Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 101(瑠璃白地掛け分け松鶴隅入皿)

2020-12-29 21:03:55 | 古伊万里
皆様、今年も一年お付き合いをいただき有難うございました。
お茶の出がらしのような当ブログですが、何とか来年も続けようと思っていますので、よろしくお願いいたします。

さて、私の場合、大晦日はおろか元旦も午前中は仕事なので、とりあえず正月らしい品を早めにUPすることにしました。
「瑠璃白地掛け分け松鶴隅入皿」

中期の一時期(1730~40年代)に見られる薄瑠璃釉を掛け分けした特徴的な様式を持った品です。横17cmほどの四方皿ですが
松鶴文ということで正月にはいいかな?、ということで引っ張り出した来ました。
鶴文は瑠璃地の中に描かれていますが、決して上手くはないんですが、躍動感のある描き方になっており、手慣れた絵付けのようです。
このタイプの品は色絵の品を含め、それほど珍しいものではないように思いますが、この絵柄の品は類品が少ないようには思います。
実は裏面が最大の見どころでありまして、この手の品としては異例の白地の部分に花唐草が絵付けしてあります。
ワタシの少ない知識の範囲では、こういった裏面が総模様になっている品は享保期(元文の前の時代です)に良く見られますので
この手の掛け分けの品としては早い時期の品であろうと想像しています。
ちなみに、この品の五客揃いが、コチラで売られておりました。


回想の古伊万里 100(染付椿花文五寸皿)

2020-12-25 19:21:06 | 古伊万里
回想の古伊万里シリーズもなんと100回目となりました
残りはそれ程多くはないものの、我ながらよく収集したものだと、今更ながら思っています。
100回目の記念で良い品をと思ったんですが、何せウチにそんな立派な古伊万里があろうはずもなく
例によって、「ちゃんとした品だけど傷物」の登場と相成りました。
「染付椿花文五寸皿」
寛文~延宝期と思われる品で、青縁や鋭い高台、大胆なデザインは寛文様式と思われますが、全体の印象としては典型的な藍九谷よりも
洗練された印象で、延宝期に近い時代の品かもしれません。

この品、一体何の文様なのかぱっと見では判りにくいんですが、文様の部分っを拡大すると良く分かるようになります
美しい発色の染付の中に墨弾きの技法で椿の花が描かれています。寛文期の品には墨弾きを使った品が多いですが、この品はワタシの所有する中でも印象的なひとつです。
この時代の伊万里の大きな魅力である薄く鋭い高台ですね
この品、見ての通り古い銀直しが数カ所あり、画像では判りにくいですが、見込み部分には甘手の貫入が何カ所かあります。
それでもこの品を購入したのは、「別冊太陽 染付の粋」の61ページに同じ品が掲載されていたからに他なりません。
この書籍を購入したのが22年ほど前で、ずっと憧れだったこの品を購入したのはその10年後くらいだったでしょうか
傷物だったのも、ウチの収集品としてはお似合いの品だったとも言えるでしょうか。


回想の古伊万里 99(染付盆栽文五寸皿)

2020-12-20 20:58:26 | 古伊万里
酒田は大雪ではないんですが、いきなり真冬になってしまったこともあって、寒い日がしばらく続きました
何せ風が強いもんで、寒さが余計に身に染みるのは確かです。

さて、このところずっと鳥文の品を紹介してきましたが、今回は小休止(ま~、鳥文の品は残り少ないですが)で、別の文様の品を紹介したいと思います。
先日、私にとって古伊万里の大師匠であるDr.kさんが盆栽文の小皿を紹介しておられましたので、私も便乗することにしました。
「染付盆栽文五寸皿」
典型的な盆栽文の小皿で、盆栽が右側に寄せて配置してあるのもお約束みたいなものでしょうか。見込みの周囲は寛文期の品に良く見られる染付の濃淡をと
墨弾きの技法で文様を描いています。(何の文様でしょ?)
盆栽文の拡大ですが、葉の部分が無かったら鑑賞石みたいに見えなくもありませんね
墨弾きで描かれた文様ですが、何の文様かは判然としません
未漂白の状態なので少々汚れが目立ちますが、鋭い高台、裏白、落款を含め、典型的な寛文期の品の特徴を備えています。
この品を入手したのは10年程前ですが、何年か後に見込み中央に盆栽文が大きく絵付けされた七寸皿を見かけました。
染付の発色が実に美しい皿でしたが、ワタシの財力では購入できなかった思い出があります。伊万里は全体に安くなりましたが
やはり良い品はそれなりに高いという点は変わりませんね・・・。

回想の古伊万里 98(染付鷺に沢潟扇面形皿)

2020-12-18 17:45:24 | 古伊万里
鳥文様シリーズの7回目です
それにしても、なんでこんなに鳥の描かれた(主文様でない場合もありますが)伊万里がウチにあるのか?
その時に予算にあった品を買うというのが収集の基本スタンスでしたので、特に意識しない中で、鳥の描かれた伊万里を買っていたというのが真相でしょうか。

さて、今回の品も前回と同様に鷺と沢潟が描かれた皿ですが、時代的には200年以上遡ります。
同じ組み合わせの文様でも時代による違いみたいなものが感じられるでしょうか。
「染付鷺に沢潟扇面形皿」
横17cmほどの扇面皿で、寛文期の作と思われます。沢潟の中に鷺二羽(つがい?)が描かれており、絵付けした職人さんは意識してないと思いますが
沢潟を大きく描くというデフォルメは前回の明治期の平戸と共通しています。


小皿の中に描かれた鷺文で、決して写実的ではないんですが、実に生き生きとした姿と表情をしており、なかなか魅力的だと思います。
縁が染付の青で塗られたいわゆる青縁なのも、この品には合っているように感じます
惜しむらくはホツが一カ所、さらに見込み部分に引っかき傷が複数あり、いわゆる残念物ではありますが、ワタシとしては好きな品のひとつです。
落款は「宣明年製」、裏文様は唐草繋ぎの元祖のような描き方です
このピシッとした高台もこの時代の品の魅力のひとつでしょうか。


回想の古伊万里 97(古平戸沢潟に鷺文六寸皿)

2020-12-11 23:11:52 | 古伊万里
鳥文様シリーズの6回目です。
今回は厳密にいえば伊万里ではなく、平戸(三川内)と思われる品で、一般的には幕末の古平戸として売られていることの多いお皿です。
「古平戸沢潟に鷺文六寸皿」

平戸らしい薄濃みの美しい六寸皿(実際には五寸半強の17cmほど)で、絵画的にうまく配置された沢潟とややマンガチックな鷺が描かれています。
最初に書いたように幕末の古平戸として売られた品ですが、実際のところは明治あたりの品ではないだろうかと思っています。
均一に塗られた薄濃みとグラデーションの技術は同時代の伊万里よりも技術的には上で、鍋島の陶工たちの技術が入っている可能性が高いのかも知れません。(この薄濃みに惚れて購入した品です)
この時代の平戸には良く見られますが、わりと雑な櫛高台と、これも鍋島の裏文様を雑にしたような唐草文が描かれています。


この品を見て感じるのは、表は同時代の鍋島以上なのに、裏は鍋島より数段落ちるという、裏表の絵付けのレベルが随分違うという点です。以前にこの絵付けのギャップ故に「不自然な品」という指摘をされたこともありましたが、好意的に考えれば、「表と裏を違う職人が絵付けした」というのが正しい意見のようにも感じられます。以前に同じお皿に金彩を加飾した品を見たことがありますが、やはり加飾のない品のほうが古手なんでありましょうか。
購入してから15年くらいになりますが、近年は見かけなくなったように思います。