリーの血統的優秀性(1A)やその戦績を背景にした良血期待に応えるには、やや物足りなさは残るか。

パルラメンターレ

2010-04-27 15:13:21 | 07年生
パルラメンターレ(Empire Maker×Knight Prospector-Native Prospector)牡・07生

主:7 結:6 土:2 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:5 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:6~9F ダ:5~9F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:ダート 重馬場適性:○

 パルラメンタールの主導はMr.Prospector4×3。他に前面でクロスする血統も無く、Mr.Prospectorは単一クロスであるものの、Nasrullah・Native Dancerと影響の強い血統を内包している為、見た目よりも強力に血統をリードしている。

 さらに、血統全体で米系が強く、主導たるMr.Prospectorがそれらを纏める為にかなり有効に働いている。惜しむらくは、血統を構成する血の質が低いことと、上質のスタミナの核を欠く事だが、ことスピード面に関しては、快速馬として名を馳せたMr.Prospectorを良く再現している。

 また、自身の土台構造を形成しているのも、米系統であるBull Dog(=Sir Gallahad・Marguerite de Valois)であるのも非常に目を引く点である(しかし、全体で14ヶとやや物足りないのが惜しまれる)。

 従って、ダート短距離というカテゴリーでは、見るべき点が多い血統構成であり、系列クロスが少ない為に、よりいっそうダート向きだと言えるだろう。脆さも同居する血統であるものの、動向には注目してみたい。