堺北民主商工会

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サイバニクス

2006年12月08日 10時25分51秒 | 世間の話
 「山海嘉之」と云う人物がいる。彼は筑波大学大学院の教授であり、世界初のロボットスーツ「HAL」を開発し、新テクノロジー「サイバニクス」の生みの親である。「サイバニクス」というのは、脳・神経科学・行動科学・ロボット工学・心理学やIT技術・生理学など、様々な分野の学問を融合させた新しいテクノロジーの事だ。山海氏は小学校の頃から「ロボット科学者」と「サイボーグ」に憧れていた。8歳の時、アシモフの小説「私はロボット」に熱中し、以来ずっと「サイボーグ」と「ロボット」の世界を研究、それを現実のものとし、新しいテクノロジーで文字通り、世界第1人者となった。彼は言う「HALは人間を支援していく事に焦点を当てています。人の身体のしくみを利用し、神経の信号を読み取ってロボットに同じ動きをさせる事が出来る。これが「HAL」というロボットスーツです」と」。「HAL」は筋力の弱った患者が着用することで、自立動作の支援やリハビリ支援にも用いることが出来る等、実用化に向けた実験、研究開発が進んでいる。
 その彼が岡山県だったか母校の小学校に出向き、課外授業を行うというテレビ番組が先日、放映されていた。小学生に「科学」という学問に興味を持ってもらい、その学問を通じて立派に「人間」として成長して欲しいと願って、彼は授業を行う。何日か経った授業の最後に生徒を前にして「ロボットは生身の人間と違って怪我をしたり、死んだりはしない。だから、ロボットは人を助ける事にも利用できるが、悪い事(戦争)にも使える。この事をあなた達はどう思いますか。」と問いかけた。すると、ある女の子が即座に「良い事に使おうとする人は”良い心”を持った人で、悪い事に使おうと考えるのは”悪い心”を持った人だと思います」と答える。山海氏はよもや、こんな答えが返ってくるとは予想もしていなかったのか、急に胸が熱くなり、思い余って感涙する。正に、彼の研究・開発を支えている思いをこの女の子は授業を通じて、見事に受け止めたからである。
 科学・技術の発展は本来、人間を助け、人間社会を豊かにするものでなくてはならない。そして、この事を可能にするのは「”良い心”を持った人間づくり」・「国づくり」を真剣に、取り組んでいくことだ。
 先日、「教育基本法の改訂法案」が衆議院本会議で強行採決されたが、この改訂法案を立案・提案した人達(官僚・政治家)は”良い心”を持った人達だったのだろうか?
 山海嘉之氏は言う「夢・情熱・愛」が科学の根源であり、テクノロジーの開拓を加速します。「人」のことをどれだけ思いやれるかがテクノロジーの発展に重要です」と。
 彼の思いを裏切るような「国づくり」は止めて欲しいと声を大にして叫びたい!