東京電力福島第一原発5、6号機の廃炉を東京電力責任者が決断したことは当然のことであり、判断が遅すぎたことは糾弾されるべきことです。これだけの放射能汚染と、地域住民への被害を与えたことの反省を前提すれば、第一すべての廃炉、また、第二原発の全原子炉廃炉も決定すべきことです。廃炉決断しないことは再稼動をさせることと同義であり、東京電力経営者のモラルのなさを証明していると思います。再稼動していなくても、原子炉を維持し続ける限り、膨大な核燃料、使用済み核燃料、設備の放射性物質の保管管理に多額の経費をかけ続けることになります。その費用はすべて、国費(国民負担)、東京電力利用料金(東京電力管内の利用者)に上乗せされる関係となっています。こんなことが許されて良いはずはありません。
安倍、自民党政府は東京電力に対する資金提供を10兆円規模に拡大することを閣議決定した(ニュース報道)としています。自民党政権は原子力エネルギーを今後も維持し続ける、新設の原子力発電所の建設も行うとしています。彼らの政治倫理は地に落ちており、これだけの汚染被害を東北、関東地域、住民に与えながら、なおかつ原子力発電所にしがみつき、うそ(安い電力、安全安心などなど)の宣伝を行っていることは許せるものではありません。
すべての原子炉を廃炉にすることを要求します。同時に、現状で電力は不足しているわけではありませんし、利用者の節電によっても使用量の上限を超えることはないことも証明されています。東京電力に巨額の10兆円もの資金提供を行うのではなく東京電力の破たん処理を行い、刑事責任を問うべきです。そして、発送電分離を早急に行い、再生可能エネルギー分野への投資拡大、新たな企業の参入、雇用の受け皿としての活用も早急に行うべきです。これらのことを通じて、3.11震災復興、東北の汚染除去、避難者への手厚い保障と生活再生への政治的な対応を行うべきです。
福島5、6号機 廃炉決定 来月末 東電、経産省に届け出
東京電力は十八日、取締役会を開き、福島第一原発5、6号機を来年一月末で廃炉にすると正式に決め、経済産業省に届け出た。重大事故を起こした1~4号機を含め、福島第一原発の六基すべての廃炉が決まった。地元の福島県などは二年二カ月前から廃炉を求めており、東電の決断は遅かった。
東電の広瀬直己(なおみ)社長は十九日に、福島県の佐藤雄平知事らに廃炉決定を報告した後、報道陣の取材に応じるという。
二基の廃炉で、国内の商業用原発は四十八基となる。来年度以降、原子力規制委員会に二基の廃炉を進めるための計画を提出し、認可を求める。計画では二基を、1~4号機の「実物大の模型」と位置付け、溶け落ちた核燃料を取り出す技術開発や、廃炉作業の訓練などに利用する。
東電は廃炉で使わなくなる発電機などの設備や、施設の資産価値が目減りする分の数百億円を、特別損失として計上する見通し。従来なら本年度に計上する損失額は計二千億円程度になるはずだったが、国が十月に電力会社の廃炉負担を複数年に分割できる新しい仕組みを導入したため、本年度の損失額は大幅に減る。経営の改善が図れなければ銀行からの融資を受けられなくなる可能性があったが、損失額が大幅に減ることで、東電の経営への打撃が緩和される。
5、6号機の廃炉は、安倍晋三首相が九月、事故収束に集中するために要請。今月十三日には立地する福島県双葉町と大熊町に廃炉の方針を伝えていた。
◆社長、会見せず
東京電力は福島第一原発5、6号機の廃炉という重大な決定をしながら、広瀬直己(なおみ)社長は記者会見せず、社長コメント付きの報道発表文を配って説明しただけだった。「当社ばかりか、福島県にとっても、重い決断。まずは知事に決断内容をご説明してから、マスコミにも説明したい」。東電の担当者はこう強調した。しかし、十三日には立地する双葉町と大熊町に、福島復興本社の石崎芳行代表らが廃炉の方針を伝えて了承を得ており、県にも十七日に伝えてある。
一昨年五月に1~4号機の廃炉を決定した際には「事前に知らされていない」と地元から不満の声が上がった。石崎氏らは、その苦い思いを何度も強調している。だが、今回はきちんと事前に説明し、その後に廃炉を決めた。決めたその日のうちに、発電所としての役割を廃止する届け出も経済産業省にしている。それでも東電は、形式にかたくなにこだわった。