あおむが
「その前にだすな。
女の悪魔が僕に気がついていたか、
どうかが問題だす。
それによって、
チウメさんとアユメさんのどちらの証言が信用できるか
決まるんじゃないだすか?
もし、
僕に気づいていたら、
キャー
と言ったか、
逃げて
と言ったかについては、
本当のことを言えばいいだけで、
あえて嘘をつかない
と思うんだすよ。
それは、
後で、
僕がちゃんと本当のことを証言する可能性が高い
と思うのが普通だからだす。
だば、
女の悪魔は僕のことに気がついてたかどうかだすが、
僕は多分気づかれていた
と思うだすな。
僕が本当に死んでいたかどうかは
露店風呂に行けば確認できただすからな。
それだすのに、
犯人グループが、
僕を殺していなかったのだす。
それは、
おそらく、
僕を証人にするためだすよ」
と話していると、
「長くて今一わからないな。
もっと的確に話せよ」
と
木太郎が言う。
「だば、
結論から言うだすと、
アユメさんが犯人グループの一味の一人だす。
アユメさんは、
逃げて
と言って、
容疑者に仕立てる予定のチウメさんをまず逃しただす。
そして、
チウメさんが逃げた後、
アユメさんを利用しているつもりだったおばさんとカレイさんを、
オチタと一緒に殺しただす。
おばさんとカレイさんは、
実はヒラメさんを殺すつもりだったんだ
と僕は思うんだすよ。
だから、
アユメさんの言葉にもかかわらず逃げなかったんだすよ。
多分、
あの惨劇の前日、
わざと永久さんとヒラメさんを閉じこめて、
一種のアリバイを作って、
閉じこめたところで、
二人を実は殺そうとしたんだすが、
僕が助けてしまったんで予定を変更したんだすよ」
「うーん、
面白い推理ではあるけど、
何の根拠もないなあ。
やっぱりズボンのことを根に持って、
アユメちゃんを犯人にするために、
考えたんだろ!
こいつ」
と
木太郎は、
はなから
あおむの推理を信用していない。
このとき、
エイタやいつきも首を捻っていた。
(続く)