晴れ時々休み

雨でも晴れでも地球は回る。夏でも冬でも日は昇る。だから一歩ずつ時々休んで前向いて歩く♪

日本語ブログの光と影

2008-07-04 | ●ウェブ・ブログ


2日付けの毎日新聞夕刊の一面に「日本語ブログ世界一」の大見出し。「言語別発信、英語上回る」「情報量、単行本2,700万冊分」(総務省調査)といった小見出しも散らばり、なにごとかとまずは記事を切り抜いた。にしてもこうした調査結果が一面を飾る時代なのかと、なにやら不思議な気持ち。

元資料をたどると、総務省の「情報通信政策研究所(IIPC)調査結果研究部」発表のPDFファイルが見つかった。パワーポイント資料をPDFに変換した調査報告だ。今月末に、ある団体の懇親会に呼ばれていて、そこでブログをテーマにした話をしろ、という依頼があったから、つかみのネタにいいかもとダウンロードしてプリントする。

目次には、国内におけるブログのコンテンツ量、ブログ数の推移、記事数の推移、ブログコンテンツの多様化、スパムブログの状況、ブログの開設動機の傾向といった内容が記載してある。本来ならこうした調査は「ブログに関する啓発、表彰、研究、調査、交流、支援、提言等を行うことを通じて、我が国におけるブログの普及促進を図る」ことを目的として総務省が設立した「日本ブログ協会」あたりの活動にぴったりな気もするけれど、同会はすでに昨年春に活動を停止している。事務局は財団法人マルチメディア振興センターで、いわばIT関係の呉越同舟の業界団体だから音頭とりが大変だったのだ、と推測する。

新聞記事にブログの記事が掲載される場合、通常はブログとは「日記風の簡易型ホームページ」と補足説明されるが今回の新聞記事では省かれている。この点にも興味をひかれた。レポートの調査目的にブログの定義が記述されている。これによるとブログとは「個人やグループにより運営され、時系列的に更新されるウェブページであり、CGM(消費者発信型メディア)のひとつとしてこの数年急激に普及したメディアであり、日本語による発信量が世界一と言われている」とある。ただし、新聞記事にある使用言語別の比率、日本語が37%で1位、ついで英語が36%の2位、3位は大きく離れて中国語の8%、という調査結果は見つからなかった。

でも日記文学をほこる日本語のブログが08年1月末時点で1,690万あり、記事総数は13億5000万本という数字はすさまじい。もっとも直近の1ヶ月に1回以上記事が更新された「アクティブブログ」はおよそ300万で、ブログ総数のおよそ20%弱。04年から05年にかけて急増したけれど以降は現在まで横ばいだ。そんなものだろうなあ、と何となく納得する数字だ。また、アダルトサイトや商品販売目的の「アフィリエイト」サイトなどに誘導するための「スパムブログ」の比率は12%と分析されている。実感ではもっと多いけれど、ブログサービス間で大きな差がみられる、とも指摘されている。

さらに興味深いのは「ブログの開設動機」だ。「自己表現」「コミュニティ形成」「社会貢献」「収益目的」「アーカイブ型」と分類され、日記的な自己表現タイプの比率が30.9%と高く、ついで子育てなどのテーマを通じたコミュニティ型が25.7%、自分のために情報を整理、蓄積しているアーカイブ型が25%と続き、収益目的の10.1%、自分の知識を情報として発信する社会貢献タイプが8.4%と抽出された。自分の「晴れ時」ブログはアーカイブ型かな。調べ物する時に自分のブログ記事を検索することもあるし、防備録のような使い方もしている。

10年ほど前、「オンライン雑誌」という種類の連載原稿で、面白いホームページの紹介をしていた頃、ホームページが一般化したことは、個人が発信する情報メディアが確立されたに等しい、と書いたことがあったけれど、なかなかその後の敷居は高かった。ブログの普及で、ようやくこれが実現したことを実感している。

昨年夏に依頼されて主催した「ブログ講座」を受講された60歳以上のアクティブシニアが、何人も今もブログを書き続けている。誰にでも伝えたいことはあるのだ。自分の記録を残す意味は大きいのだ、とレポートを読みながらうなずいた。

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