サイババが帰って来るよ

Count down to the Golden age

クリシュナ物語(32)

2016-07-28 00:00:03 | 日記
ポニョ:いくら不死身で強敵のドローナを倒すためだとは言え、罪もない象さんを殺すって可哀想や。めちゃ罪作りやぜよ。象の代わりに蚊とかハエとかネズミを殺せばよかったんや。そして「アシュワッターマが殺された、蚊の」と、蚊のところを小さな声で言えば良かったんや。おいらやったら絶対そうするぜよ。

ヨシオ:そんな事をしたら、後世の人達が笑ってしまうやろ。聖なる物語がコメディーになってしまうやないか。

ポニョ:そうかな。それでは今日のエピソードはアルジュナが戦いに臨んで、巨大なカウラヴァ軍の軍勢に立ち向かう為に、シヴァ神から強力な武器をもらいに行く話です。クルクシェートラでは今でもまだ大きな戦争の跡が残っているって聞いた事があるぜよ。

ヨシオ:俺も写真で見たけれど、黒いガラス化したビー玉ぐらいの粒が無数に見つかっているんや。このように物質がガラス化するには途轍もなく七千度ぐらいの高温でないと出来ないんやて。だから核爆弾のような武器が使われたのではないかと言われているんや。

ポニョ:という事は広島が人類史上初めて核爆弾が使われた場所じゃないって事なんやな。ふーん。興味深い指摘やぜよ。というわけでアルジュナは劣勢をひっくり返す為に、どんな武器をシヴァ神から頂いたんでしょうか。物語は続きます。

パンダヴァ一族が森に住んでいたある日ダルマラジャは、邪悪な従兄弟達カウラヴァ一族が森での隠とんの期限が過ぎた後もパンダヴァ一族が平和に暮らすのを許さないのではないのではないかと思うと、不安でいたたまれなくなった。自分たちの領土を返してくれないのではないかと思った。ダルマラジャは戦いになる事を恐れ、そしてビーシュマ、ドロナ、カルナ、アシュワタムら弓の名手がカウラヴァに味方するのではないかと恐れ、パンダヴァ一族が戦いに敗れるのではないかと心配した。アルジュナはその様を見るとダルマラジャに近づき、自分が苦行によって敵を負かす為の武器を神々から得る事を許し、祝福を与えて欲しいと頼んだ。ダルマラジャはアルジュナに向かって、神々の御意にかなうよう苦行に励み恩寵によって戦いに勝つ武器を授かって来るようにと命じた。
アルジュナは最も厳しい苦行を積んだ者でも近づく事の出来ないガンダマダナへ出かけた。そして神々の支配者であるインドラの好意を得る為に苦行を行った。苦行の激しさとアルジュナの粘り強さに天も感嘆しインドラは彼の前に姿を現して行った。

「汝の苦行ぶりは真に見事である。だが汝の念願を果たす為にはシヴァ神の恩寵を得る事が何よりも必要なのである。それが出来たら、私は汝を天国に連れて行き、天にある一切の武器を汝に与えよう。」
忠告に従ってアルジュナはシヴァ神の恩寵を得る為に、座ってシヴァ神に瞑想していた。一方シヴァ神は一芝居を打つ事にした。それは次のような事であった。
「一頭の巨大なイノシシが荒れ狂って、贖罪の行に励むアルジュナの前に走り出して来た。贖罪の行を行っている時は生物に危害を加えてはいけないという戒めを忘れ、急いで弓と矢を手に取った。イノシシがアルジュナに飛びかかろうとした瞬間に、森に住む放浪者がやはり弓と矢を携え、妻を連れてアルジュナに前に現れた。危険な密林の中で放浪者が妻を連れているのを見てアルジュナは驚いた。しかしもっと近づいてみると放浪者の後ろには恐ろしい形相で叫び続けている男女の群れが見えたのだった。アルジュナは困惑した。」最初に現れたのは恐ろしい顔つきの狩人で、らんらんとした眼をむいて彼は言った。
「お前は何者で、何の為にここにやって来たのだ。このイノシシに対してかりそめにも矢を射るような事をしたら、お前を生かしてはいかんぞ。このイノシシをここまで追い詰めてきたのは私だ。」
この言葉はアルジュナの心に鋭く突き刺さった。彼はいたく傷つけられた。平民の狩人によって侮辱されたのだから。
「この男は私の名も名声も知らないのだ。さもなければ、よもやこの私に挑戦するはずはない。」
アルジュナはそう考え、弓に矢をつがえてイノシシを射た。同時に放浪者の男もまた、イノシシに矢を射た。
ひとたまりもなくイノシシは大地に転がって死んだ。狩人は激しく怒り、アルジュナを罵った。

「お前は狩りの規則を心得ていないのか。私はイノシシを見つけ射止めようと思ってここまで追い詰めて来た。それをお前が射る事が出来ると思ったのか。お前は野蛮人だ。」
狩人は怒り猛り、目から火花を飛び散らせた。アルジュナも怒って叫び返した。
「無法者め。黙れ!さもないと私はお前を死の国へ追いやるぞ。怒るのを止めるのが身の為だ。とっとと帰れ。」
だが狩人は脅しにあってもびくともしなかった。
「お前が誰であろうと私は恐れない。お前は三十三億の神を味方に持つと言うだろう。だが私がそんな事にひるむものか。お前は不法侵入者だ。森に入る権利を誰にもらったのか。私に帰れと命ずるお前は何者なのだ。この森は私のものだ。」
アルジュナにはこの男が普通の狩人ではない事が察しられた。アルジュナは静かに言った。「森は皆のものだ。お前は狩りをしに森へ来た?私はシヴァ神の御心にかなうべく贖罪の行をする為に来た。私はイノシシに突かれないためにイノシシを射っただけなのだ。」
しかし狩人の怒りは治まらなかった。彼は言った。
「お前が誰を崇拝していようが私の知った事か。自分のした事が悪かったと反省しろ。私が追い詰めたイノシシを何でお前は射たのか。詫びをし、償いをせよ。」

アルジュナはそれ以上もう我慢出来なかった。この男もイノシシと同じように射止めてやろうと、アルジュナは思った。アルジュナは鋭い矢を選び弓につがえて、男に目掛けていた。矢は男に命中したものの、岩に投げつけた棘のようにクニャリと曲がって大地に落ちた。驚いたアルジュナは更に三日月型の矢を射たが、狩人の左手は矢を草のように払い落とした。
アルジュナは無人の矢筒から次々と矢を取り出して射た。しかし何の効果も無かったので、やけになり、羽をもがれた小鳥のように、牙を抜かれた虎のように、怒りに燃えたまま無力に立ち尽くした。
次にアルジュナは弓で狩人を打ちのめそうと思ったが、弓は粉々になってしまった。アルジュナは拳のみが唯一の武器となったので、その狩人に踊りかかり必死の勢いで組打ちを仕掛けた。狩人もアルジュナの拳を受け止め、二人が組んず解れつ争う様は、山と山がもみ合っているかのようであった。小鳥たちは未曾有の轟音に驚き恐れおののいて空高く舞い上がった。森の獣はじっと争いを見守り大地は、両者の争いの激しさに耐えかねて揺れ動いた。
男はいささかも疲れた様子を見せず、闘いが始まったばかりのように生き生きとしていた。一方アルジュナは汗だくとなり呼吸は荒く拳からは血が滴り落ちた。その上男が一度アルジュナを軽く捕まえると、アルジュナは血を吐くのだった。それを見た男は残酷な笑いを浮かべ、意味ありげに妻に向かって「お前はあれに気がついたか?」と言った。
アルジュナはたじろぎ、動揺した彼は心の拠り所を失い、「クリシュナ」とつぶやいた。

「あなたは何故このような恥ずかしい目に遭わすのですか。これもまたあなたが筋書きを仕込んだ芝居なのですか。この男は普通の人間ではなくてきっとあなたがこの男の姿をとって現れたわたしの自惚れを挫くおつもりなのでしょう。ああ、森の狩人に打ち負かされるとは、いやいや、これはあなたがなさる芝居に違いありません。お助け下さい。この狩人はあなたなのです。」
アルジュナはそう言うと目の前の夫婦を見た。そこで彼が見たものは放浪の男と妻ではなくて、シヴァ神とその妻パールヴァティ女神であった。二人は魅力的な微笑みを浮かべてアルジュナを祝福し、手のひらをアルジュナに向けて恐れるなというサインをした。
アルジュナは歓喜し、「おお!シャンカラ ゴウリ!」と叫びながら走り寄り、御足にひれ伏した。アルジュナは知らぬ事とは言え無礼の数々を働いた事をお詫びした。恩寵の権化とも言うべきシャンカラとゴウリ(シヴァ神とパールヴァティ女神)はアルジュナの肩を抱いて助け起こし、愛おしげに言った。
「汝は遂に目的を達した。汝は為すべき義務を果たしたのであり間違ってはいなかった。ここに恩寵の印がある。」
そう言うとシヴァ神自ら神聖なパシュパタ アストラ(強力な武器で、世界を七回滅せると言われているぐらい凄まじい破壊力を持つ)を渡した。このようにアルジュナへのクリシュナ神の恩寵は途切れることは無かった。そのアルジュナのクリシュナへの愛の深さを知っているのはクリシュナ神とアルジュナだけであった。アルジュナはどのような些細なことであっても、神の意志に背くことはしなかったのである。

https://m.youtube.com/watch?v=Ad0NMCr9dJE

最新の画像もっと見る