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ワニと読むミステリ(火焔の鎖)

火焔の鎖 (創元推理文庫)
ジム・ケリー
東京創元社

The Fire Baby
Jim Kelly
Penguin

読むと、年月をかけて明かされた秘密は許しが難しい。

(ジム・ケリー著)
 沼沢地の農場に飛行機が落ちたのは、1976年の夏のことだった。若き日のマギー・ベックは炎の中から赤ちゃんを救い出してきた。墜落した飛行機の乗客の子どもだった。それから27年がたった。新聞記者のフィリップ・ドライデンは昏睡状態にある妻のローラを病院に訪ねていたが、隣の病床にいるマギーの臨終の告白の証人になってしまった。しかし秘密はそのまま秘めておいたほうが良いこともある。ドライデンは調査を始め、もうほとんど忘れらている飛行機事故の唯一の生存者にまでおよんでいく。ほかにどんな秘密をマギーは隠しているのか。そしてフィリップの妻ローラは半覚醒のときにドライデンに何かを伝えようとしている。

 いくつかの事件が同時進行するので良く内容をかみしめながら読まないとするりと抜けてしまいそうです。その1つがトーチカの中で鎖につながれ拷問されて殺されたらしい男の死体が発見されたものです。しかも殺された男はどうしてこのような拷問をされているのか少しも理解していないのですから恐ろしい。その理由はのちほど明かされますが。
 ドライデンの妻ローラはこの作品中では、昏睡状態ではあるもののCOMPASSという機会を使って少しの間意思を表現することができるようになっています。COMPASSに打ちこまれるのは大半は意味不明の内容ですが、時折は隣のベッドに横たわるマギーについてドライデンに伝えようとするローラの苦心がうかがわれます。ローラはドライデンをサプライズで驚かせようと思い、まだ言っていないことがありましたが、この作品の最後のところでそれで危うくドライデンの命を救うことになります。
 大旱魃にあえぐ沼沢地で起こる事件ですが、暑くて大旱魃というのがいままでイギリスについて持っていた観念と一致しない感じです。なんでも決めつけてはいけませんね。

 ■既刊
『火焔の鎖』は2作目です。すでに3作目の『逆さの骨』も出版されています。
水時計
逆さの骨 (創元推理文庫)
ジム・ケリー
東京創元社

 
主人公:  フィリップ・ドライデン(週刊新聞『クロウ』の主任記者)
場所:  イギリス、イーリー
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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