昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

三の酉

2017-11-30 20:18:59 | 俳句

11月も暮である。
明日からは師走。
本当に早いものだ。
去年の今頃がつい昨日のように感じられる。
今年の11月は何かとイベントの多い月だった。
それが慌ただしさを増して感じさせるのかもしれない。
なにかと落ち着いて取り組むこともなく過ごした一年だが、残された一か月は、せめて充実して過ごしたいものだ。

風ひと吹きあはれ追われて三の酉   素閑

三の酉ビルの合間の侘び暮らし   素閑

三の酉人付き合いを煩いて   素閑

三の酉洗濯に追わるわが妻や   素閑


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芭蕉忌

2017-11-29 05:51:36 | 俳句

風雅の弁えというものは大切なことだが、世知辛い世の中である。
そうそう花鳥風月の世界に浸っているわけにはいかない。
飯の心配もしなければならないし、税金の心配もしなければならない。
世の煩いにも悩みつつ、雅尽くしも味わうというのが丁度いいのかもしれない。
世の中、バランスが肝心である。
銭勘定に狂奔しているのも愚かだし、ミソヒト文字だけに精魂を傾けているのも、お前の食い扶持はどうなっているんだということになる。
まあ、妥協しつつ、譲りつつ、過ごしていくというのが世の中というものである。

ばせを忌や冬日さんさん照りにけり   素閑

翁の忌鼠這いずる天井や   素閑

寺の様いわくありげの芭蕉忌や   素閑

子の嫁する日を夢見るに芭蕉忌や   素閑






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敷松葉

2017-11-28 00:17:03 | 俳句

佐伯祐三という画家がいる。
芸大を出て画家になった。
実家は浄土真宗の寺である。
住職は兄が継いだ。
次男の彼は絵描きになった。
結婚し、パリに渡り、ヴラマンクに師事した。
当初、ヴラマンクは佐伯の絵を見て、あまりにもアカデミズムに過ぎると激怒したそうだ。
日本に戻った。
懊悩が彼の心を占めた。
家族を連れ、再びパリに渡った。
パリの街角や、郊外の風景を描き続けた。
絵具を叩きつけるようなマチエールである。
オーヴェール・シュル・オワーズにも行った。
オーヴェールの町役場は彼の代表作である。
オーヴェールはゴッホ終焉の地だ。
彼もゴッホのように精神を病み、結核に冒され、食を断って死んだ。
一人娘の奈智子も彼と同じ病に侵され客死した。
異端のフォーヴィズムとはいえ、サロン・ドートンヌの大御所を務めた師、ヴラマンクとは余りにも異なった軌跡を歩んだ。
天才は奇矯である。
平凡が一番良い。
凡庸すぎるが調子はずれのオカブはどうしたらよいのか?

敷松葉ひるの小雨に濡れにけり   素閑

石仏松葉敷きたる寺の端   素閑

敷松葉はらりと開ける引き戸かな   素閑

敷松葉おとなふ人も少なかり   素閑

敷松葉六十間を歩きけり   素閑

 


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南天の実

2017-11-27 00:43:06 | 俳句

 このところ、運動のために三軒茶屋や下北沢に行くときには、徒歩で行くことにしている。
とにかく、糖質ダイエットをしても減らない体重。
衰えいく体力。
どれをとってもいいことがない。
しかも、三茶へ行く上り下りの道で、息が上がって、足腰が重たくなって、ふーふーいいながら歩いている。
これでも学生時代は50k超のリュックサックを背負って、険しい山岳地帯を歩き回ったアルピニストであったはずなのだが・・・・
やはり年寄りの冷や水は良くない。
座布団に座って茶でも飲んでいればいいのである。

余命をば南天の実に問はずとも   素閑

かの山に実る朱きは南天か   素閑

南天を雀一羽が愛でしかな   素閑

南天棒といへど朱く染まる実や   素閑

荒れる風ただ南天の立てるまゝ   素閑

南天に知らぬ天竺胡の町や   素閑   


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十一月

2017-11-26 01:09:59 | 俳句

月日の経つのは早い早いと、ここのところ毎年のように言っている。
今年も、もうすぐ師走だ。
改めて月日の経つのは早い。
そは、まさに無駄に馬齢を重ねているということ。
本当に、世の中に貢献するとか、せめて実のあることをなして日を過ごすことができないかと、いつも思う。
しかし、それも無理なことは判っている。
こうして独り言ちながら、老いてゆく。
しかし、これも大半の人間の定めであろう。
そんなに悲観することもない代わりに、ゆめゆめ自らの老練、老獪、老達を誇ってはならない。
若い人たちに対して、恥であること、失礼であることこの上ない。

こまごまは十一月に済ませけり   素閑

やさしげに十一月の午後の陽や   素閑

しづかなり十一月の啼く鳥や   素閑

茂き樹も枯れ果てたるや十一月   素閑

ひと時の十一月の午後の茶や   素閑


 


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冬凪

2017-11-25 08:24:15 | 俳句

京都は、春夏秋と訪れたことがあるが、冬の京都だけは行ったことがない。
ニュースによると、訪日観光客に人気のあるのは、もはや京都ではなく大阪だそうだ。
中国系や東南アジア系の人々には、京都の取り澄ました雰囲気よりも、大阪のダイナミックさが受けるのだろう。
冬の京都で一回は食ってみたいのが老舗『大市』のマル。すなわちスッポンだ。
昭和天皇は河豚を食ったことがなかったそうだ。
君たるもの一つくらい食わないものがあった方が良いという、侍従たちによる配慮だそうだ。
オカブは昔、河豚は食ったことがある。
もちろんコースである。
大昔のことゆえ、どんな味わいだったか忘れてしまったが、えらく美味いものだったという印象は残っている。
しかしスッポンは食ったことがない。
聞くところによると、これもえらい美味いそうだ。
一度食ってみたい。
金と暇があればの話だが・・・・・

群青の大島の影冬に凪ぐ   素閑

冬凪に帆影遥かも眼近なり   素閑

冬凪の明日は下田か熱川か   素閑

冬の凪電車ゆらゆら通りけり   素閑


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沢庵漬け

2017-11-24 02:33:26 | 俳句

こう言ってはなんだが、オカブは、小人閑居して不善をなす、の典型である。
教会では、ある役員とぶつかって、牧師と役員会とは喧嘩状態。
カルト問題が片付いたら、大人しくしていようと思っていたのだが、成り行き上、こんな羽目に陥ってしまった。
まあ、人の世もままならない。
教会というものも、地上の人が作り上げた組織・機関である。
それを維持・運営していくのは会社など、俗世間のそれと全く変わりはない。
その中で軋轢も生まれ、憎悪も生まれ、対立も深まる。
どこの教会でも、似たようなことが繰り広げられている。
だから、純粋に心の平安をキリストの道に求めようという人は、安易に教会の門をくぐらない方がいいというのが、オカブの勧めである。
教会に根を下ろし、長く在籍するにはよほど信仰が確固たるもので、奉仕の精神が充溢している人でないと務まらない。
オカブなど駄目である。

大根を漬けて世過ぎも侘びにけり   素閑

老ひゆきて大根漬ける独りかな   素閑

すさぶ心沢庵漬けて夕迎へ   素閑


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勤労感謝の日

2017-11-23 00:33:55 | 俳句

かつて「高等遊民」なる言葉があった。
おそらく、家が豊かで、職業に就かず、自分の道楽に飽かせて日々を過ごしている類を言うのであろう。
しかし、彼らは社会に寄生しているばかりではなく、豊饒な文化の担い手でもあった。
高等遊民的な文学者の最たる者は、多分、萩原朔太郎であろう。
彼は前橋の富裕な医者の息子だった。
昔は高等遊民的な職業というものもあった。
医者とか教師の類である。
彼等は、それなりに社会的に高い地位にいたにもかかわらず、その昔は余暇が有り余るほどあった。金もある程度はあった。
だから二足の草鞋を履けた。
その代表的なのが夏目漱石、斎藤茂吉や水原秋櫻子である。
今や、医者と教師は忙しい職業の代表格である。
とても余技を磨いている暇などない。
だから現代は文化が退化している。
サブカルなどというまがい物が跋扈している。
しかし、こんなことに悲憤慷慨する前に、まずは額に汗してパンを稼ぐことである。
今日は勤労感謝の日!

やまひ去り床出て勤労感謝の日   素閑

遠き山影濃し勤労感謝の日   素閑

疾き風に追われ勤労感謝の日   素閑

麦飯を歓び勤労感謝の日   素閑

妻子とも猫も勤労感謝の日   素閑


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塗炉縁

2017-11-22 00:05:32 | 俳句

オカブの人生の振出は営業だった。
オカブが営業に向いていたかどうか、今となっては分からない。
一社目から逃げ出し二社目も営業だった。
二社目の経営が傾き三社目も最初は営業だった。
しかし、何故か、途中からなし崩し的に企画の仕事をするようになった。
企画と言っても、それほど大きな会社ではなかったから、雑然としたゴミダメのような仕事から、経営企画的なことまで、謂わば会社の遊撃手的な役割で仕事をした。
三社目が合併・統合で再編され、四社目でオカブのマーコムとしてのキャリアが確立した。
しかし、それほど規模の大きくない会社で、マーコムの仕事は男性社員に割り振られることは稀である。
だいたい、これは能力のある女性の仕事である。
オカブはキャリアの限界を感じた。
外資も数社経験したが、なんらキャリアアップにはつながらなかった。
結局、サラリーマンに見切りをつけて、今はこの様である。
人間落ちぶれるのは早い。
しかし、オカブは今の境遇をそんなに悪いものとは思っていない。
なによりも自営はサラリーマンと違って自由がある。
大変結構なことである。

塗炉縁猿も口上申しけれ   素閑

柿の葉の朽ちたるばかり塗炉縁   素閑

夜しんしん釜の音高し塗炉縁   素閑


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波郷忌

2017-11-21 07:41:02 | 俳句

オカブ商会の会計年度の前半が終わろうとしている。
あまりいい数字が出なくて苦虫を噛み潰したくなるが、まあ、なんとか潰れずに持ちこたえた。
いまのところ負債は全くないので、現金さえショートしなければ潰れることはない。
経営的に冒険しようにも、しようがない。
零細企業の悲哀を味わっているようだが、中途半端な規模になると、否が応でも非常に危ない橋も渡らなければならない。
まあ、気楽が一番である。

波郷忌や偽りの無きを取り柄とす   素閑

借命忌天帝驚く山おろし   素閑


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