Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

吹墨に雪輪文七寸皿

2019-07-29 21:51:44 | 古伊万里
HPをやっていた3ヶ月ほど前までは、毎月1日に新しい(HPで未発表の)品をUPするのが10年以上続きました。
近頃は手持ちの古伊万里が底をついており、もはやこれまでという状況ですが、とりあえず未発表の品がありましたので
1日を待たずに紹介したいと思います。



見込み全体に吹墨を施し、その中に雪輪、松、竹(?)、稲束のような文様が絵付けされた中期の七寸皿です
吹墨の技法そのものは有名な兎文の品を引き合いに出すまでもなく初期伊万里の時代から使われており
柴コレにもそこそこの数存在していますが、実際に目にする機会はさほど多くないように感じます。



吹墨の品を見ると、結構ムラのある吹墨と、わりと均一に吹墨された品があるようですが
この品は比較的の出来の良い吹墨かも知れません。


裏面は中期の多くの品に見られる画一的な唐草ではありませんが、別に上手という訳でもありません


吹墨に雪輪を組み合せた品というのは、他に見たことがなかったのと、価格が手頃だったので購入した品です。




特捜最前線

2019-07-28 22:20:16 | 日記
 1970年代~80年代は刑事警察ドラマの全盛時代で、多くの人気作品が放送されました
「太陽にほえろ」、「大都会」、「西部警察」をはじめ「Gメン75」や60年代までさかのぼれば「キー・ハンター」や「プレイガール」などもこの範疇でしょうか
そんな百花繚乱の中で、その見事なドラマ性で10年にわたって放送されたのが「特捜最前線」でした。



放送開始は1977年、終了が1987年で、なんと509回にわたり放送されています。
ワタシは放送当時からこのドラマが大好きで(特に大滝秀治さんが)、よく見ていたのでですが、放送終了後は見る機会に恵まれませんでした
その後、DVDが発売され、ベストセレクションとして全12巻(4話X12ですので48話)がレンタルされるようになり、これは何年か前に
全巻見たんですが、さらに販売用としてDVD4枚組のBOXが全10巻で発売されていることを知りました。



ま~、DVD-BOX1巻で16話(9巻と10巻は20話収録)ですんで、それでも放送された全エピソードの半分にも満たないんですが
それでも「特捜最前線」好きとしては見たいんであります。ところがこのDVD-BOXはなかなか高価でありまして(本体価格で25000~28000円)
さすがにおいそれとは買えませんでした。



新品は無理でもせめて中古品で、ということで購入したのが、この「特捜最前線 BEST SELECTION Vol.5」です
収録されている16話はいずれも見事な出来栄えで、1時間ドラマ(正味45分程度か)であるにもかかわらず
気の抜けた2時間ドラマとは比較にならないほど内容の濃い作品ばかりです。
満足度は極めて高いのですが、中古品とはいえ新品当時の6割以上の値段で流通している品が多く、いずれ見終わったらヤフオクとかで売ることになるかも知れません。



懐かしさもありますが、それ以上に俳優の演技、見事な脚本に唸らせられるドラマです。
最後に、有名なエンディングテーマ、ファウスト・チリアーノの歌う、「私だけの十字架」をお聴き下さい。



回想の古伊万里 8

2019-07-25 23:26:59 | 古伊万里
ウチの古伊万里は五寸サイズまでの小皿が多く、さらには傷物も多いという実に貧乏臭いコレクション(というほどのものでもないが)
でありまして、ま~、こんなんでよくHPを15年も続けたもんだと、あらためて赤面する次第です。
そんな訳で今回もウチの「傷物」シリーズ(?)となっております



サイズは14cmほど、濃淡二種類の青玉に蛸唐草が組み合せられており、延宝~元禄といった時代の小皿と思われます
シャープで凝った成形、白く上質な土、絶妙な文様の散らし方・・・
個人的にはウチの小皿の中でも特に美しい品だと思っています。
見ての通り、ホツが一箇所あり、そこから短いニュウがあります。いわゆる残念物でありまして
一流どころのコレクターさんは決して購入しないタイプの品であることも確かです。



この品を購入したのは今から15年近く前ですが、当時のお値段で傷物にも関わらず一万数千円したように記憶しています
ごく最近も含め、この品の完品はその後数度にわたって見かけましたが、完品とはいえ、その値段を出すんなら別の品が欲しい
という思いが強く、いまだにこの傷物で満足しているのがワタシらしいところでもあります。



裏面は普通ですね。



キプリスモルフォ

2019-07-20 20:52:46 | 
世界中には、はっきりしない程多くの種類の蝶が生息しており、美しい蝶も多数存在しています
とはいえ、この「美しさ」の基準は人によって異なるので、誰もが美しいと思う訳ではないように思います。

そんな中で、恐らく極めて多くの人が「美しい」と思うであろう蝶が、金属的な青い輝きを持つモルフォ蝶の仲間だとワタシは思います。
画像の蝶は、モルフォ蝶の中でも特に輝きが強く美麗な種類として知られる、「キプリスモルフォ」です



翅を開くと12cmほどの中型のモルフォで、中米のニカラグアから南米のコロンビアにかけて生息しています
強烈な青い輝きと共に、翅に白い帯状の斑文があるのも特徴で、こういった斑文を持つモルフォはキプリス以外では
より大型なヘレナモルフォ、そしてベネズエラのオリノコデルタだけに生息しているものの、絶滅状態のアウグスティナエしかいません。

ウチの標本は両触角が欠損しており、骨董でいうところの「傷物」ですが、美しい輝きには影響がありません
下の画像は裏面ですが、この文様を見るとモルフォがジャノメチョウの仲間であることが納得できるでしょうか。



ちなみにモルフォ蝶の青い輝きは鱗粉に色がある訳ではなく、鱗粉が特殊な並び方をすることによって
金属的な青い色だけを反射することで、このような見え方をするようです。
(構造色といいます、興味のある方はコチラのサイトでどうぞ)

牛込神楽坂

2019-07-19 19:00:31 | 新版画
最近入手した新版画で、土屋光逸の昭和14年作、「牛込神楽坂」です
一応ちゃんとした版画ですので、いわゆる工芸印刷などとは違い、本物の雰囲気が味わえます。



土屋光逸は明治から昭和にかけて活躍した人で、川瀬巴水ほどの知名度はないものの新版画の分野では人気のある作家です
この人は60歳を過ぎてから新版画の作家になった人で、そのきっかけを作ったのは巴水と同じく渡辺正三郎だったようです。

↓は以前に紹介した同じ光逸の「四谷荒木町」(昭和10年作)ですが、どちらも巴水のような詩情こそないものの
巧みな光の表現に大きな魅力があるうように思います。



さて、下の画像の作品は同じ神楽坂を描いた版画なんですが、勿論、光逸の作品ではありません。
ちなみにワタシはこの作品は所有していませんので、画像は無断でお借りして来ました。(すまんこって・・・)


この作品はフランス生まれのノエル・ヌエットという人の作品で、この人は40歳から75歳までの36年間
日本でフランス語教師をする傍ら、詩人、画家、版画家として活躍した人です。
ヌエットの「神楽坂」は昭和11年の作品ですので、土屋光逸の作品よりも3年ほど早く製作されています。

ヌエットと光逸の「神楽坂」を比較すると、画面左側のお店の提灯の名前が違うことに気付きます
ヌエットのそれは「藤井」であり、光逸の作品では「土井」になっています。
ワタシも詳しくはないのですが、光逸の「牛込神楽坂」も初期の版では「藤井」となっていたようです。(幻の作品だとか)
では何故、後の版では「土井」になったか?、これは想像ですが、光逸の作品の版元は「土井版画店」でしたので
恐らくはそういったことが、後に「藤井」が「土井」になった原因かと思います。

思えば、新版画に興味を持たなければ、川瀬巴水だけは知っていても、土屋光逸はおろかノエル・ヌエットなどしる由も無かったように思います。