昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

2018-02-28 00:00:30 | 俳句

学者が、時事問題について政治的発言をしたり、誰か政治家を批評するのは、その個人の自由だと思う。
政治学者然り。
しかし「政治学」という学問と、「時事評論」という分野は全く異なるフィールドだ。
特に、政治学は、マックス・ヴェーバーが「ヴェルト・フライハイト」を唱えて以来、時の価値判断と一定の距離を保つというか、かなりの緊張関係をもって接することが要求されるようになった。
「政治」学者が、時事評論的な発言をする場合は、その学問的立場や、業績、そして採っている政治学理論などを全て脱ぎ捨てて行うべきだ。
もちろん、そうした人は、その学問的経験則から、時局を論じたり、個人を批判することは免れ得ない。
しかしながら、前述したように、モデルではなく現実の社会を評する前提として、学問的な要素は相容れないばかりではなく、学問による恣意的扇動になる。
学問とは、客観的事実から、普遍的、一般的な理論、法則を導き出すものである。
ただし、社会科学においては、その「客観的事実」に再現性があるかは疑問とするところではあるが・・・
だから時局と政治学という学問には、一定の緊張関係が必要なのだ。
学問的良心とは、そういうものである
そのことが分かっていない、馬鹿な「自称」政治学者が多すぎる。

楢林鷽の啼けるに枝の問ふ   素閑

飼い鷽を愛でし幼き想ひ出や   素閑

鷽なけり村の一日始まりぬ   素閑

種撒くや鷽の一声せかされて   素閑

工房で椀を焼き上げ鷽の声   素閑

草の芽や鷽がもたらす繚乱と   素閑

鷽のこへ旅立ちの日の里の果て   素閑




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麦踏

2018-02-27 00:00:01 | 俳句

3月に、かーたんと秩父の鉱泉に行く予定にしている。
これは、パリに行くよりも先に立てた計画である。
かーたんは日頃の疲れを癒しにのんびり、ゆっくり寛ぎたいと言っている。
折から、遍路の季節である。
色々、寺回りなどしたいオカブの意に反するが、ここは折れることにしよう。
かーたんが満足するような計画を鋭意、作成中である。

夕陽背に麦踏む婆よ妹が母   素閑

麦踏みて遠き山より吹く風や   素閑

里の家病人抱え麦踏めり   素閑

嫁に出す娘ある父麦踏めり   素閑

麦踏みや都会の消息届きたり   素閑

茶碗酒末を飲み干し麦踏めり   素閑

里人の過ぎて話しつ麦踏めり   素閑

麦踏めり木綿布子の胴着かな   素閑


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猫柳

2018-02-26 00:06:43 | 俳句

日曜が終わる。
大した仕事らしい仕事をしていないオカブにとっても、このことは憂鬱だ。
サラリーマン時代のトラウマが染みついているのだろう。
昔、「サザエさん症候群」という言葉があった。
サラリーマンがサザエさんが始まる時間帯に、途端に憂鬱を覚えるというものである。
いまなら、さしずめ「ちびまる子症候群」とでも呼ぶべきか・・・
働き方改革などというものが実施されても、仕事は辛いものである。

荒れた野もやがて和みつ猫柳   素閑

渺々の川面の守や猫柳   素閑

猫柳日曜朝の私鉄駅   素閑

早朝のミサや司祭に猫柳   素閑

火車走る巷を嘆く猫柳   素閑

温めし汁の乙なる猫柳   素閑

猫柳春の祭りを称えたり   素閑




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春浅し

2018-02-25 00:00:49 | 俳句

風邪気味である。
鼻がむずむずし、喉が痛い。
かーたんのがうつったのかもしれない。
熱はないようだ。
暖かくして、早く治してしまおう。
昼から、三茶、すずらん通りの『きゃんどる』にかーたんとブランチに行った。
久し振りの懐かしい味に舌鼓。
風邪気味ではあるが、楽しい休日を過ごした。

雀一羽はぐれ飛びたる春浅し   素閑

蕭条と浅き春にて降る雨よ   素閑

春浅し葎枯れたる日だまりや   素閑

まだ開かぬ音楽喫茶や春浅し   素閑

公園で強わ結び食ふ春浅し   素閑

お針子の午後の休憩春浅し   素閑

教師らが生徒並ばせ浅き春   素閑

遊蕩といふ言葉あり春浅し   素閑

浅き春コートの球をただ拾ひ   素閑








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パリ旅行記2018年2月(3)

2018-02-24 17:56:16 | パリ旅行記2018年2月

さて、久しぶりのパリにもようやく慣れてきた。
遅ればせながら、毎日のように、前を通っている、サン・トリニテ教会をご紹介。




今日は、セーヌ川を渡って、左岸のサン・ミシェルに行ってこようと思う。
オペラから21番のバスでサン・ミシェルまで・・・
パリの路線バス初挑戦である。
しかし、慣れてしまえば何ということはない。
路線が複雑なメトロよりも使いやすい。

春寒やサン・トリニテの石の堂   素閑



セーヌ川の大水は、まだ引く気配を見せず、川岸の歩道や橋の欄干近くまで水が迫っていた。



さて、目的のサン・ミシェルに着いたが、ここに来た目的は、ムフタール通りのエスニック料理を食うため。
しかし、なんとしたことか、この辺りの、アラブ料理のクスクス屋や、ケバブ屋は、なにが原因か知らぬが、多くが店を畳んで、普通のフランス料理を食わせる店に交代していた!
そんな中で、10年前にも入った、ギリシャ料理の『タヴェルナ・グレック』という店に入り、海老の串焼きでも食おうと考える。

しかし、この店に入ったのは失敗だった。
主人の親爺の愛想の無さはなんなんだ?これでは、いくら料理が美味くても、気分半減である。
値段も、決して安くはなかった。
そんな、こんなで、サン・ミシェルやカルチェ・ラタンの辺りを歩いて、一日を過ごした。

春寒しあてなく歩むカルチェ・ラタン   素閑

翌日は日曜日。
ある人と会う約束をしているので、待ち合わせのオペラまで出かける。
ある人とは、生粋のパリ・ジャンにしてビジネス・コンサルタントのジャックさん。
待ち合わせ場所のホテルのロビーで会うと、初対面とは思えず、打ち解けて、話が弾む。
オペラから地下鉄に乗って、ジュシーの市や、ムフタール通りを案内してくれた。
ムフタール通りの横丁、エペ・ボア通り(剣と森)の名前の由来(要は金属と木材)、サン・メダール教会のプロテスタントとカトリックの血塗られた歴史などを解説しながら、案内していただき、カフェでビールを飲みながら、文化の違いによって生ずる、ビジネスのやり方の違いにまで話が及んで、楽しい午後を過ごした。
しかし、ジャックさんの英語は失礼ながら流暢とは言えず、オカブもフランス語は片言なので、英語とフランス語交じりで、少しコミュニケーションを取るのに苦労した。

リヴ・ゴーシュ相和し春の日喜びぬ   素閑



ジャックさんとは、オペラまで送ってもらい、別れた。
さて、今日は、日曜だし、店らしい店は開いていないし、ゆっくり過ごすことにしてホテルに戻った。
今日のところは、こんなところで・・・・
(続く)



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京菜

2018-02-24 00:00:09 | 俳句

京菜鍋を食った。
この『京菜鍋』は本ブログでもたびたび登場する、オカブ家独特の料理だが、本来オカブの家がオリジナルではない。
もともと40年ほど前のサントリーの雑誌広告に『すき焼き』として掲載されていたものをアレンジした料理だ。
作り方は簡単。
出汁と塩と味醂と醤油で味を調えた寄せ鍋風割り下に、細切れの豚肉と、大きく切った京菜を入れて、鍋で煮て食うのだ。
京菜は関東の呼び名で、本元の関西では水菜と呼ぶ。季語でも「水菜」とある。
この早春の味覚・・・鍋で生煮えの青々とした菜を春の生気とともに貪り食う。
京菜の一株など楽々、食べられてしまう。
これを食うと、春が来るんだなあ、と実感する。

土の香よ京菜の春の匂ひかな   素閑

京菜鍋細かき雨となりしかな   素閑

初京菜八百屋に山と積まれけり   素閑

せせらぎやたゆたう里の京菜鍋   素閑

京菜喰ふ外ははるけき田畑なり   素閑

地の京菜明るききらめき照らされて   素閑

沸々と京菜の青き目に染むや   素閑



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春の雨

2018-02-23 00:00:00 | 俳句

かーたんが、また喉を傷めている。
商売道具であるにも関わらず、この人は至って喉が弱い。
なにかというと、すぐに喉を傷める。
体質改善策など、やってみるといいと思う。
コンサートの本番も迫っている。
早く治ってほしい。
本人も焦っていることだろう。

ありありと煮しめの匂ふ春の雨   素閑

絹細にますぐ落ちたり春の雨   素閑

固き地を温めて降る春の雨   素閑

春の雨登校遅れる子の一人   素閑

目が覚めつ眠たき様よ春の雨   素閑

寄合で軒を眺めつ春の雨   素閑

籤引けば吉凶問われ春の雨   素閑


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パリ旅行記2018年2月(2)

2018-02-22 17:10:15 | パリ旅行記2018年2月

今日はモンマルトルの方へ行ってみようかと思う。
テクテク徒歩で出かけた。
おっと!その前に、『CHAI ZELLE』で景気づけにアニスを一杯。

クリシー大通りを歩いて、途中、裏道に入って、テルトル広場に出る。
まだ時間が早かったので、似顔絵描きも人混みも、そんなでもなかった。

春立ちぬこの世で一番メ・セ・シ・ボン   素閑

サクレ・クールの前に出る。
折角だから入っていこう、とお堂の中に入る。
まぁ、大したことはない。
ユトリロの画で有名なコタン小路を見る。
前景の建物が工事中だった。
ついていない。

モンマルトル今日を限りに春の立つ   素閑

サクレ・クールの階段を下りて、クリシー大通りに出る。
悪名高きピギャールを通り過ぎて、ふと、ここで老人の助平心が身をもたげた。
映画『アメリ』で有名になったカフェ『カフェ・デ・2・ムーラン』に行ってやれ、というつもりになったのである。
幾つになってもミーハーである。


クレーム・ブリュレと珈琲で9.9ユーロ。
おいおい。それって、いくらお上りさんからたんまり巻き上げるパリでもやり過ぎじゃね?
と思っても後の祭り。
ミーハーになるにはお金がかかるTT。

春立ちぬメトロの停車場古き様   素閑

『ムーラン・ルージュ』の前を通って、モンマルトルに別れを告げた。
今日の昼御飯はカフェ・デ・2・ムーランの9.9ユーロが響いて、トリニテ広場の近くのカフェでサラダとビール。
でも、これも決して安くはないのだ。


耐久生活をすべく、ホテルの近くのスーパーでお酒を仕入れてきた。
ワインは4ユーロ足らず、ビールは半ダースで5ユーロ。
フランスは酒吞みには優しい国です。

今日は、こんなところで・・・・
(続く)


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パリ旅行記2018年2月(1)

2018-02-22 14:32:09 | パリ旅行記2018年2月

2月の始めに行ってきたパリの旅行記を記す。
今までの旅行記は、日付を追って書いてきたが、今回は12日間という長期に亘り、記憶が曖昧になっていること、及び、ふらりと出かけた気ままな旅ということもあり、ランダムに書いていこうと思う。
食い物ネタが多いのは、いつも通りなので、ご寛恕願いたい。



出発。成田空港発のエールフランス275便。
当日、雪の予報が出ていたので、京成成田駅前のアパ・ホテルに前泊した。
しかし、出発の日は雪は影も形も・・・
翌日、降ったようだが。

アペリティフのシャンパーニュとアニス。
飲みまくって寝ちまおうという算段。



機内食。
もちろん、ワイン付き。
二回目の機内食まで、ギャレーでサンドイッチだの飲物だの貰ってき捲ってきた。
卑しいものですから。


二回目の機内食。
なにか、パスタみたいなもの。
エルフラの機内食は明らかに、質がダウンしている。
まあ、このご時勢、コスト競争に生き残るには並大抵の努力では済むまい。あまり有り難くない努力だが・・・・

見下ろせば富士の名残りの白雪か   素閑



一っ飛びでパリに着いた。
飛行時間、約12時間である。

シャルル・ド・ゴール・ロワッシーからはロワッシーバスでオペラ座まで。
オペラ座から、スーツ・ケースを引きずって、サン・トリニテ教会の横を通り、クリシー広場近くの『ホテル・ヴァンティミーユ』に着いた。
やれやれである。
部屋は、予約サイトのレビューで言われていたほど酷いものではなかった。
これもやれやれである。

春近しクリシーの午後の斜陽かな   素閑



時差があるので腹が減っているのやら、いないやら・・・・
腹が減っていることにして、ホテルの前の『CHAI ZELLE
』というビストロ・バー・カフェとおかしな店ではあるが、入って、飯とする。
(この店は、ホテルの目の前ということもあり、すっかり馴染みになるのだが・・・・)
インゲン豆と牛のステーキ、ビールで21ユーロ。
食ってみると、凄いボリュームだ。
なんとか食い果たし、店を出る。
ホテルに戻り、シャワーを浴びて、お休みなさい。
いつもの海外旅行の初日であった。


さて、翌朝。
いつもの海外旅行の初日の例に漏れず、朝早くから目が覚める。
しかし、寒いのと疲れているので、8時過ぎまでベッドでゴソゴソしていた。
さあ、今日はどこに行くか?
いや、今回の旅行は、パリに行って、思いっきり退屈を味わってくるという贅沢な趣旨のものなので、ガシガシ、モニュメントなどを回ることはご法度である。
しかし、飯は食わなければならないので、『シャルティエ』にでも行くか、という気になる。
途中、グラン・マガザン、ギャルリー・ラ・ファイエットにソルドの看板が。
ああ、もうパリはソルドの時期に入っていたんだ・・・・
やがて、リシュリュー・ドルオーに着く。
パッサージュ・パノラマと、パッサージュ・ジュフロアなどを覗いて、『シャルティエ』の前へ。
開店時間の12時前だったが、列ができているかな?と思ったら、オカブが最初の客だった。
やがて、中に。
パリ郊外の図書館職員のご夫婦と同席に。
オカブは海老の前菜と、コート・ダニョー、カラフェワイン。デセールにマロンクリーム。デカフェネの珈琲。
はいはい。美味かったですよ~。
この大衆食堂はいつも期待を裏切らない。
締めて31.5ユーロだったかなぁ?

今日のところは、そんなもんで・・・・
お次にご期待。


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蕗の薹

2018-02-22 00:01:47 | 俳句

昨晩、新進気鋭にして、実力では日本を代表するフルーティスト、上野星矢氏のコンサートに行ってきた。
古楽バロックを中心とするもので、上野氏はバロック・フルート、トラヴェルソの奏法をよく研究されていたものと思う。
従って、モダン・フルートの演奏技術の絶妙は聞けなかったが、古楽をもこなす上野氏の音楽的良心に感銘。
また、行きたい。

凍えども蕗の芽いづる大地かな   素閑

大八洲大山大河に蕗の薹    素閑

いつになく小柄な妻や蕗の薹   素閑

今日失くし明日を望むか蕗の薹   素閑

命あれ冬の地破る蕗の薹   素閑

山の手の八百屋に商われ蕗の薹   素閑

雪間の原融通無碍なる蕗の薹   素閑


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