S嬢のPC日記

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初めての告白

2005年04月15日 | ○○さんにトラックバック!
小学校に上がったばかりの頃だったと思う。
幼稚園の頃から行き来をしていた、すぐ近所の男の子の家に遊びに行っていた。
その日に、その男の子に見せたくて、叔父が買ってくれたかわいらしいノートを、無理やりスカートのポケットに突っこんだことを、なんだか妙に記憶している。
そんなもの、男の子に見せたって、別におもしろくもなんともないんだけれど、多分、自分が喜んでいることを知って欲しかったのかもしれない。

その子と二人で遊んでいるときに、その子の母親が少しの時間、用足しのために外出した。
そのときに。
その男の子が、わたしを正面からまともに見据えて言った。
「ボクはSちゃんが好きなんだ」って。

いや、好きだから一緒に遊んでるんですけどね。
でも、このとき、わたしは全身に緊張が走った。
ちがう、言ってるのは、そういう「好き」じゃない。

なんだか体を固くして、呆然としていると、彼はさらに言った。
「Sちゃんもボクのこと、好き?」

密室の中、NOが言えない緊張感を感じながら、わたしは黙ってうなづいた。

「じゃあ、キスして」

全身に恐怖と緊張感が走り、そうしなければならないような強迫観念の中、わたしは彼の頬に唇を押しつけた。

満足したように彼が微笑んだときに、玄関の音がして、母親が帰ってきた。

・・・助かった。

と、本当にそのとき、そう思った。
息を吹き返したような気持ちで、わたしは彼に言った。

「ねえ、外で遊ぼう」

多分、あのときが、生まれて初めて「男って怖い」と思った経験かもしれない。
彼がどうのってことではなく、わたしは「密室に男と二人だけでいるときに起きる可能性のあること」を知ったのだと思う。
それから二年ほどの間に、彼は遠くへ引っ越して行った。

他愛も無いことだったんだろうと思う。
彼の記憶には、きっと残っていない程度のことなんだろうと思う。

結婚してその地を離れ、その町もずいぶん雰囲気が変わった。
彼の住んでいたアパートも、取り壊されて住宅になった。
でも。
今でも、そこを通るたびに、わたしはちょっと身を固くする。

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40年前そして10年後 「初めての友達」
友人のブログです。
ふっふっふ、こんなこと始めたか、という思いで、トラックバック、あげます(笑)。

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