日本サッカー協会が女子日本代表「なでしこジャパン」のMF澤穂希(36)=INAC神戸=に対し、幹部候補としての“入閣オファー”を出す意向であることが22日、分かった。同協会の小倉純二名誉会長(76)は日本招致を目指す2023年女子W杯に向けた招致委員長への就任を要請する構え。また、来年3月に行われる同協会の役員改選でも、なでしこの“大御所”が新役員に推薦される可能性が極めて高く、VIP待遇による“女の花道”が待っている。 (夕刊フジ編集委員・久保武司)
W杯カナダ大会に臨む直前に、澤は「自分の中では、これが最後のW杯になると思っている」と“代表引退”の意思があることを示唆している。それだけに、日本協会では今大会終了後の36歳の去就に注目している。
「2023年まで現役はやらないでしょう。そうなれば、委員長をやってほしい」
澤に対して、熱い思いを披露したのは、小倉名誉会長だ。23日(日本時間24日)の決勝トーナメント1回戦オランダ戦の応援に向かうため、この日カナダへ出発したが、日本協会が招致を目指す23年女子W杯の招致委員長就任へオファーする意向を明かした。
W杯連覇への第一関門となるオランダ戦を目前にして、協会幹部といえる招致委員長への就任要請は、気の早い話に聞こえる。澤は大会後に代表引退を表明する可能性が高いが、現役までも辞めるかは別の話だ。それでも「現役引退はしなくても、大会招致アンバサダーなど何らかの役職に就いてもらいたい」(協会関係者)と熱烈ラブコールを送るのだ。
澤が現役引退した場合、来年3月に改選される協会役員に推薦される可能性が極めて高い。また、これまでの協会理事職で同会長が2人を選べる“特別枠”が廃止され、基本的に協会役員が理事を兼任することが決定。この流れで役員として推薦されれば女性理事に就任することもありえる。協会幹部は「これからは選手で、それもW杯など大舞台で活躍した人が顔にならなければいけない。澤はぴったりの人材だ」と“推薦”する。
世界ランキング4位のなでしこは、カナダ大会で苦戦を強いられながらも決勝トーナメントに進出。連覇を狙っている。一方で8月の東アジア杯(中国・武漢)、さらには来夏のリオデジャネイロ五輪に向けた『世代交代』も迫られている。それだけに、代表メンバーの特性や戦術を熟知し、今回で6度目となる国際舞台での戦い方を知り尽くしている澤には、チームの“大御所”から、世代交代を進め新生なでしこを編成する、女子サッカーの“大番頭”としての役割が求められている。
大会前にはコンディションが心配されていた澤だが、カナダのピッチでの存在感は抜群だ。「やる以上、一番きれいなメダルを獲るんです」。9月には37歳となり、戦線から身を引くことを模索するベテランが、チームへの置き土産として考えているのは当然、W杯連覇しかない。