昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

胡瓜

2018-07-12 18:34:14 | 俳句

胡瓜というと一年中食える野菜だと思い勝ちだし、実際その通りなのだが、やはり胡瓜は夏のものである。

初胡瓜河童に二本流しけり   師竹

胡瓜の思い出というと、幼い頃、夏の北海道へ行って、畑から捥いだそのままを、一本、齧ったのが鮮やかな記憶だ。
以前、『となりのトトロ』で、メイがやはり畑の捥ぎたてのを、川で冷やして、一本丸齧りするシーンがあって懐かしく思ったものだ。
しかし、もう夏の畑で採れたみずみずしい胡瓜は都会から姿を消し、促成栽培のスーパーで売っている真っ直ぐの不自然な規格品しか見られないのは残念なことだ。
昔、幕臣は胡瓜を食わなかったという。
切り口が葵のご紋に似ていたからという。眉唾だが、成程とつい肯いてしまうエピソードだ。
夏に胡瓜がなかったら、随分寂しいものになっているだろう。
天の恵みである。

待ちそびれ胡瓜二本の露店市   素閑

夏盛り齧る胡瓜に冷えた水   素閑

大波乱夜の野球にもみ瓜や   素閑

なしつぶて胡瓜つらなる垣の蔓   素閑

ともすれば胡瓜に語る我が身かな   素閑

夏授業胡瓜に似たる若教師   素閑

紅涙をぬぐいて今日の初胡瓜   素閑

陽の高き齧る胡瓜の青苦さ   素閑

連れ添うてなじむ胡瓜の青きかな   素閑




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