そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

蝉しぐれ

2005年12月31日 | ラブロマンス/青春


2004年 日本 131分 
2005.9.24 TOHOシネマズ緑井 試写会
■原作 藤沢周平
■監督 黒土三男
■出演 市川染五郎[7代目]・石田卓也(牧文四郎)  木村佳乃・佐津川愛美(ふく)  ふかわりょう(小和田逸平) 、今田耕司(島崎与之助) 、原田美枝子(登世) 緒形拳(牧助左衛門)

《story》

「20年、人を想いつづけたことはありますか」

江戸時代、東北、海坂藩の下級武士の子文四郎15才は父を尊敬していた。しかし、その父が藩内の争いごとに関わっているということで処罰されてします。文四郎は罪人の子としてつらい生活を強いることとなる。友人二人はそんな文四郎に変わらぬ友情を示してくれるのだった。そんな中で、幼なじみのふくが江戸の奥に行くことなった。ほのかな恋心を抱いて二人にはつらい別れだった。
数年後、青年となった文四郎はお家の名誉回復を得た。同じころ、ふくは殿の子を身ごもったことから派閥闘争に巻き込まれる。藩にもどって来たふく。文四郎はそのふくの子をさらうように命じられる。

◎今、目の前にある江戸の時代。チャンチャンばらばらではなく、空想でもない、現実としての目の前にあり時代の中で、日本的な美や愛を目の当たりにしたような気がする。見つめ合うだけ、思うだけ、しかし何より大きな愛は、そでをつかむ動作1つで表されている。手ひとつにぎることはない。多くを語ることも触れあうこともない。けれどもそこにある愛は深い。そして生きることはたやすいことではなく、その人生の中でのしかかってくる傷害に立ち向かう力強さを感じた。そして、たくさんの刀を畳に立て、戦うとはこんなにもリアルなんだと語っている。すぐにでも再び見てみたい映画だ。

公式サイト「蝉しぐれ」


シンデレラマン

2005年12月31日 | 人間/社会派ドラマ


2005年 アメリカ 144分
■原題「Cinderella Man」 
2005.9.17  TOHOシネマズ緑井
■監督 ロン・ハワード
■出演 ラッセル・クロウ(ジム・ブラドッグ)  レネー・ゼルウィガー(メイ・ブラドッグ)  ポール・ジアマッティ(ジョー・グールド)  クレイグ・ビアーコ 、ブルース・マッギル

《story》

「実在した男、実在した奇蹟」
「家族のために、これほど闘えるだろうか」


ジム・ブラドッグは有能なボクサーだった。しかし、右手の故障をきっかけに引退。3人の子と妻のために、その日の仕事さえありつけない貧しい生活を送っていた。そんなとき、ボクサー時代のマネージャーが、タイトルをねらうほどの実力をもった若いボクサーとの一夜限りの試合を持ちかけてきた。ブラドッグは家族を守るために、再びリングに立つことを決意する。

◎大恐慌の貧しい時代。家族をあきらめたくないために、戦う男。家族への思いが大きなエネルギーになるし、そうして力強く進んでいく姿こそ、多くの人々の心の支えになったことだろう。彼にはボクシングがあったからこそできたこと。進むべき道がない人がどれだけたくさんいたことだろう。たとえあったとしても、進めるとも限らない。

どん底からはい上がっていく感動がふくらむ映画だった。ロッキーと似ているけど、家族、とりわけ子どもたちに誇りを持って生きる、負けない父親を見せたかったのだろうと思う。そして、そのがんばりは、同じ苦しい生活をしいられている人々に夢と希望を与えてくれた。たたかれてもたたかれても立ち上がり、向かっていく、そんな人間の生き抜くすばらしさを感じさせてくれる。

公式サイト「シンデレラマン」


四日間の奇蹟

2005年12月31日 | ファンタジー/アドベンチャー

2005年 日本 118分
2005.7.3 TOHOシネマズ緑井
■監督 佐々部清
■出演 吉岡秀隆(如月敬輔)  石田ゆり子(岩村真理子)  尾高杏奈(楠本千織)  中越典子(長谷川未来)  西田敏行(倉野順次)

《story》

「今、最も優しい愛の四日間が始まる」

「伝わるはずのなかった想い
 生きるはずのなかった時間
 君と過ごした四日間を
 ぼくはずっと、忘れない」


ピアニストとして期待されていた如月は、ある夜ロンドンの町の一角で少女を救う。そのとき、如月は指を負傷し、少女は両親を失う。
輝くはずだった如月の未来は崩れた。如月は、苦悩の中であの少女の保護者として生き始める。少女は生まれつき脳に障害があった。ある日、処女の千織がピアノを弾くことができることを発見する。それは、サヴァン症候群と診断され、一度聞いた曲を楽譜を見ないで弾くことができる力だった。如月は千織ともに、地域で演奏会を開いたり、慰問活動をしながら生活を始めた。
事件から5年後、ある小さな療養所での演奏会のため、二人は車で向かった。如月は、その療養所で彼を初恋の人と慕う真理子と出会う。中庭で、戯れていた千織と真理子に落雷があった。真理子は意識不明で、集中治療室に入った。真理子にかばわれた千織は軽傷ですみ、意識を取り戻すのだが・・・。

◎本を読み終えると同時に、映画館に直行しました。多少原作と異なるところもあるけど、映画としては感動いっぱいの作品だった。
『四日間の奇蹟』浅倉卓弥/宝島文庫・読み始めたらやめられなくなりました。ありえない現象なのに、現実味を帯びて迫ってくるので、引き込まれてしまいます。よく考えれば、如月敬輔と千織の関係も現実とはかけ離れている。でも、作者のねらいからして、こうあるべきなんだと納得させられます。それは人間とは何かを自然な形で追究しているからだと思います。・引用「・・・自己犠牲とでも呼べばいいのだろうが、そういう言い方もなんだか薄っぺらく思えてな。・・・己の快だけを追究しないこと。それが一番人間らしい生き方ではないのかな、とな。・・・現実の世界、誰もが自分を守ることに汲々とし、逆のことを平気でしさえする。爪も牙も持たない弱者である人間が互いを守るために作り上げたはずの社会というものが、まるで機能せず、かえって搾取の場でしかないような様相さえ示すこともある。」・千織を守るために指をやられ、ピアニストとしての生命を立たれた主人公は、その千織を憎みながらも身寄りのない千織を育て守る。憎しみは当然ある。しかし、なぜ育て世話をしていくのか、心の葛藤の中に、いつしか答えが出てきた。真理子もまた同じ運命をたどる。人間としてあることに誇りを持てるように、神様が授けた四日間なのかもしれない。

公式サイト「四日間の奇蹟」

フォーガットン

2005年12月31日 | サスペンス/ミステリー

2004年 アメリカ 92分
2005.6.12   アルパークシネマ
■監督 ジョセフ・ルーベン
■出演者 ジュリアン・ムーア(テリ-・パレッタ)  ドミニク・ウェスト(アッシュ)  ゲイリー・シニーズ(マンス医師)  アルフレ・ウッダード(ボーブ刑事)  ライナス・ローチ(親切な男)  アンソニー・エドワーズ(ジム・パレッタ)

《story》

「あなたの大切な人生が ひとつ残らず消えていったら」

テリーは、9才の一人息子のサムを飛行機事故で失った。あれから1年と2ヶ月、テリーの周りで異変が起き始めた。写真立てのサムの姿が消えたり、アルバムからサムだけが消えて、初めからいなかったかのように変わっていった。夫のジムは息子などいなかったと言い始めた。精神科医もテリーの妄想だと決めつけた。そこで、同じく飛行機事故で娘のローレンを亡くした、元ホッケー選手のアッシュを訪ねた。初めは娘などいなかったとアッシュは言っていたのだが、壁紙をはがすと娘が描いた落書きが現れ、記憶を取り戻す。二人で真相を突き止めようと、飛行機事故から探っていく。しかし、二人は警察から追われる身となり、行く先々で、危険にさらされる。人が空に吸い上げられる不思議な光景も目にする。果たして、子どもはほんとにいたのか。真実は何なのか。

◎自分の記憶なんて疑わしいものだ。人より自分の方が危ない。ここまで自分を信じることができるなんて。それがこの映画のポイントかも。特に自分の子どもを思う母親だからこそ、想いはひとしお。展開としてはおもしろかった。しかし、この未知の存在はいったい何なのか、疑問が残る。忘れさせるには手間がかかるだろうに。なかったものにするには、あらゆる痕跡をなくさなければいけないし、人々の記憶から消去しなければならない。何のためにそこまでするのだろうか。映画の中で語られていたのかもしれないが、私にはよくわからなかった。

公式サイト「フォーガットン」