昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

饂飩供養

2012-07-27 18:43:01 | グルメ

夏真っ盛り、土用丑の日、夏安居の季節が来た。夏安居とは禅家で、夏の期間、托鉢などを休んで、休養する時期を言う。夏の間、外に出て地の虫を踏み潰して殺生をしないように定められたともいうが怪しいものである。宗旨は違えど、身体の養生を要するのは洋の東西、仏教もキリスト教も同じである。そこで、自分への供養のつもりで、鰻ならぬ饂飩供養としゃれ込んだ。饂飩供養とは禅家で、この日ばかりは饂飩が食い放題と、普段は天井が透けて見えるような粥を啜って、禁欲的な食生活にいそしんでいる禅僧たちを供養するために、節句などに行うものである。夏目漱石の『吾輩は猫である』に、「饂飩は馬子の喰うものだ」と迷亭が苦沙彌にのたまう場面がある。迷亭が蕎麦を食うくだりである。オカブも饂飩より蕎麦のほうが好きだ。しかしこう暑いと蕎麦よりも冷やした饂飩である。タライ一杯に茹でた饂飩とかち割り氷をぶち込んで、食欲もいや増したところで一心不乱に食らう。満足満足である。

日盛りや物売りの声遠のきて     素閑

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ペンネ・ドリアその他

2012-07-22 18:00:00 | グルメ

毎度毎度、惣菜夕食の話題で恐縮である。我が家では、今年から、極力、肉を食わないことに決めている。健康のためというか、家計の故というか、そんなことではなく、単にかーたんの好みの問題。そこで今晩の食卓も肉なしの、ペンネとドリア、それにシーザース・サラダである。これはかーたんの得意とする料理。肉なしといっても、若干のベーコンが入っている。あまり暑いのでビールを飲んだ。まぁいいだろう。そんなこんなで夏の日々を過ごしている。かつかつでも今のご時勢なんとか食べていけるだけでも幸せである。先月、会社の確定申告も済ませた。青色申告なので、7年間は前年度の赤字を繰り越せる。もちろん今年は赤字である。気は滅入るがそんなに深刻にもならない。これくらいのご馳走を毎日食べていれば、世の中、天下泰平である。

娘らと妻と諍い暑さかな     素閑

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鯖イタリア風トマトソース

2012-07-08 16:22:00 | グルメ

秋の味覚、秋刀魚が、今年は今の時期になっても少しも安くならない。今年は秋刀魚が歴史的な不漁であるらしい。さびしい限りである。その代り、鰯と鯖がすこぶる安い。これは確かにありがたい。そこで、我が家の魚料理は、今年は鰯と鯖が頻繁に登場する。鯖はシンプルに塩焼きが一番美味いのだが、今日は手をかけてイタリア風に。鯖の切り身は塩を振り、小麦粉をまぶしてならす。フライパンにオリーブ油を敷いて、鯖に火を通し、上げたら、そのままニンニクの小片を炒め、トマトピューレ、ワインを入れて温める。これを鯖に乗せ、茹でたホウレン草を添えて出来上がり。サラダも作って野菜も十分。すこぶる簡単な料理である。料理で使ったロゼワインの残りで乾杯。言うことなしである。

七月の夕べ幼き夏想い    素閑

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太子堂の『久仁』へ行ってきました。

2012-07-07 23:10:54 | グルメ

今日は、かーたんは小学校の同窓会。したがって、バイトが入っているエルさんとオカブはそれぞればらばらに夕飯を摂ることになった。さて、それでは素麺でも茹でて食うかとも思ったが、さすがにそれでは寂しいので、外食とすることにする。それでは、どこに?ということだが、かーたん連れでは決して行けない、太子堂のもつ焼き屋の名店『久仁』に行くことにした。かーたんは臓物が食えないからオカブ一人ではないと、こんなチャンスは滅多にないのである。『久仁』はその筋の人間からは”神店”とも称されるほどのそれはそれは素晴らしい店である。しかし、そのなんとも面妖な店構えからしても、スゥイーツ諸嬢や、オカブのようなミーハーには、極めて敷居の高い店であるのも確かである。この入りにくさは三ツ星レストランに勝るとも劣らないのではないか?そこで、オカブは一応、ジャケットだけは羽織っていった。店を描写するとまずは、看板、その他客寄せに要するツールが全くない。開け放たれた硝子戸の中では、かまびすしい話声が聞こえてくるが、かろうじて吊るされた赤提灯がなかったら、事情を知らない通行人は、交番の隣に鉄火場の賭博場でもあるのかと間違えやしないかと心配するほどである。オカブが行ったのは4時半過ぎ。この時間が微妙である。店は4時から開いている。しかし、開店早々暖簾をくぐって、一杯やっていると、後から来た常連の諸先輩から、こいつなにやってんだ?と白い眼で見られること必定である。しかし、5時を回って入店してもいけない。その頃には常連諸兄で席は満席になっている。というわけで、三ツ星レストランよりも格式の高い暖簾をくぐり、空いているカウンターにいかにも来馴れているといった風情で腰を下ろす。まずは「すいません。サワーなどいただけますか?」と周囲の反応を伺いながらびくびくと注文を申し奉る。案外、周りの常連諸兄はオカブのことなど眼中になく、わいわい、ぐびぐびやっているとみるや、「あのー、モツ煮などもついでといってはなんですが、よろしければ頂戴したいのですが」と言上する。サワーがくるとぐびりと一口やって周囲を見回し図々しくもさっと写真などを撮る。アルコールが回ってくると卑屈になりながらも、図々しくもいろいろ注文する。この雰囲気どこかで経験したことはなかったですかねぇ?そうそう、高級な寿司屋のカウンターに座るとこういう心理状態になるのを思い出した。まぁ、そんなことは措いておいて、焼き物1本100円、サワー1杯330円、漬物150円、煮込み300円でサワー5杯しこたま飲んで食って締めて3,120円の安さ!モツは新鮮そのもので、何とも言えない甘みが感じられるお味。塩で食べるとその良さがよくわかる。漬物は京料理屋にも勝る味わいである。久仁は本当は、ごくごく気楽に来れる店である。こんな店が家から歩いて5分のところにあるというのは幸せである。

雨上がり傘忘れじと瓜を食み     素閑

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久仁の店構え。提灯がなければ何の店かわからない。

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レモンサワー。天然果汁絞りたて百%である。

2012kiniモツ煮込み。美味い!

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レバ、シロ、ガツ。新鮮でプリプリしている。冷凍物は決して使わない。

2012kini4白ウリのお新香。その値一本150円である。

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ぼんじり、子袋、パイである。パイとはなんのことか今もってわからん。

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蕪のお新香。もう最高ですねえ。独り者はこういうところに来てはいけません。

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久仁

電話:03(3410)7806

世田谷区太子堂3-18-2(茶沢通り太子堂派出所隣)

予約可 火曜休

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ビフテック・フリット

2012-07-01 22:15:00 | グルメ

何回も何回も書いたテーマだが、敢えてまたまたエントリーに載せる。ご高承の通り、我が家の晩御飯の献立は、予めこれを作ろうというものが決まっていない。この食材がこのスーパーで安いとなると、駆けつけてそのおかずを買い、夕飯の膳に乗せる。今日はサミットでオージービーフの腿、ステーキ用が100g108円であった。これは買わない手はない。もちろん今夜の夕飯のおかずは, 安い食材が見つかった手前、ステーキである。ステーキがおかずというと聞こえがいいが、食材費一人400円にも満たない。牛肉のステーキとジャガイモのフライの取り合わせを、ビフテック・フリットと称して、これはフランス人の国民食であることも既に書いた。フランスにおける焼肉の歴史は比較的新しい。18世紀にイギリスから渡ってきた調理法だという。しかし、それ以前の歴史を繙いてみると、ブルボン朝華やかなりしころのルイ14世の食卓には肉があふれていた。王の食事の料理は主に家禽・野禽が中心であるが、ルイ14世に供せられる料理は、みなひとしく王の”ヴィアンドゥ”(肉)と呼ばれた。王は賓客の前で数十皿にも及ぶ『王のヴィアンドゥ』を食した。もちろん、そのすさまじい分量の食物をすべて胃に収めることは不可能である。つまみ食いであった。しかし、各国の使節をはじめとする賓客の前で、『肉』を平らげることは、王の権勢を見せつけるに充分であった。それだけ、ヨーロッパ、わけてもフランスでは食に関する肉に対しての執着は並々ならぬものがあった。時が下って産業革命を経験したフランスの都市ブルジョアは、平民とはいえ日常的に牛肉を食べられる身分にまで出世した。しかし、農村部の百姓は年に数回、豚肉の塩漬けを食べるのが精々であった。だから、自由・平等・博愛の21世紀ともなれば、庶民の肉に対する憧憬の念は現実にそれを入手できる環境になったことに合わせて爆発的なものになった。そしてフランス人は、週に2回も3回も・・・・あるいは毎日この牛肉とジャガイモのビフテック・フリットを食うのである。7月14日も間近である。我が家では”ラ・マルセイエーズ”は歌わなかったが、日本の庶民に対する底上げ政策(”格差”という声も聞こえてくるが、それはそれとして措いておいて・・・)に感謝して牛肉の焼肉を食ったのである。

我が家には妻子と猫とやぶ蚊かな     素閑

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