Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 94(染付鷺文五寸皿)

2020-11-27 23:08:23 | 古伊万里
鳥文様シリーズ(というほどのものではありませんが)の3回目です。
前々回は猛禽類、前回は孔雀のような鶴ということで、伊万里としてはちょっと変わった鳥文様でしたが
今回は定番の「鷺文」を取り上げてみました。
「染付鷺文五寸皿」
これのどこが鷺やねん!、とツッコミの入りそうな文様ですが、一応、寛文期の鷺文のお皿であることは確かのようです。
三方に同じ文様を描くタイプのデザインは伊万里ではよく登場しますが、この品はわざわざ三角形の圏線まで描いているという念の入れようです。
さて↓が問題の鷺文の部分です
個人的にはよくワカランのですが、これはつがいの鷺を描いているということのようです。とは言え、鷺の部分はわざわざ白抜きにしてあるのも
それらしい部分かも知れませんね。
裏文様がなく、薄く鋭い高台は典型的な寛文期の藍九谷なんですが、実はこのれと同じ文様の品で、見込み中央の三角形の中に色絵の柘榴文を描いた色絵古九谷の品が存在します。(裏面は色絵の折れ松葉文)
その品はDr.k氏と共に私にとっての古伊万里の大師匠であるミーコさんのコレクションの中にあり、この品を入手しようと思ったきっかけににもなった佳品です。(いつの日か入手したいものですが、一度も見かけません)


鳥海山(もうすぐ冬)

2020-11-27 20:44:25 | 散歩
冬が近いこともあって、しばらくは良い天気が望めないようですので、とりあえず酒田のお隣の遊佐町からの鳥海山をどうぞ。(曇ってますが)
我が家から10数キロ先の場所で撮影していますが、この2236mの看板が重要だったりします。
続いてはほぼ同じ場所からの遠景です
もうすこし進むと、庄内平野の冬枯れの田んぼが見えてきます。
ちなみに、↓の画像が以前に紹介した今年5月頃の酒田市郊外からの鳥海山の様子ですので、場所が20数キロ違うと随分と違った姿に見えることが判りますね。
何にせよ、冬は近づいているようです。

回想の古伊万里 93(染付孔雀文五寸皿)

2020-11-22 23:19:21 | 古伊万里
前回に引き続き、鳥文様の古伊万里を紹介します。
古伊万里における鳥と言えば、鷺文などは数も多く人気が高く、さらには柿右衛門様式の鶉などは名品として名高い品があります。他にも鶴やら鷹やら、雀、千鳥、鳳凰等、色々な鳥が登場します。
そんな中、今回の品は自信はないものの、たぶん孔雀と思われる鳥が描かれた小皿です。
「染付孔雀文五寸皿」

恐らくは寛文期の作で、縁の立ったいわゆる独楽形の小皿です
この時代でこういった感じの描き方をする鳥と言えば、やはり鷺か鶴というのが普通だと思われますが、頭部のの感じ、さらには羽根の描き方が鷺文や鶴文とは異なるように思われることから、扱っていた業者さんは、「孔雀文」としていました。しかし、足を見るとどう見ても鶴なんですよね~・・・、孔雀は雉の仲間なんでこんな足はしていません。
まっすぐ立った高台としっかりとした成形、落款もいかにも藍九谷といった感じでしょうか。正保~寛文期の品でこのような器形の品は比較的少ないように感じますが、実際のところは判りません。

側面の文様はいたって簡素で、こういった簡素な裏文様はこの時代の小皿に良く見られるように思います。
ところで、柴コレの図録で調べると、孔雀文は全部で4種類しか掲載されておらず、そのうち3品は正保期の古九谷の優品です。あと1品は19世紀の品ですので、孔雀文が鷺や鶴のように多く登場いないのは、やはり日常的に見ることのできる鳥ではなかったからなんでありましょうか。

回想の古伊万里 92(染付梅鳥文変形皿)

2020-11-20 19:32:31 | 古伊万里
伊万里においては鳥文様の品はは数多く見られます。
その中でも鷺や鳳凰(想像上の生き物ですが)、鶴などは時代を問わず多く見られるように思います。そんなこともあって、伊万里の収集を続けていると意識しなくても鳥を描いた品がテキトーに集まります。
そこで今回から3~4回にわたり、鳥の文様が絵が描かれた品を紹介したいと思います。

まず一回目は、「染付梅鳥文変形皿」です。

柴コレの1-155と同手の品で、1655~60年代という表記になっています。寛文期というか古九谷様式の時代によくみられる横16cmほどの変形皿で
この成形がされた品は後の時代では見かけないように思います。

何やら猛禽類なのは間違いない目つきの良くない鳥が描かれていますが、そこは寛文期の品ですんで、それほど写実的という訳ではありません。
とはいえ、図柄全体はそれなりに絵画的な意匠になっており、書画の意匠を真似て描いたなんてこともあるのかも知れませんね。
落款はこの時代に良く見られる一般的なものですが、裏面も梅が描いてあるあたりが、様式化される以前のスタイルであるとも言えるでしょうか。
鳥文は初期伊万里の時代から登場しますが、ウチにある鳥文の品の中では一番古手の品がこの変形皿です。


回想の古伊万里 91(染付捻じり花文六寸皿)

2020-11-15 18:30:23 | 古伊万里
前回、寛文期の印象的なデザインの小皿を紹介しましたが、今回はデザインに共通性を感じるお皿を紹介します
「染付捻じり花文六寸皿」


前回の品よりも50年程度あとの江戸中期の品と思われる染付の六寸皿です
さすがにこの時代になると、文様やデザインという点で洗練されてきていますが、中央の花(?)の部分
さらに捻じり文風に放射状にデザインされた部分などは、前回の品との共通性を感じる部分です。



時代的には享保あたりかと思わせるものがありますが、濃い染付と薄い染付、そして白い部分には何かは判らない文様が
描かれており、後の時代に登場する捻じり文よりは様式化されていないようには思えます。



裏面はこれも一般的な唐草ではなく、何かの意図を感じる部分ではありますが、この辺りは絵付けした陶工のセンスなのかも知れません


二つ並べてみると、延宝期の技術革新(柿右衛門様式の登場)を経た時代の品と、それ以前の自由かつ大胆な品の違いが判るような気がします
個人的には左の寛文期の品のほうにより大きな魅力を感じています。