Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 114(古九谷金銀彩花鳥栗文五寸皿)

2021-02-27 23:24:48 | 古伊万里
前回の予告通りに、古九谷金銀彩の小皿を紹介します。
(ウチにある金銀彩の品はこれで最後ですが・・・)
「古九谷金銀彩花鳥栗文五寸皿」

江戸前期の五寸サイズのお皿ですが、高台が小さく、平碗のような器形をしています。
前回紹介した品とは違い、赤が印象的に使われた金銀彩で、五彩手の色絵古九谷のような華やかさはないものの
金銀彩のみの品や、金銀彩に染付を組み合わせた品よりは随分と豪華な印象を受けます。
この品の特徴的な部分としては、やはり絵がかなり上手いという点が上げられます
実際、赤で描かれた鳥文は非常に見事な絵付けですし、花や枝の部分についても勢いのある達者な絵付けになっています。
さて、栗文はどこにあるかというと、実は裏面に絵付けされています。
これが栗文なのかどうかは微妙ですが、こちらも勢いのある絵付けですね。
以前からこの手の赤の入った金銀彩が欲しかったんですが、ようやっと入手したのは2年ほど前だったでしょうか。
ウチにある古伊万里の中でも特に気に入っている品の一つです。


誰も知らなかったジャイアント馬場

2021-02-26 08:56:42 | 日記
最近はあまり本は読んでいなかったんですが、久々に素晴らしい本に出合ったので、とりあえず紹介しておきます。

「誰も知らなかったジャイアント馬場」
つい最近出版された、ジャイアント馬場についての評伝です
力道山時代のプロレスを知らない私の世代にとって、小学生時代のヒーローはジャイアント馬場であり、アントニオ猪木でした。
馬場派と猪木派がいたのは当然ですが、私の場合は間違いなくジャイアント馬場派であったのは確かです。
そんなこともあって、後年になって出版された馬場さん関連の書籍は何冊か持っているんですが、その多くはプロレスラーとしての馬場さんの
生涯について書かれたものです。
本作でも前半は良く知られている事実について書かれていますが、中盤あたりから
他の書籍では発表されていない、アメリカ修業時代力道山へ送った書簡が掲載されていおり
さらに後半には、未発表だった元子夫人との書簡集を中心として、馬場さんと元子夫人との「誰も知らなかった」、二人の葛藤が描かれています。
元子夫人は明石の資産家の三女で、父親が巨人軍の後援をしていた関係で、入団したばかりの馬場さんが、彼女の家へ招かれたのが最初の出会いというのは
よく書かれている事実ですが
その後の成り行きについては、今まで語られなかった部分であり、今回はその部分にスポットを当てて、「人間ジャイアント馬場」の素顔が描かれています。
野球選手として挫折、プロレス入門、アメリカ修業、力道山の死、帰国して日本プロレスの看板選手へ、さらに日本プロレスの崩壊、全日本プロレスの立ち上げ・・・
この否応のない変化の中で、馬場さんと元子夫人との結婚に至るまでの紆余曲折、それがありありと判る書簡集は、涙なしでは読めないものがあります。
資産家である元子夫人の父母にとって、馬場さんの人柄を評価しつつも、「プロレスなどという危険な商売」をしている
しかも並外れた体格の男と愛情を注いだ娘との結婚はありえないことだったようです。
馬場さんと元子夫人の結婚にいたる紆余曲折はこの本のハイライトですので、あえて書きませんが
あらためてジャイアント馬場の人柄の素晴らしさに触れた思いのする本でした。

回想の古伊万里 113(古九谷山水文葉形小皿)

2021-02-21 23:05:50 | 古伊万里
極めて趣味性の高い骨董品の相場は景気に左右されるようで、古伊万里についても一部の名品以外はピーク時よりかなり安くなったように感じます
とは言え、盛期の色絵柿右衛門や五彩手の古九谷、さらには藍柿や藍九谷の優品はそう簡単には入手できません。
古九谷様式は伊万里の中でも人気高いカテゴリーですが、そんな中でも比較的に人気薄なのが金銀彩だと思います。
今回はそんな古九谷金銀彩の小皿を紹介します
「古九谷山水文葉形小皿」

柴コレ6-287(総目録0870)と同手の品で、13X11cmほどの変形小皿です
山水文を金銀彩だけで描いており、銀彩はお約束通り酸化して黒くなっています。
良く知られているように古九谷金銀彩は限られた年代しか作られておらず、その大きな要因は銀彩の酸化にあったようで
同時代の染付の品に比べれば数が少ないはずなんですが、人気はイマイチということで、意外に安く売られていたりします。

画像では判りにくいんですが、葉形皿ということで、ちゃんと葉脈が陽刻されています
古九谷金銀彩にはいくつかバリエーションがあり、この品のような金銀彩だけのもの、金銀彩と染付を組合せた品
さらには赤を入れた品があるようです。

裏面を見ると適度に古色がありますね(350年以上前の品ですから当然ですが)
この品はワタシが初めて買った古九谷金銀彩の品で、本当は赤が入った金銀彩が欲しかったものの、予算内で買えた唯一の品がこの品でした。

回想の古伊万里 112(花唐草五寸小鉢)

2021-02-18 21:35:28 | 古伊万里
 酒田では先日30mを超える強風が吹き、駐車場で隣に止まっていた車のドアが煽られ、ウチの車のドアにガツン!、なんてことがありました。
(自分の負担ではないとは言え、近年の車の修理費用は高いようで・・・)

さて、前回も含めこれまでいくつかの花唐草の品を紹介してきましたが、文様が花唐草文だけの、いわゆる「総花唐草」は一度も登場していません
残念ながら典型的な総花はウチにはありませんが、「ほぼ総花唐草」という品がありましたので、今回取り上げてみました。
「花唐草文五寸小鉢」


見込み中央の二重圏線の外側に蓮弁文がありますので、「総花唐草」とは言えませんが、文様のほとんどが花唐草です。


花唐草の部分を拡大すると、かなり繊細な描き方がされていますので、江戸中期、業者さんなら「元禄古伊万里」として扱うでしょうか
なかなか手の込んだ成形がされていますが、裏面は典型的な中期の唐草繋ぎですね
落款は「宣明年製」、中期の品に時々見られるもので、それほど珍しいものではないようです。
今から20年ほど前、地元の骨董市で総花唐草の見事な七寸皿(上り、発色とも抜群)を見かけましたが
当時は花唐草も蛸唐草も随分と高かった時代で、到底ワタシの買える値段ではなかったことを思い出します。(十数万円だったような・・・)


回想の古伊万里 111(花唐草に扇文六寸皿)

2021-02-14 20:25:28 | 古伊万里
 昨夜は大きな地震でびっくりという状況でしたが、酒田は震度4で結構揺れましたが
幸いにして特に被害はありませんでした。(防災無線が鳴ってましたが、何を言っているのか判らない・・・)

さて、古伊万里にはとてもモダンなデザインの品がある一方で、和風の文様を生かした雅な品もあります。今回の品はそんな中期の染付皿です。
「花唐草に扇文六寸皿」


染付の発色が美しい中期の六寸皿で、大きな扇文が二つ、そしてその周りには花唐草文が散らされています。
花唐草と他の文様の組み合わせは結構多くあり、ウチにも花唐草と唐獅子、花唐草と鳳凰、花唐草と龍の組み合わせの品がありますが
花唐草と扇文というのは意外にありそうでないのかも知れません。
花唐草文は盛期の繊細はありませんが、まずまず丁寧であることを思うと、悪くても享保期あたりの品ではないかと想像されます。
扇文のうち片方は先端がギザギザで描かれており、これは扇を半分ほど開いた状態を表現しているんでありましょうか(不明)
薄濃みの技術は延宝期のような完璧さはないものの、十分に美しいといえるように思います。(少なくともワタシは)
落款はなく、裏面の唐草繋ぎは典型的な中期の品であるこを示しています
扇文そのものは江戸前期から登場しますが、ウチにあるのはこの品ともう少し時代の下がった品の二枚で
もう一枚の品はいずれ紹介したいと思います。