写真は新宿の冬の夜景
久しぶりに日経MJ(流通新聞)ネタから。7月9日付け1面に、個人タクシー運転手の記事が掲載されている。「ジャズタクシー優雅にクルーズ」という大見出しの横に、月島の夜景を背景にポーズを決めるドライバー安西さんの写真。サッチモことルイ・アームストロングのだみ声を聴きながら眺める夜景は、月島がマンハッタンに、隅田川がハドソン川に見える、とキャプションで説明されている。
安西さんは現在64歳。法人タクシーの運転手をやめて個人タクシーに切り替えたのが91年。運転中に自分の好きなジャズを聴くために車にCDプレーヤーを搭載。たまたま乗り合わせた客から、音にこだわるなら機器に金をかけないと、と指摘され、オーディオの勉強を始め、やがて特注の真空管アンプを搭載。その後「ジャズが聴けるタクシー」として口コミで評判が広がり、「ジャズクルーズ」ツアーを始めた。
といっても観光地のタクシーとは違い、通常のメーター料金での営業だ。ジャズクルーズの料金はおよそ90分で1万2千円。自分で選定した「夜の東京でニューヨーク気分」が味わえるルートを走る。車内には「信じられない」ほどの音質でジャスが流れる。恋人の誕生日に予約する客もいれば、ジャズ好きな会社員の退職祝いに呼ばれたこともあるといい、そうした慶事には花束やシャンパンを用意し、得意のハーモニカを演奏し、自身も楽しむことも。
評判が広がり、来日したジャズミュージシャンが搭乗する機会もあり、こうした出会いは金にかえられないと安西さんは話す。車載のCDプレーヤーは現在はアップルのiPodに換わり、1万曲ほど収録してあるからほとんどのリクエストに応えられるという。
この記事で興味ひかれたのは、仕事と趣味のバランス感覚、差別化営業、そしてiPodとブログの活用だ。記事にもブログやミクシィを営業に活用していると書かれているが、ブログタイトルなどは記載されていない。でも調べたらすぐに判明。ニフティのココログに「東京の個人タクシー(ジャズタクシー)の雑記帳」を開設している。
ブログの10日付けの記事にはこの日経MJの取材のことが書かれていて、記事を見た読者から早々に予約がはいったという。ブログのカテゴリーから、タクシー業界事情やメディア、ジャズメンの話など安西さんならではの「日記」もたくさん読める。リニューアルしたばかりのこじゃれたサイトへのリンクもあり、「彼女の誕生日クルージング」企画も紹介されている。うむ、そうか、これなら「落とせる」という仕掛けが参考になる、ふふ。
安西さんは還暦を過ぎたアクティブシニア世代だけれど、偶然のきっかけを活かし、それをチャンスとしてつかんだ。好きなことと仕事を融合した工夫、新しいメディアやハード機器を活用したアイデア、着眼点がいいし、何より楽しむ姿勢がとても参考になる。誰もができることではないけれど、「退職後」の生き方のヒントをもらった♪
真空管のアンプ? ですか。と言う事は、車の構造も外の騒音もかなり少なくしてあるのでしょうね。すごい、ついでにビールも飲めると最高かも・です。あっ、乗客だけね。
したいね。20年ほど前は「ジャズトレイン」という
イベントがあって、大井川鉄道の汽車を借り切って
東京と大阪のジャズメンとファンが一緒に乗ってビールを飲みながら汽車の中でジャズ演奏を楽しんだ。私も3回位参加したで。会社の先輩は宴会でピアノの飛び入り演奏もしたんだ。
故イソノてるお氏も参加し、旅館の風呂で一緒にジャズ話をしたこともあった。ジャズは今後高齢社会を
活気づける一つのツールになりそうやで。
そういえば随分前だけれど、奥多摩方面の檜原村だったか、コテージの周りの山の斜面で開かれたジャズフェスティバルが素敵だった