三笑会

三笑会は、平成30年6月1日~陶芸活動と陶芸教室、喫茶室、自家野菜販売、古美術・古物商経営を総合的に活動していきます。

「五分をもって上とし」

2020-11-08 17:25:28 | 日記
「五分をもって上とし」

 戦国武将・武田信玄の遺した言葉に、「およそ戦というものは、五分をもって上とし、七分をもって中とし、十分をもって下とする。」という名言がある。分かりやすく書けば、「五分の勝ちであれば今後に対して励みの気持ちが生じ、七分の勝ちなら怠り心が生じ、十分つまり完璧に勝ってしまうと、敵を侮り驕りの気持ちが生まれる。」という意味になる。私が、武田信玄を第一級の政治家として評価する所以である。
 この戦という言葉を、政治とか外交とかいう言葉に置き変えてみると、現代社会の政治や外交にも十分に当てはまると思う。自分の主張を十分に達成したいことは誰にでもあることで、そのこと自体が責められることではないものの、それは相手側にしても同じであろう。実際においては、外交の場で自分の主張を達成するためにどれだけ相手を押し、また自分の主張の実現を図るためにどれだけ相手から引くか、その妥協点の攻防になるのではないか。
 悪いのは北朝鮮で我々は被害者だ、拉致被害者の即時一括全員帰国は絶対譲れないと主張し続けることは、平面的にみると正しいと思う。しかし、平成14年10月に5人の拉致被害者が帰国して以降、誰一人として帰国していないという時間の経過を通してみれば、家族会や救う会が主張する拉致被害者の即時一括全員帰国をこれからも続けることは間違っている。それは、認定の有無に関わらず被害者との再会を果たせないまま年老いて他界する家族が後を絶たないことが示している。
 もう、そろそろ自分たちの主張を十分に達成するために強硬な主張を貫くのではなく、北朝鮮を交渉のテーブルに着かせるために、五分をもって上とする方針に転換してはどうか。