よし、この連休に仕上げてしまおう、と決めていた美術部OB展用の作品。今回は幹事だし、出品予定作品の集まりが悪い場合にもそなえて、3枚しあげることに。1月に日野の高幡不動で描いた地蔵さんはよしとして、2枚目の水彩画のテーマに悩んでいた。
候補作のスケッチは何枚かあるのだ。古木のうねりが見事な青梅の青龍梅、昨年5月にスケッチ旅行で出かけた清里からの八ヶ岳、富士。秋に再び訪れたと時の吐竜の滝。でも流れの勢いから言うと、日出町の払沢の滝かな、何枚かスケッチはしたし。枚数で比較するなら夏の御岳渓谷でも鉛筆スケッチはかなり描いた。
つまりささっと描いたスケッチはたくさんあるのだけれど、どれも作品に仕上げるには難儀するものばかり。そこでサイコロを振って(うそ)、印象がもっとも鮮明な雪の御岳に取り組んだ日曜日。先週の大雪の節分の日に傘さしながら描いた素描は、クロッキーブックのページは雪にぬれてよれよれだけれど愛着がある。
雪そのものより、雪を受けた青い水面の印象が強い。あの青。水墨画では描けないから、と結局は夜中までかかって仕上げた「せせらぎの里。雪」という「作品」は、それでもできあがりを壁に寄せて離れて見ると、変だ。何だかおかしい。うーむ、完成度が低いのは技術的な問題だからしかたないにしても、それだけじゃあない。
翌、月曜日の朝。家族に意見を求めた。「何だか変じゃないかなあ?」「うん、変だね。地蔵さんのほうがまだまし」「……」実に遠慮のない批評だ。たしかに、たとえれば小学校の図工の時間に描いた水彩画みたいな印象だ。何でだろ。体育と美術の時間だけが楽しみだった中学の頃には、もちっとましな絵が描けたような気がしてきた。
ま、描いちゃったものは仕方ない。と月曜は気をとりなおして、昨年4月にスケッチしたあきる野市は「光厳寺」の山桜を水墨画に描いた。根っこ近くの表情など、一部は少し気に入った。他は、今後の精進を待つとしても、ともかく2日で2枚仕上げた集中力に、一人で夜中、こっそり祝杯をあげた。
それだと水の色は描けないけれど、どーさ液というものを使えば雪を白く(紙の色そのままに)抜くことができるんです。一度、「抜き」をやってみたかったし、と前向きに考えることにしました