Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 22(赤玉瓔珞文五寸皿)

2019-10-30 22:56:18 | 古伊万里
古伊万里で赤玉瓔珞文の描かれた品といえば、その多くは茶碗や向付け、大きな品では鉢が最初に思い出されます
普通のお皿で赤玉瓔珞文は見たことが無い、そんな理由で購入したのが今回の品です。


典型的な赤玉瓔珞文で、赤玉の一部にスレが見られます

裏面には文様はなく、中期末あたりの品を思わせます

この品はネットオークションで1500円で買った品ですが、最初に見た時の印象としては
「時代はそこそこありそうだが、江戸後期~明治だったとしても安いからいいか」というものでした。
やはり、「中期までの品で赤玉瓔珞文の平皿はない」、そんな思いが強かったのは確かです
そんな訳で、この品はHPでは掲載しなかった品(古伊万里であるという自信がなかった)でもありました。

しかし、この品を以前やっていたブログに掲載したところ、HPを開始した頃からお世話になっている
京都在住の大先輩のコレクターさんに
「この品は元禄バリバリで、赤玉文にスレがあるのは同じ赤玉瓔珞文の蓋茶碗とセットになっていたから」と教えていただくことが出来ました
この大先輩コレクターさんの私家版の図録に蓋茶碗とセットになった画像が掲載されており、長年の疑問が氷解した瞬間でもありました。

ネットが普及する以前であれば、絶対に出会うことのなかった大先輩コレクターに御意見をいただける
HP、さらにはブログを続けてきて良かった、そう思ったエピソードのひとつです。


クラウディ-ナ・アグリアス 3種

2019-10-27 20:31:58 | 
 興味のない人にはケバい蝶でも、世界中にコレクターがいる「ジャングルの宝石」ミイロタテハを3種類紹介します

以前にも書いたように、アグリアス(ミイロタテハ)の分類は個体変異や地域による変異が多く、
とても難しいようですが、日本で唯一のアグリアスの図鑑を出版された標本商の反町康司氏は
クラウディーナ、クラウディアヌス、ナルキッサス、アエドン、アミドン、ファルキドン、ヒューイットソニウス、エクセルシオール、ベアタ
という9種類に分類しています。
ウチにはたいした標本はありませんので、とりあえず生息域が広く標本が入手しやすい、クラウディーナ・ミイロタテハを3種紹介します。
↓がクラウディーナ・アグリアスの生息している場所です。



まずは、クラウディーナの代表的な種類で、美麗種の「クラウディーナ・サルダナパルス」です

前翅に大きく広がる赤色、後翅の輝きのある青色が特徴ですが、赤色部分が赤と青の混じったような赤紫色に見えるあたりが
この種の見所であり美麗な部分でしょうか。
裏面はこんな感じです


続いてはクラウディーナの中では最も入手しやすい(価格が安い)、クラウディーナ・ルーゲンスです

前翅に赤色、後翅に青色という点では同じですが、サルダナパルスのように青色の部分が大きくありません


最後に登場するのは、クラウディーナ・クロエサスです

前翅・後翅ともに赤色の斑文が出ており、サルダナパルスのように前翅に青色部分は出現しないようです
この個体では後翅の一部にも青色が出ていますが、青が出ない場合も多いようです


ウチの標本は個体変異のない一般的なものばかりですが、一般的でない(珍しい)斑文を持った個体の場合
全般的に安いクラウディーナといえどもとても高い値段で取引されるようです。




回想の古伊万里 21(染付幾可文様輪花六寸皿)

2019-10-25 23:41:28 | 古伊万里
 古伊万里には時々、焼成されたと思われる年代の様式とは違った特徴を持つ品があります
今回の品は明らかに江戸後期(業者さん曰く文化~文政期)の品でですが、あまり見かけないタイプの品です


正直なところ、表だけ見ると200年近く前の古伊万里には見えず、今出来のプリントの品のような印象です
しかも染付の発色がなまじ綺麗なことも、「これが古伊万里~?」という疑念が浮かぶ原因となっています。
見たところ、型紙摺りと手描きを組み合せた絵付けのようで、元禄~享保あたりの品に見られる技法が使われているようです
十文字に描かれた紗綾形文様の部分は、染付のムラから見て間違いなく型紙摺りで、それ以外の文様は手描きのように思えますが
同時代の品としては薄手に成形されており、上手の品として作られた可能性もあるでしょうか。


落款は江戸後期を代表する「乾」、落款だけを見て判断することは出来ませんが
土の感じや成形、そして絵付けといった点を総合的に見ると、素人判断ではあるものの
「江戸後期の変った古伊万里」と思っています。

皆様はどう思われますか?。