さわやかな秋分の日、彼岸の中日だ。「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日」だから、お袋の墓参りにと思っていたのだけれど、なかなかまとまった時間がとれないからと先週に引き続き水墨画展用の作品作りに集中。
いただきものの夏野菜のスケッチを元絵にして描く。ざっと構図を決めて濃淡の調子を見るために、1枚目は画仙紙でラフに描き、離れた位置から目を細めて見る。うん、こんな感じ、と珍しく一発で構想が決まった。
よし、と線描用の筆で輪郭を描く。没骨(もっこつ)と呼ぶ手法だ。臆病にならないよう、かといって勢いだけで飛ばしすぎないように微妙な加減。画面左端のジャガイモからオクラにゴーヤを描いてから全体の重石になるカボチャ、そしてトマト。
ついで濃淡、光と影を意識して墨を置くように、かすめるように、つまりは感じたままに筆を走らせる。途中で立ち上がり全体の濃淡を確認。うーむ、水彩スケッチなら色の違いで野菜の区別はつけられるのに、墨色の濃淡と紙の地肌だけでそれを置き換えるのは難しい。
それでも最後に影の調子で画面が安定するだろうとは予想していた。これだけは大当たり。しまりのなかった画面がしっとりと落ち着いた、気がした。前回の「滝の近くの小さな流れ」の図よりは納得のできばえだ。墨絵に限らず、テーブルに野菜を配置した静物画はめったに描かないのだけれど、そのわりにはそーんなに悪くないじゃん、ほめて育てるのだ、自分、とまさに自画自賛。
天気がくずれる前にと午前中、40分ほどの多摩川散歩で見つけた彼岸花。曼珠沙華。仏典によると、めでたいことの前兆に天から降ってくるという「天上の花」だ。そういえば一昨年の今頃は埼玉の高麗川(こまがわ)沿いの水田、巾着田(きんちゃくだ)の彼岸花を見に出かけた。木々の根元に一面に開く赤い花。気持ちだけの墓参り。
カボチャ・とまと・食べられそうな雰囲気ですね。
墨絵も職業でしたか?
たから、食べられたことは事実なんだけれど、絵
のほうはあまりうまそうじゃないのがアレです。
でもそれこそ一歩ずつですね>hotdog
実篤さんほど洒脱じゃないけど、展に星、地に花
…てほうが好きかも>otaka
余白はねえ、落款押すスペースでもあるから、
後で文字を足すわけにもいかんのです
ふふ、高尚な趣味かあ^^;まあファーストレディも
やっているから高尚ってこともないだろうけれど、
年代性別種別に限らずいつからでもいつまでも続け
られる、って点がいいなあと思ってます。
それに短時間でも集中しないと、墨はすぐににじん
だりぼけたり消えたりしちゃうから、たまーにそん
な感覚を味わうのもよいものであります