自民党政権は、原子量発電所の建設、再稼動にこだわり、再生可能エネルギーの普及には全く後ろ向きです。原子力発電所の再稼動と輸出に政権を上げてまい進していると言うのが実態です。その安倍、自民党政権に待ったをかけているのが国民の反対運動、司法判断です。このような民主団体、司法、多くの国民の反対の声がなければ、すでに原子力発電所の再稼動を行っていたでしょう。その意味では、国民的な反対運動の盛り上がり、世論の動向が政権に対して歯止めとしての政治的圧力をなっています。
自民党政権、経団連などは原子力産業の利益代表の要求を入れて、再生可能エネルギーへの投資には全く消極的です。北海道では北海道電力が大手企業の太陽光発電を買い取らないと言う事態も報道されています。11年三月の原子力発電所事故の教訓などはどこになるのかといった感じですらあります。太陽光、風力,地熱発電などが豊富にありながら、資金がない、買取をしない電力会社のために再生可能エネルギーの構成比が増えない状況が続いています。政権の無策には本当の怒りを感じます。ロシア、アメリカ、日本と三つの原子力事故を起こした日本こそが、再生可能エネルギー投資、エネルギーにおける構成比を最大化する努力を世界に先駆けて行う義務があるはずです。
原子力発電がコスト的に安いかの主張ですが、原子力発電所の事故処理費用、非難賠償金、使用済み核燃料の保管すら決まっていない原子力発電コストが安いかの宣伝には納得できない。このようなまやかしの主張、安さのごまかし宣伝にだまされないようにしなければならないと思います。
<毎日新聞社説>再生エネルギー買取 普及と負担の調整図れ
経済産業省が、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が固定価格で買い取る制度(FIT)の見直しに動き出した。
電気料金が上がって経済に悪影響を与える心配が強まってきたからだ。再生エネの拡大と利用者負担の抑制をどう調和させるのか。先を行く欧州各国でも試行錯誤が続く難題だが、脱原発を実現するためにも知恵を絞る必要がある。
制度見直しの議論は経産省の有識者会議で始まった。年末までに具体策をまとめる予定だ。
FITは、原発事故の反省から脱原発路線を打ち出した民主党政権が2012年7月に導入した。電力会社は太陽光、風力などの発電事業者から、政府が決めた価格で電気を買い取らなければならない。その費用は電気料金に上乗せされる。
平均的な家庭の上乗せ負担額は今年度、月225円と12年度の2・6倍に上がる。国民の負担は再生エネの比率が高まるほど重くなる。再生エネ先進国では既に深刻な問題になっている。平均家庭の負担が月2400円に達したドイツでは買い取り対象設備の縮小などを盛り込んだ関連法案の審議が進むが、再生エネ普及の足を引っ張る懸念は拭えない。
日本の制度では買い取り価格は毎年見直される。発電コストが技術の進展に伴って下がっていくためだ。しかし、政府の認定を受けた発電事業者は認定時点の価格を10〜20年間維持できる。新規参入を促すための仕組みだが、認定だけ受けておき、コストが下がってから事業を始めて「ぬれ手であわ」の差益を稼ごうという悪質な商法も誘発している。
FIT導入から今年3月末までに認定を受けた事業者の発電能力(容量)は計6800万キロワットを超えた。制度導入前の稼働実績は約2000万キロワットだから大幅な増加だ。しかし、実際に発電を始めたのは認定容量の13%しかない。容量ベースで全体の9割強を占める太陽光(10キロワット以上)が、1割しか運転開始していないことが響いている。
経産省は太陽光の認定を受けながら事業を始めない悪質業者の認定取り消しを始めた。だが、「ぬれ手であわ」を許さないためには、より厳格な制度への手直しが必要だ。
認定が太陽光に偏っているのも問題だろう。有望と見られた風力や世界3位の資源量があるという地熱の申請はわずかしかない。天候で発電量が乱高下する風力は、広域利用することでリスクを分散する必要がある。地熱は環境保護や地域の温泉事業者らとの調整が欠かせない。
国民の理解を得ながら再生エネを拡大させるには「価格」で解決できない課題にも向き合う必要がある。
東日本大震災 帰還困難区域/効果的な除染法の確立急務
<河北社説>
福島第1原発事故に伴い帰還困難区域に指定された地域でも、除染を行えば、事故から10年後の2021年には個人の年間被ばく線量は20ミリシーベルトを下回るとの推計結果を政府が発表した。
「年20ミリシーベルト以下」は避難指示解除の重要な要件の一つ。それをクリアする推計が出るのは初めてで、帰還を考える参考データにはなり得る。
ただ、帰還時期を見通す指標と評価するのは早計だ。原発事故から3年以上経過し、放射性セシウムが家屋の外壁などにこびり付いているとみられる。除染の効果は地形や場所によってばらつきがあり、きめ細かな検証が必要だ。
帰還を促す材料にしたい政府の思惑も見えるが、安全が担保されない以上、住民が納得するはずがない。政府が除染の長期目標とする「1ミリシーベルト以下」を上回る推計結果では不安を解消するにはほど遠い。
帰還困難区域では、いまだに本格的な除染は行われておらず、開始時期も決まっていない。高線量地域での効果的な除染方法と作業員の被ばく防御対策の確立を急ぐ必要があろう。
帰還困難区域は、空間放射線量が年50ミリシーベルトを超え、原発事故発生後5年間を経過しても20ミリシーベルトを下回らない恐れのある地域が指定された。大熊、双葉、浪江、富岡、飯舘、葛尾、南相馬の7市町村の計337平方キロメートルで、人口は約2.5万人。面積、人口とも避難区域全体の約3割を占める。
環境省はこの区域での除染を視野に入れ、昨年9月から今年2月に大熊、双葉両町の一部で除染効果を実証する事業を実施した。得られたデータに基づき、放射性物質が減る「自然減衰」などを加味し、内閣府が今回初めて放射線量を推計した。
試算では、成人男性が1日屋外で16時間過ごした場合、昨年11月に年100ミリシーベルトの地点は、除染を行わなくても事故から10年後には半減期や自然減衰により年37ミリシーベルトまで低減する。除染した場合、年9~19ミリシーベルトまで減らすことが可能という。年50ミリシーベルトの地点では、除染なしで年19ミリシーベルト、除染すれば年6~11ミリシーベルトと推計した。
福島第1原発周辺地域に「国際研究産業都市」を創設する構想がある。政府はロボットの開発や技術者の育成など廃炉を加速する研究拠点とし、復興を世界に示したい意向だ。東京五輪が開かれる20年を当面の目標に掲げ実現を目指している。
政府は構想の報告書を、福島・国際研究産業都市構想研究会で、除染の推計結果と合わせて公表した。構想の具体化を意識し、放射線量の低減を強調する意図も見える。
放射線量が推計通り低減されなければ、構想は壮大な「絵に描いた餅」になりかねない。帰還困難区域を抱える7市町村の復興計画とも密接に関連する。住民が日常生活を取り戻すため、インフラの復旧など地道な取り組みも合わせて明示してこそ、世界にアピールする構想は現実味を帯びてこよう。
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