堺北民主商工会

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自然と生きる

2006年12月15日 10時31分46秒 | 世間の話
 ちょうど今から10年前(1996年)に亡くなった星野道夫という写真家がいる。少し写真に興味のある人(いや、そういう人でなくても)なら誰もが知っている「自然と動物、人との関わり」を撮り続けた写真家だ。彼は20歳の時、思いたってアラスカの自然と動物、そして、そこに住む原住民との写真を撮りたくて3ヶ月のホームステイを決行した。これが写真家・星野道夫の出発点。以来、アラスカを中心に、自然の息吹を有るがままに、また、そこに生きる動物を躍動感溢れる映像として写し撮る。そして、とうとう彼は38歳の時、アラスカに家族共々、永住する事を決意する。だから、これからは十分な時間を費やして思う存分、仕事に熱中出来ると確信する。
 しかし、人の運命は判らないもので例によって一瞬のシャッターチャンスを待って、写真を撮るためにテント生活をしていた時、ヒグマに襲われて死亡した。43歳の若さだった。
 彼はいつも口癖のように言っていた。「雄大な自然の時の流れと比べると人の一生は短い。だから、あなたが今、一番やりたい事をやりなさい。そして、悔いが残らないように熱中しなさい」と。
 この言葉の意味は深い!
 彼が言いたい「一番やりたい事」とは何でも好き放題をしたら良いと言う意味では無い。複雑な現代社会を生き抜くには当たり前の事だが、大きな障害や制限が付き纏う。しかし、そういう障害や制限が有ろうとも今、やりたい事をやり通す事が重要だと言っているのであろう。宇宙誕生から永遠と流れてきた途方も無い歴史からすれば人の一生は極、限られた時間でしかない。だからこそ、1日1日を、1刻1刻の「時」を大切に過ごす事が重要だと言っている。
 彼の遺志をしっかりと受け継いでいる人が何人もいる。
 北海道の大地に移り住み、「自然」を被写体に挑戦するカメラマン。
 彼(星野)のオーロラの写真に魅せられて、プラレタニウム館で「自然の営み」を解説し、その素晴らしさ伝える仕事に頑張っている女性。
 古民家に移り住み、自然と溶け込んだ料理を振舞って、その良さを伝えたいと奮闘する料理人。
 そして、この人達に共通する点は、過ぎ去る時間は、もう2度と取り返すことが出来ない。だからこそ、一瞬の時間も無駄にしてはいけない。言い換えれば人は「時」を大切に、有意義に使わなければならないと言う点だ。
 星野さんの「生き様」や「遺志」を受け継ぐ人が全世界にいっぱい出現すれば「平和で素晴らしい社会」が実現されると思うのに!