高齢者の方に犬や猫は大切なパートナーだと思うのです。
とくにおひとりで飼ってる場合は、その存在はどれほど大切か
普通に考えてもよくわかります。
ですが、自分の身の上に何かが起きたときの
ペットの行く末をしっかり考えておいてあげてほしいと思います。
本当に信頼できる次の飼い主となってもらえる人物を
探しておいてほしいのです。
とはいえ、次の人物と言ってもいざ自宅に連れ帰ってみても
すんなりと馴染めるわけではなかったり、飼うつもりがあっても
様々な事情で難しくなることもあります。
専門でみてくれる施設に預けることができる人は、
経済的に恵まれたごく一部の限られた人になります。
それ以外で・・・・次の幸せを手にできるなんて、ごくごく稀なことです。
さて、今回はそんな宝くじに当たるような幸せを手にすることができた
さくらちゃんのことをご紹介します。
やはり行政に持ち込まれてしまった高齢猫のたまちゃんを
ずっと大切に育ててくれていたわたしの友人。
そのときも、なかなかそれまでの生活習慣から抜けられなくて
フードなど苦労して質のいいものに切り替えてくれていました。
大切なわが子として慈しんでくれました。
そのたまちゃんが亡くなり、もし同じような子がいたら引き受けるよって
話してくれていたのです。
そんなときに聞いたのがさくらちゃんのことです。
施設に入らなければならなくなったおばあちゃんの家に
ひとりで残されていた高齢の猫。
確かな年齢はわかりませんが、11~12歳。
シルバータビーの美しい子です。
もちろん、その話を持ち掛けたとき、美しいとかそんなことは
まったく関係なかったのです。
すぐに、うちでいいなら是非と言ってもらえました。
いろんなワクチンや検便や血液検査などひととおりのことを済ませ
友人に渡す日が来ました。
高齢なせいもあり、おっとりとおとなしく・・・・。
ですがそれがかえって悲しくも見えました。
おばあちゃんとの住み慣れた場所からいったんは行政に持ち込まれ
その後おばあちゃんは亡くなってしまいました。
なんとなくすべてをあきらめたかのように無表情なのです。
猫も年を取れば取るほど、新しい環境に順応するのが難しく
なぜこんなことがと理解してもらおうにも言葉も通じません。
そのさくらちゃんに、友人が言いました。
『さくらちゃん、可愛いね。今日からよろしくね。仲良くしてね。』
すぐに固まった心が溶けて、仲良しになれるわけではないけれど
こんな風に迎えてもらえるのなら、近い将来かならず
さくらちゃんはここが終の棲家だと理解してくれるのではないかと
そう感じました。
新しいお家で、新しいお父さんとお母さんが
たくさんの愛情を注いでくれると思います。
数日して、同居の犬が少し苦手だけど、可愛い子だと連絡ももらいました。
新しい生活が少しづつはじまり、
さくらちゃんも少しづつ馴染み始めているようでした。
ケージを上手く活用して、友人が絡まってもつれた糸を
丁寧にほぐしてくれてるのが目に浮かぶ気がしました。
心優しい人のそばにいったさくらちゃん。
幸せに暮らせることが保障されました。
飼えなくなった高齢猫の受け入れ先になるのは、勇気のいることです。
本当に愛せるのか、大切にできるのか
まずはそこからですから。
でも、これまで高齢の猫を引き取って限りない愛情を注いでくれた人たちを
わたしは何人も見てきました。
幼いころを知らなくても、いっしょに猫じゃらしで遊べなくても
穏やかにともに過ごす日々を愛しく感じてくれる人たちが
たしかに存在するのです。
病気にもなりやすいけれど、そこもひっくるめて受け入れてくれる人たち。
数は少なくても、そういう人がこれから
どんどん増えてくれたらと思います。
さくらちゃんのこれからが、ご家族みなさんのこれからが
幸多かれと願います。
あったかいものにふんわり包まれることができた譲渡となりました。
感謝の気持ちでいっぱいです。