昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

かーたんの音楽教室の発表会

2016-07-03 22:18:56 | アート

かーたんが病を乗り越えて、発表会に漕ぎつけ見事、成功を収めた。
今年は、時期が一週間ずれたこともあって、比較的小規模な発表会。
しかし、かーたんの癌の手術が決まった、3月には果たして出来るんだろうか?と半ば諦めかけていたものを、努力と根性でこれを成し遂げたかーたんは偉い。
8時過ぎに大荷物をタクシーに積み込んで出発。
会場は中町ふれあいホール。
世田谷区の公共の施設だ。
9時に到着していろいろ設営。
リハーサルの後、13:30開会。
参加者の大半は小学校低学年のチビちゃん。
トリを取った子は中三でショパンをノーミスで弾きこなした。
かーたんはピアノでショパンの『バラード』、歌でドヴォルザークのオペラ『ルサルカ』のアリア他。
オカブはモーツァルトのフルート曲『アンダンテ』。
3:15に終演。
記念撮影の後、いろいろ片付け。
一段落ついたところでスタッフで記念撮影。
4:30にタクシーで帰宅した。
かーたんお見事!病にも打ち勝ってくれ。

蒼天と明ける陽のあり梅雨の間に   素閑 


2008年3月ズービン・メータ指揮『運命の力』ウィーン国立歌劇場

2016-04-24 04:37:25 | アート

2008年3月、ウィーン・シュターツオパーでズービン・メータ指揮ベルディの歌劇『運命の力』の鑑賞した。
歴史的名演と言われているので、過去にHPにも載せたが、本ブログに再掲する。
この演目はプルミエということもあり、チケットがあっという間に売り切れ、観るのを諦めていたのだが、ふとカルチュラルのサイトを覗くとパルケットに一席、空があったので急いで予約した。
配役は
指揮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Zubine Mehta
カラトーヴァ
グァルディアーノ神父・・・・・・・・・・・・・・・・Alastair Miles
レオノーラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Nina Stemme
ドン・カルロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Carlos Alvarez
アルヴァーロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Salvatore Licitra
プレジオーシラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Nadia Krasteva
トラブコ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Michael Roinder
アルカルデ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Dan Paul Dumitrescu
チルルガス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Clemens Unterreiner
クッラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Elizabeta Marin


舞台は、もう素晴らしく凄いのは当たり前になってしまった。

パーチェのアリア『神よ平和を』も、ドン・カルロも素晴らしい。
しかし惜しむらくは、席が平土間だったということだ。音響が悪い悪い。
これがミッテルロジェで聴けたら、どんなにより素晴らしいかと悔やまれた。オペラ座でミーハー的に舞台の近くに座るのではなく(オカブも十分、ミーハーだが)、本格的な音楽を楽しみかつ金に糸目をつけない方は、ぜひミッテルロジェに席を取ることをお薦めする。
さて、舞台がはね、カーテンコールが佳境にさしかかると観客総立ちで、スタンディング・オベーションの嵐。
とにかく凄い公演だった。
さて、素晴らしいオペラ鑑賞が終わり、今晩はご馳走を食べようと、いつものホテル、ザッハーのレストラン『ローテ・バー』に予約を入れてあったので、早速ご入店。
去年の給仕長が健在で
「ミスター・オカブ。よくいらっしゃいました」
と迎えてくれる。
オカブの本名は、ある国際ブランドと同名で、これがソニーさんやニンテンドー君なら人の名前にならないが、オカブの場合そうではないので、外国人に名前を覚えられるのに便利だ。
アペリティフのキール・ロワイヤルを舐めながら、ボーイ君に
「料理の写真を撮っていいかね?」
「うーん。あまりお薦めできないのですが、まあいいでしょ」
「あそう。じゃ遠慮なく」
などと会話をしていると
なっ!なっ!なんと!!!!

このお方がご入店になられたではありませんか!!!!
誰ですって?あの偉大なマエストロ、ズービン・メータ様ですよ!
オカブの頭はこの瞬間真っ白になったのだった。
それからそれから次々とファンの声援とサインを終えたであろう歌手の皆様もご入店。
サルヴァトーレ・リチートラもカルロス・アルヴァレスもいる!
もう、オカブは食事どころではなくなった。
ボーイ君を呼んで
「あのー、そのさー、なんつーか、マエストロに写真を撮っていいかどうか聞いてくれない?」
「それは無理ですよ。私は彼を良く知っています。とても気難しい方です。ご自分で頼まれてはいかがですか?」
がーん!
しかし、ここでひるんではいけない。
マエストロはちょうどオカブの正面に座って食事をなされている。その距離5メートル。否が応でも顔が目に入ってしまう。目をあわさないだけでも大変である。
マエストロはオカブと同じ牛肉のタルタルの前菜と、シュニッツェルで至極、満足に食事をなされていた。
どうも、仕切り屋らしく、料理の注文も仕切っていたし、一同の話題も独占していた。
ただし、宗教的な理由であるかは定かではありませんが、ワインはお召し上がりにならず、ずっと水をお召し上がりだった。ちなみにマエストロはパールシー(インド在住のイラン系のゾロアスター教徒)である。
さて、デザートである。
ここで勇気を出さなくてはオカブの男がすたる。
すくっと席を立って、マエストロのテーブルにつかつかと近づくと(実際はガクブル状態)、
できる限りを尽くして慇懃にご挨拶させていただいた。
「そ、そ、そ、尊敬すべきマエストロ。そして大歌手の皆様。ここで不躾にご挨拶をさせていただくのをお許しください。今晩の公演を拝見させていただいてわたくしめがどんなに感動しているかご想像ができますでしょうか。そして、この場で同席する栄に浴して、わたくしめは感動に打ち震えているのでございます」
す!す!するとマエストロが

「ほう、あんたどこから来たの?」
とご質問なさるではありませんか。
「は、わたくしめは日本から参りましたでございます」
するとナディア・クラステヴァが
「日本のどこから?」
「は、東京でございますですであります」
「あら、東京?わたし何回か行ったことがあるわ」
「さ、さようでございますか。(ふ~)」
「マ、マ、マエストロ。まことにご無礼とは存じますが、お写真など撮らせていただくわけには参りませんでしょうか?はい」
「写真?いいけど、私の隣はふさがっていて、あんたをどうやって入れるかなあ?」
「め、滅相もございません。マエストロ。あなたとツーショットなどなんともったいない。あなたのお写真だけで結構でございます」
そこで、震える手で撮ったのが下の写真だ。
ついでに携帯カメラでマエストロが談笑している姿を撮らせていただき、かーたんに早速メールで送った。
すると「あんたの二番目のカメラでは撮らないのかい?」
「マエストロ。このカメラは携帯電話でしてフラッシュがついていないので、光らないのでございます」
こんな時をもって、飯は喉を通らなかったのだった。
しかし、後から思い返すと、大変美味であったことは、言うまでもない。
ソムリエ君に薦められるままにコニャックまで飲んで、勘定を済ませ、マエストロご一党様にお別れのご挨拶。
「今晩は身に余る光栄でございまして、これからの皆様方のご活躍をお祈りいたしますでございます。またとんでもないご無礼をお許しくださいまして感謝感激でございます」
「そう。あなたもグッドラック!」
ううう、なんというもったいないお言葉。
ザッハーからホテルまで地に足が着かない夜道の帰路だった。
感動の晩の一幕。チャンチャン
ただ、ホテルに帰り、オカブはある日本人とイギリス人のこんなやり取りのエピソードを思い出した。
あるとき二人がハイドパークを散歩していると、ローレンス・オリヴィエが通りかかった。
日本人はすぐに気づきましたが、イギリス人にこう言われたそうだ。
「気づかない振りをしておきましょう。サーは今、とてもお寛ぎなのです」
いや、マエストロの話とは特に関係はないが・・・
ただ、翌日、ケルントナーを歩いていると、カルロス・アルヴァレスが通りかかり、お互い笑顔であいさつを交わしたという後日談がある。

薔薇一束捧げんとする歌劇場   素閑 

 


ウィーンの調べとオーストリアワインのコンサート

2015-12-06 23:43:31 | アート

かーたんを含むソプラノ3人とピアノによるユニット『Liebevoll』とピアノによるコンサート、『Die Wiener Melodien』。
祖師谷のコンサート会場『サローネ・フォンタナ』にて開催された。
このコンサートのコンセプトはウィーンの音楽と味を楽しむ。
従って、ウィーンの味としてオーストリアワインの販売元『オーストリアワイン・ドットコム』さんとコラボして、ワインとオードブルを提供することになった。
構想を立てて以来1年4か月。やっと形になった。
当日は朝の9時から会場入り。 ばたばたと会場設営。
そのうち出演者やスタッフの方がやってくる。 スタッフの方はこの手のイベントは手馴れたもの。オカブがもたもたしていた会場設営もてきぱきとこなして完璧な仕事。受付の準備も万端。オードブルのサーブのキッチン回りも受付のスタッフの方にやってもらう。
ワインのオーストリアワイン・ドットコムの川瀬さんご一同も到着。アイスバケットを用意して20本余りのワインを冷やし、サーブの用意も万端。
1時半に会場。お客さんが続々とやってくる。 70人余り収容の会場は満席。開演を待つ熱気がものすごい。
開演2時。
オープニングはモーツァルトのオペラ・ブッファ『魔笛』から3人の童子の三重唱。
それからはそれぞれの歌手のソロやデュエットで。
第一部の締めは『こうもり』から『シャンパンの歌』。盛り上がった。
幕間のワインタイムではお客さんにオーストリアワインを堪能していただいた。
『オーストリアワイン・ドットコム』さんからはセクトやグリューナー・フェルトリーナー、赤、葡萄ジュースを含む4種の飲み物を提供していただいた。 
二部の開始は、それぞれの歌手がそれぞれのアリアの十八番を歌う。
かーたんは『ヴィリエの歌』。 
そのあとはウィーンにまつわるミュージカル曲などを・・・
大団円は『ウィーンわが夢の街』。
アンコールの拍手の鳴りやまぬ中、アンコールはレハールの『メリーウィドウ』より『男・男・男』。
コミカルな振り付けと演出で会場は大興奮。
あっという間の二時間半だった。
会場を片付けて、スタッフを含む打ち上げ。
こちらもコンサートの余韻の残る中、尽きぬ話に花が咲く。
9時過ぎにお開き。
タクシーでかーたんと帰宅する。
お疲れ様でした。

維納なる都の歌の師走かな   素閑 


かーたんの音楽発表会

2015-06-21 23:56:39 | アート

かーたんが主催する音楽教室のピアノと歌の発表会が『中町ふれあいホール』であった。
かーたんは、毎年発表会をやっているが、この会場を使わせてもらっているのも、もう10年になるだろうか。
うちの音楽教室の発表会には規模が適当なこと、設備としては十分なこと、公共の施設なので使用料がリーズナブルで、各種イベント会場としてはいいレベルを行っているのに予約の競争が少なく、予約しやすいということがメリットだ。
しかし、一方で、交通の便に恵まれない、行くのに不便というデメリットもある。東急線上野毛駅から歩いて15分はかかる。
さて、生徒さんの連日のレッスン、楽譜つくり、CD作りなど、前1か月は、かーたんはほとんど徹夜で準備に取り組み、いよいよ本番の日を迎えた。
朝方、ぱらぱらと雨が降り出す中、ピアノの足台やかーたんのドレスをスーツケースに詰め込み、オカブの衣装をガーメントに詰め込み、ギブアウェイを段ボールのつめこみ、その他大荷物、小荷物を持って、タクシーに積み込んで出発。うちから『中町ふれあいホール』に20分ほどで着いた。
会場、設営を終わり、10時からリハーサル。ちなみにオカブもフルートで出演する。
13:30本番開始。
司会は例年おなじみのDさんだ。
前半は幼稚園生や小学生低学年で微笑ましい、演奏や唱歌を聞かせてくれた。
後半になると、力も入って、どの生徒さんも一年がかりで作った曲を思いの限り弾く。 素晴らしく成長した子ばかりだ。
ショパンを弾いた子は、ロマン派の曲想を自分なりに作りだし、感情のこもった小学生とは思えない演奏だった。
さて、最後の二人のスター選手。
ベートーベンのソナタを弾いた子は、テクニックは素晴らしいのだが、音楽性に乏しいのが課題か。
トリをとった子は『幻想即興曲』。成長ぶりから言ったら素晴らしい出来で努力賞。
かーたんの講師演奏はショパンのピアノ・プレリュードと、モーツァルトの歌曲、ウェーバーのオペラアリア。ピアノを暗譜でやったところ外してしまったといっていたがオカブは気づかなかった。
オカブはテレマンの12のフルートソロのためのファンタジーから10番。低音がうまく出ず、60点の出来。
すべてのプログラムが終わり記念撮影をして、スタッフ一同で撤収。
雨も上がって、陽がさしている。
再びタクシーに荷物を積み込み、ご帰館。17:30。
サミットで寿司とビール・飲み物を買ってきてささやかなお祝いをした。
かーたんもオカブも準備から本番までのハードなスケジュールと緊張で疲労困憊だったが快い疲労だった。

発表会梅雨の晴れ間のピアノかな   素閑


Tricotage Concertとユトリロとヴァラドン・母と子の物語展を観てきました。

2015-05-30 23:34:52 | アート

久しぶりの予定のない土曜日。
コンサートと美術展の二本立てで時を過ごそうと12時半過ぎに家を出た。
1つ目のコンサート、二本のフルートとチェンバロのトリオソナタの物で、初台のオペラシティ近江楽堂が会場。
先週、山野楽器でチラシをもってきて値段も手ごろなので参考までに行ってみるかと思った次第。
1時半開場の10分前くらいに会場に着いた。
ホールに入ってびっくり。このホールは残響が2.5秒以上あるのではないか?ほとんど海外の教会状態。ぱーんと手を打つとぼわぼわぼわと残響が残る。これでフルートの演奏会が出来るのか少々不安になる。
演奏者の山田芳恵さんと内村知美さんはそれぞれ音大の学部を卒業して、YAMAHAなどで講師をやっておられる。
今日の曲目はバッハ一家作曲のフルート・トリオソナタ。中村恵美さんのチェンバロ伴奏によるもの。
最初はヨハン・セバスチャンから。初めの第一楽章でこりゃあかん、と思った。ソノリテの基礎がまだまだなうえに、ホールの音響で音がなんとか保たれている状態。うわべだけの音がうゎんうゎん鳴っているだけで、とても音楽的な響きとは申せぬものだった。音にキレと輝きと粘りと透明感がない。キレと透明感は、高残響のせいも半分あるが、今後しっかりと、「ソノリテ」からやり直してもらいたい。それに曲の解釈も平板。先生から、バロックはこう吹け、と強く教わったのだろうか。彼女たち、公開レッスンでは、アラン・マリオン、アンドラーシュ・アドリアンなどの一流どころを受けているようだが、どうも音楽的なアナリゼーが出来ているとは言い難い。指は良く動くのだから、音の研鑽とあとは音楽性の追求が課題か?カール・フィリップ・エマヌエルなどバッハ一家でもフルートという楽器を知り尽くしている作曲家の作品の演奏では本当に「もっと音楽を!」と叫びたくなる。
アンコール曲は『G線上のアリア』。シンプルなロングトーンの曲の場合、一層、音楽性が問われるのだが、なんだか電子楽譜の自動演奏を聴いているような感じだった。

さて3時半にコンサートがはねて、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の『ユトリロとヴァラドン・母と子の物語』展に向かう。ここには発表会の準備で大忙しのかーたんも呼んである。
新聞屋からもらったタダ券で、そんなに期待していなかったのだが、ユトリロの『小さな聖体拝領者・ドゥイユの教会』、ヴァラドンの『コキオ夫人の肖像』、『画家ユトリロの肖像』、『自画像』が見られたのは良かった。いずれもそれぞれの画家の名品である。
この二人の画家の奇妙な母子関係は、正常な成育環境が必ずしも芸術的にはプラスに働かないということを示しているのではないか?
『ドゥイユの教会』を見入っているとユトリロの孤独、不安、そして決して得られぬものへの希求、それらが昇華して聖なるものへの洞察へ向かうところが見て取れる。

              

さて、美術鑑賞も終わって、かーたんと、下北沢で久しぶりに肉でも食うかと決めてあったので、新宿から小田急線で下北沢へ。北口の『KENNEDY』へご入店。
まずは飲み放題。男性1200円、女性900円である。この値段ならオカブはアルコールをほとんど飲まないかーたんとでも十分元が取れる。まずはビール。サッポロ黒生。ケネディ・サラダの大鉢一杯のを平らげ、ステーキはオカブがメガ・ジャンボ500g、かーたんがフィレの200g。それぞれ2580円、2980円也。 さすがに500gのステーキを平らげるのはオカブの年になるとしんどい。大藪春彦の小説の主人公になったような気分である。かーたんはこれにデザートも。この女性(ひと)はいくつになっても健啖である。
お腹一杯になった身をひきづって徒歩でご帰宅。9時前だった。エルさんは学校の運動会の打ち上げで朝帰りになる模様。早々に寝ちまった。

夏来るやける舗道の日差しかな   素閑 

                                                  

                                                     

                                               

                                                     

                                                        

                                                      

                                                        

 


世田谷パブリックシアター・フリーステージ2015を観てきた。

2015-04-29 22:53:36 | アート

かーたんの高校時代の同級生Nさんが出演するので『世田谷パブリックシアター・フリーステージ2015』を観に行った。
この催しは毎年、GWに三軒茶屋のキャロット・タワーのパブリック・シアターとシアター・トラムで催されている恒例の物。Nさんも10年近く連続で出演しているので、毎年4月29日には予定を入れている。
しかし、Nさんには恐縮であるが、この日のお目当ては、カンツォーネの東直彦氏。このお方の歌唱を聴かないと連休が来た気がしない。
さすが、東氏、期待を裏切らない奇抜な衣装と、迷歌唱?で観客席を湧かせてくれた。
東氏もこの催しが始まった初年から連続出場なのではないか?
Nさんはピアノ伴奏を入れたクァルテットで「マイフェアレディ」の縮小版(10分ほどだが)を名演。さすが音大のディプロマコースの修了生らしく素人芸の披露の多い中で本格的な歌唱を聴かせてくれた。
舞台が跳ねて、三茶三叉路の「ジョリ・パスタ」でディナー。
ここなら安いだろうと、メニューにある料理を片っ端から注文したら、支払いは6,000円近くになっていた。
ちなみに『ジョリ・パスタ』は悪名高い「すき家」のゼンショーグループの経営。
店内のパネルにはフェア・トレードを推進しているとPRしていたが、従業員を使い倒してフェア・トレードと言ってもねえ・・・
しかし、料理は美味く鯨飲馬食した。
パンパンのお腹を抱えて茶沢通りを歩いてご帰館。

暮れ星のまばたき天皇誕生日   素閑

        

         

         

                


シスレーが好きだ。

2015-04-22 10:03:17 | アート

オカブは絵画に関しては、ロマン派ではドイツロマン派を、印象派はもちろんフランス印象派を好む。
絵画でフランスロマン派が好きになれないのはそれが、表面的な「ドラマティック」を描くだけで、内面性の深い、魂のロマンとは程遠いからだ。 
それはC.Dフリードリヒとドラクロワの対比を見れば明らかだ。
その点、フランス印象派は、外面的な風景の光や、面やマッスに落ちる明るさ、人物や生物、風景の立体的公正に心を砕き、明るい近代的な、ペダンティックな表出とは全く縁がない一団のように見える。 
しかし印象派の中にも、外面的な視覚の認識の裏に、深遠な内面性をたたえた画家がいることを忘れてはならないだろう。これらの画家の範疇に入ると思われるピサロ、シスレー、サージェント、モネ、マネの中で、オカブが最も好きなのはアルフレッド・シスレーだ。シスレーは英国生まれの英国人で、画家としてパリで活躍したが晩年は恵まれず、装飾画などを描いて生活を支えたという。
ピサロは友人に送った手紙の中でシスレーに触れている。
「シスレーは病床に伏しているということです。彼は私の知る限り最も偉大な画家です。特に『洪水』は傑作です。」
ピサロの言うように『ポール・マルリーの洪水』の連作をはじめ数々の名作を残した画家はひっそりとこの世を去った。
シスレーは現代でも過小評価されている。惜しいことだと思う。

学校の娘勤めの鞦韆や   素閑 

          

 


Telemann Fantasies 12 Flute Solo #10

2015-04-22 09:59:28 | アート

6月のかーたんの音楽発表会で、親父連の飛び入り演奏として、テレマンの12のファンタジーから、10番をやろうと思う。
普段は全く笛に触っていないオカブとしてはなかなかの難曲だが、今から猛特訓である。
この曲はフルートソロ。
かーたんとの伴奏あわせがないだけ好きな時間に練習できる利点がある。
曲目としてもオカブの好きなバロックであるし、オカブにとって難曲と言っても、完璧な演奏を目指さなければ、一般的には易しい部類に入る曲だ。
といっても高音域から低音域までの吹分けや、運指なんかも、オカブにはまだまだで、今から6月までに完成させられるかどうか不安なところがある。
5月末には決算だし忙しい初夏になりそうだ。

金鳳花微風に揺れてクラヴサン   素閑

  <G.P.テレマン フルートソロのための12の幻想曲 10番 嬰ヘ短調 ミナ・ゴブリアル>



サンソン・フランソワのラヴェルとユゲット・ドレイフィスの『フランス組曲』

2015-04-22 06:35:32 | アート

音楽、特にクラシック音楽が好きだ。かーたんの職業柄、門前の小僧になったのは否めない。オペラは良く観る。さすがに本公演を何回も、という訳にはいかないが、知り合いからゲネプロのチケットをもらったり、DVDなどでよく鑑賞する。
自分ではフルートを少しやる。しかし演奏歴は長いがちっともうまくならない。それでもいいと思っている。自分が演奏に苦労しているので、各奏者の演奏を聴いていると、あそこまで行くにはどれだけ大変か分かって、それなりに鑑賞できる。一方で、矛盾するようだが、粗も聞き分ける耳が出来てきた。オカブに言わせれば今のフルート奏者は皆、ヘタッピィーである。
さて、声楽でもフルートでもないがオカブが「神」として尊敬する演奏家が二人いる。ピアノのサンソン・フランソワとチェンバロのユゲット・ドレイフィスだ。オカブに言わせればこれ以外の演奏家は・・・・声楽でもフルートでも・・・カザルスでもホロヴィッツでも塵のようなものだ。
この二人はちょっと「変った」演奏家だ。
フランソワの個性の強さは昔から巷で言われているが、この人はラヴェル以外の曲を弾かせてはいけない。ショパンなどの演奏は噴飯ものだ。
しかし、ラヴェルの曲がこの人の手にかかると、作曲家の得た霊感が、何倍にも膨らんで聴衆の耳に木霊する。
『夜のガスパール』、『ソナチネ』、『水の戯れ』・・・いずれもミューズがこの演奏家に特別な賜物と霊感を与えたかのような演奏だ。
確かに「フランソワ嫌い」の聴衆もいるので何とも言えないが、オカブの中ではこれらの曲はフランソワの演奏が決定盤としたい。
もう一人のドレイフィスはアルザス出身の奏者。一応フランス人であるので、クープランやラモーを得意とするとされている。しかし彼女の演奏するクープランやラモーはいかにも平凡で常識的な演奏だ。
オカブが最も好むドレイフィスの演奏はJ.S.バッハのフランス組曲2番。これはこんなバッハの演奏があったのか、と驚かされる解釈である。しかも、それの完成度が高く、やはりフランソワと同様に、作曲家の得た霊感が何倍にも膨らまされている。
特に「メヌエット」は、ほのやかな憂愁とアンニュイを含んで、荒んだ心を慰めてくれる。何度かの傷心をドレイフィスの演奏によって慰められたことか。
オカブが『フランス組曲』の演奏を聴いたのがドレイフィスが最初だったこともあるが、その後、ヴァルヒャの演奏を聴いて、それが、なんと無機的で機械的で無味乾燥な解釈なのかと思った。
世間の注目度は低いが素晴らしい演奏家の二人だ。

庭の花数えて惜しむ行ける春   素閑 

             


『夢見るフランス絵画』展に行ってきた。レ・ドゥー・マゴ

2014-12-13 06:08:04 | アート

かーたんと渋谷東急文化村で開催されている『夢見るフランス絵画』展に行ってきた。
下北沢から神泉下車、徒歩約7分。
東急本店ビルのBUNKAMURAに着く。
BUNKAMURAミュージアムのオープン25周年事業で、ある個人の収集家のコレクションを展示したものという。セザンヌ、モネ、ルノワールの印象派から、野獣派、エコールド・パリに至るフランス絵画の展示である。
しかし、展示絵画の枚数ではやたらヴラマンクとユトリロが目立った。
ヴラマンクの荒々しいタッチのいかにもフォーヴといった作品はいいのだが、名品が含まれていないため、フォーヴの負の側面が目につく展示だった。ユトリロも同様。コレクションをそのまま展示した展覧会の宿命と言えよう。
キスリングとローランサンがあったのは唯一の救い。まさに「美しい」という形容があっている二人だった。
二時間ほどかけてゆっくり会場を回って、お茶でもしようと会場を出たところにある『レ・ドゥー・マゴ』に入る。最初、テラスの席が空いていたのでそこに陣取ると、ムッスューがやってきて入り口で順番を待てという。なんとも釈然としないが、言われるとおりにした。
並んでいる何組めかが過ぎて、順番が来たのでサルに入れてもらう。なんせこの寒さ、石油ヒータのの暖房が入っているとはいえ、吹き曝しのテラスは寒すぎる。
最初はお茶のつもりで、かーたんは珈琲にケーキ・セット、オカブは生ビールだったが、途中から面倒だからもう本格的に飯にしちゃえということに相成り、ビフテック・フリットを二つ注文する。オカブのテックはすこぶる堅かった。
この取り澄ましてばかりいて実質に乏しい店は、パリのサン・ジェルマン・デ・プレにある名門カフェのイミテーション。"Les Deux Magots"とは「二つの中国人形」という意味。本店のサン・ジェルマン広場に面したテラスに座ってサン・ジェルマン・デ・プレ教会を観ながらキャフェを飲んいるとサルトルやアラゴンやボーヴォワールもこんな感じで原稿を書いていたのかなという感興に浸れるが、世界の中でも有数の効率重視、非文化都市の東京では駄目。
結局、5時まで粘ってお勘定は7020円。とんだ散財だった。
渋谷経由で下北沢からご帰館。

美術展冬のさなかの雅かな   素閑