「野党が矛盾や問題点をただしても、政府・与党は同じ説明を繰り返すだけだ。揚げ句、数の力に頼るかもしれない。合憲性が厳しく問われている以上、政府は安保法案を引っ込めるべきだ。法案を押し通すために国会の会期延長をすることは認められない。」
問題は、会期が少ないことではありません。戦争法案が憲法違反であるということ。また、圧倒的な国民が理解できない、この戦争法案を今国会で成立させることに反対していることなのです。
自分が、批判され、負けそうになれば会期を延長して強行採決を行う。そこにしがみつく。会期とは何かが問われています。ルール無視の反国民的、非民主主義の代表政党が自民党、公明党と言うことなのでしょう。
憲法学者の9割、弁護士会の大半、自民党の元重鎮、民主団体の多く、国民の約八割が反対する戦争法案は廃案にすることこそが正当、常識なのです。
<信濃毎日社説>終盤国会 安保法案を引っ込めよ
国会の会期末が24日に迫る中、政府・与党は会期延長の本格的な検討に入った。集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案の成立を確実にするためという。
衆院憲法審査会で3人の憲法学者から法案が憲法違反だと指摘されたことが大きく影響した。政府側の姿勢や発言も首尾一貫しないところが多く、安倍晋三政権が考えていた日程通りには国会審議が進まなくなった。
憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認した昨年の閣議決定も含め、国民の懸念を置き去りに、安倍政権はスケジュールありきで突っ走ってきた。問題が噴出するのは当然である。
そもそも、戦後の安保政策を大転換させる法案だ。一つの国会で成立させることに無理がある。反対する国民は多い。広く支持が得られない法案を成立させることを許すわけにはいかない。
「(憲法が禁じる)外国の武力行使と一体化する恐れが極めて強い」「憲法9条は海外で軍事活動する法的資格を与えていない」
先週の衆院憲法審査会で安保法案を違憲とした憲法学者の指摘は明快だった。自衛隊のリスクが増すかどうかが焦点だった国会審議の流れを変えた。
政府・与党は反論に躍起だ。1959年の砂川事件の最高裁判決を根拠に合憲と主張。「わが国が存立を全うするために必要な自衛のための措置を取り得る」とした部分に着目、集団的自衛権の行使は認められるとしている。
安倍首相は「法整備の基本的論理は、砂川事件最高裁判決と軌を一にする」と訴えた。
安保法制に関わってきた自民党の高村正彦副総裁もこの判決を根拠に正当性を強調している。一昨日の憲法審査会では「憲法の番人は最高裁であって、憲法学者ではない」と言い放った。
しかし、政府側の言い分は説得力に欠ける。例えば、横畠裕介内閣法制局長官は「(砂川)判決は集団的自衛権について触れているわけではない」と述べた。安倍政権が昨年、判決を行使容認の根拠にしようとしたが、前面に出すのをやめたのはこのためだ。説明のちぐはぐさが目立つ。
野党が矛盾や問題点をただしても、政府・与党は同じ説明を繰り返すだけだ。揚げ句、数の力に頼るかもしれない。合憲性が厳しく問われている以上、政府は安保法案を引っ込めるべきだ。法案を押し通すために国会の会期延長をすることは認められない。