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横田の里の常連さんが綴る里のネタ特集

歯周病

2016年03月02日 | 冬ネタ

「永久歯」といっても、この人生80年時代に、死ぬまで歯が生えそろっていてくれるわけではない。年を重ねるごとに歯を失い、咀嚼に支障をきたすようになれば、食事もままならなくなってしまう。一生「噛める」喜びを味わうには、シニア世代が行なう手入れは不可欠だ。歯の悩みを解消する最新医療技術を紹介する。

 シニア世代の歯の悩みの筆頭にあげられるのが歯周病だ。歯の生活習慣病といわれ、40~50代で急増し、50代の83%、60代の85%以上が歯周病と推定されている(平成23年厚労省歯科疾患実態調査)。同調査によると50代での喪失歯は約4本だが、60代では約7本、70代では約11本と、10年ごとに3~4本ずつ歯を失っていくことがわかる。

「この世代が歯を失う原因のほとんどは歯周病です。細菌や微生物の感染により歯の周囲の組織が炎症を起こし、放置すると最終的には歯が抜け落ちてしまいます」

 こう話すのは、国際歯周内科学研究会創設者である生田図南・生田歯科医院院長だ。

 歯周病の原因は、歯にこびり着いた歯垢(プラーク)に棲息する歯周病菌だ。虫歯の主な原因となるミュータンス菌とは種類が異なる。

 感染を放置すると、歯肉(歯茎)に炎症が起きて腫れや痛み、出血が起きる。やがては、歯肉の炎症だけでなく歯を支える歯槽骨にまで影響が及んで骨が溶け、歯を失うことになる。

「歯周病治療の基本は、原因菌を除去し、炎症を止めることです。歯周病菌に感染すると、毎日のブラッシングだけでは、なかなか除菌できません。喫煙、糖尿病、噛み合わせなど色々な要素が複雑に絡み合います。歯科医院での検査や適切な治療が必要です」(生田氏)

加齢とともに避けられない歯周病。歯と歯茎だけの問題だと考えがちだが「歯周病の炎症によって生じた毒素や歯周病菌そのものが、血液を介して体内を巡ると、全身疾患の引き金になる可能性も!」と警告を鳴らすのはクラジ歯科医院院長の倉治ななえさん。

 なんと、心筋梗塞・動脈硬化を起こす可能性があるというのだ。

「歯周病菌には血液中の血小板を固める作用があり、動脈に血栓を作ります。そのため、心筋梗塞などの心疾患を引き起こしやすく、そのリスクは歯周病にかかっていない人の2~3.6倍にもなります」(倉治さん・以下「」内同)

 また、「妊娠中に歯周病にかかると早産や、低体重児が産まれる確率が高まることも」あり、さらには「血糖値を下げるインスリンの働きを歯周病菌が出す毒素が阻害し、糖尿病を悪化させます」というから、歯だけの問題だと甘くみない方がよさそうだ。


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シニア世代の歯の悩みの筆頭にあげられるのが歯周病だ。歯の生活習慣病といわれ、40~50代で急増し、50代の83%、60代の85%以上が歯周病と推定されている(平成23年厚労省歯科疾患実態調査)。

 感染を放置すると、歯肉(歯茎)に炎症が起きて腫れや痛み、出血が起きる。やがては、歯肉の炎症だけでなく歯を支える歯槽骨にまで影響が及んで骨が溶け、歯を失うことになるが、歯周病の怖さは口腔内に限った話ではない。歯周病が全身の病気に深くかかわっていることを裏付ける研究やデータが近年、数多く報告されている。

「歯周病が口腔がんだけでなく、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、膵臓がん、胃がん、血液のがんに対して危険因子になり得るという論文が世界的に権威あるイギリスの医学誌『ランセット』などに発表されました」(明海大学歯学部臨床教授の河津寛・河津歯科医院院長)

 高齢者の死亡原因のトップである誤嚥性肺炎との因果関係も指摘される。誤嚥性肺炎は口腔内の細菌が肺に侵入して起こるが、口腔内を清潔にすることでリスクが激減する。

 また、口腔内の歯周病菌が心臓の内膜に付着して細菌性心内膜炎を起こしたり、糖尿病を悪化させたりすることもある。歯周病を治療すると血糖値が低下するという結果も臨床現場から多数報告されている。