晴れ時々休み

雨でも晴れでも地球は回る。夏でも冬でも日は昇る。だから一歩ずつ時々休んで前向いて歩く♪

・もう一度、回想法

2006-04-03 | ●シニアライフ


夏の椅子の記憶

2月末に「博物館の回想法」という文を書いた。江戸東京博物館で「博物館で高齢者のげんきをつくる」というテーマの国際シンポジウムが開かれた、という内容だ。過去の記憶、記録をまとめるにはブログも有効ではないか、とムリやりの我田引水だったが、モノを展示するだけだった博物館が、今生きている人間の記憶を呼び覚ます場を提供するという試みにひかれた。

本日3日付けの日経社会面に「回想法が広がりつつある」という趣旨の記事を見つけたので記録しておこう。

「思い出、認知症に効果」「七輪、昭和の風景…」「記憶刺激 広がる地域の輪」といった小見出しでおおよその内容は想像できる。取材記事として最初に取り上げられているのは鳥取県南部町の重度認知症患者向けの通所施設「デイケアらくらく」。昨秋の病棟改築にあわせ、2階に昭和30年~40年代の昭和の町並みが再現された、というものだ。とはいってもアミューズメント施設のように、入口を入ると昭和にタイムスリップ、というわけにはいかない。写真で見ると、病院廊下の壁に由美かおるのアース蚊取り線香の看板を貼りつけた木の塀や電柱、「法勝寺横丁」を模した長屋の入口が設置されている。その横、本来ならきっとちょっとホコリっぽい土むきだしの路地、の廊下を看護士に手を引かれたじいさんがゆっくり歩いている。

じいさんは元大工で84歳。この塀の横を通りすぎる時、「この塀はワシが作ったんだ」と話しかけた。もちろんダミーの塀はじいさんが作ったものではないのだけれど、入所して初めて、大工だったころの話を聞いたと作業療法士は驚いた。病院側は、まだ試行錯誤しているが「思い出の力を治療に生かしたい」と話す。厚生労働省データも引用されており、昨年の認知症患者総数は170万人で、10年後に250万人に増えると予測されている。

最近は自治体でも回想法に注目している。さきがけは愛知県北名古屋市(旧・師勝町)の民家を改造した「回想法センター」だという。これは江戸東京博物館の方法に近いのかもしれない。普及活動として、教科書や蚊帳(かや)などを集めた「回想法キット」作り全国の介護施設に貸し出している。つまり子ども時代の教科書、家族がひとつの部屋で寝ていた時に使った蚊帳などが過去を刺激するアイテム、ということだろうか。

さらに岐阜県恵那市では昨年5月に市内の観光施設「日本大正村」に回想法スクールを開講し、すでにシニア世代が卒業生したと書かれている。ホームページの案内によると、大正初期に建てられ昭和後半まで開業していた病院を転用したようだ。「現在は、明智回想法センター想い出学校として活用されています。回想法は古い町並みや大正村にある懐かしい道具を材台(ママ)にコミュニケーションをすることで、お年寄りの脳の活性化を図る療法です」とある。
村長の司葉子さんの写真も載っている。

記憶を別にすると、誰もが持っている「思い出」は写真やビデオなどの映像だ。
でも記事を読むとどうもこれらの2次元の記録は喚起する力が弱いのだろうか。3次元空間を歩いたり、実際にモノに触れることで記憶回路にスイッチが入るらしい。3Dのバーチャル空間だとどうなのだろう。そして、自分が認知症になった時、何が記憶の媒介になるのかが気になる。時々スケッチに行く青梅市には「昭和レトロ博物館」があるけれど、まだ出かけたことがない。この強風がやんで花見客が一段落したら行ってみようかな。

・もう一度、回想法

日本大正村事務局(日本大正村役場)
所在地:〒509-7731 岐阜県恵那市明智町1884-3
電話:0573-54-3944
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