クロード・モネ

2011年02月19日 | 人物 -


数日前、昨年から東京:渋谷で開催されていたモネとジュベルニーを題材とした
展覧会が、ついに幕を閉じた。

モネとは、もちろん「クロード・モネ」。
印象派の巨匠で、数多くの作品を残している画家である。

モネが晩年を過ごした「ジュベルニ―」にある家は、管理団体が保全しながら、
彼が愛してやまなかった庭園を、専門的な技術をもって、一年中手入れしている。


私が、モネのジュベルニ―の家を訪れようと思ったのは、日本びいきだった彼が、
「浮世絵に傾倒していた」という事実があったからだ。
アトリエは広く、まさに多くの画材や作品をおさめておくには適していたが、
自宅の部屋は(比較的)こじんまりとしていて、各部屋には浮世絵が飾られていた。
それらの浮世絵は、とりあえず額には入っていたが、保管状態が悪く、しみがあったり、
色落ちがひどかったり、日当たりのよい場所に(無造作に)飾られていたりして・・・
浮世絵を愛する者にとっては、少しばかりショックな状態ではあった。しかし、
彼が日本の浮世絵に影響をうけて、手元においていたことが、日本人の私としては
うれしいことだと感じながら、ゆっくりと部屋を一つ一つ見て回ったのを覚えている。
モネは、浮世絵を各部屋に飾り、ごく日常的にそれらを眺めていたことを思うと、
非常に有難く思ったし、彼らの生活に溶け込んでいたことで日本との強い縁を感じた。

家に飾られていた浮世絵は、モネの作風から想像して「花鳥風月」かと思いきや・・・
人物画の浮世絵が多く、非常にユニークな構図のものや、有名絵師の作品もあって、
とても興味深かった。
モネや、奥様の部屋など、どの部屋にどのような浮世絵を飾っていたのか・・・という
こともまた、面白い事実だった。
私は、各部屋にどのような浮世絵が飾られていたのかを、メモを取ったのだけれど、
その量は、なんとノート4枚に及んでいた。
すごい数だというのが分かっていただけると思う。



彼の自慢の「庭」は、本当に素晴らしいもので、あの連作「睡蓮」の池や、
数多くのバランスの良い花々が、訪れる者を迎えてくれた。

私が「ジュベルニ―」に行ったのは、5月ごろだったと記憶している。
モネの家の庭は、本当に美しかった。
気持ちの良い風が庭園全体に吹き通って、睡蓮の池も風情があった。
「彼が、ここに画材を置いて、あの絵を描いていたのか」と想像すると・・・
本当に不思議な感覚に襲われたのを、はっきりと覚えている。


モネが残した作品は、パリの幾つかの美術館などでたくさん鑑賞した。
その後にジュベルニ―に出かけたので、私の想像力は、より膨らんだのだと思う。



以前、こんなことがあった。
日本の有名画家のアトリエを(特別に)見学させていただいたことがあったのだが、
そこは亡くなった時のままの状態に維持(保管)されており、絵の具がそのままで、
書きかけの未完成の絵が、椅子の傍にはおかれていた。
青い線で、輪郭が描かれていて、・・・その部屋には神聖な空気が感じ取れた。
そして、部屋に入った途端、私はすぐに鳥肌が立って、すごい感動を覚えたのだ。
素材としていた花が、花瓶の中で枯れてしまっていたが・・・
その空間(アトリエ)には、恐れ多くて、何とも言えない雰囲気が漂っていた。



もちろん、モネのジュベルニ―のアトリエは、すっかりとかたずけられていて、
モネの息使いなどは感じられないぐらい補修が加えられていたが、
実際に「その場所で暮らしていた」という事実だけは、感じ取ることができた。

現地の説明して下さる方によると、個々の部屋の壁の色などは「そのまま」だと
いうことだったが・・・これがまた、其々ものすごい鮮やかな色使いばかりで、
なんとなくビックリするぐらいのパワフルな部屋が多かった。
家の外装も、内装も、「モネの色(感性)」そのものだったのだろう。

庭も、部屋の壁色も、・・・ 色彩にこだわったモネらしい家だった。

モネの家のウリは、やはり庭園だ。
季節が違えば、別の花が咲いているために、「雰囲気は違う」と教えられ、
今度訪れるときは「秋」に行ってみたいと、私は(当時)思ったものだ。
おだやかな気分になれるであろう秋は、落ち着いた雰囲気が感じられそうで、
今の私には(さらに)興味深いと思う。




日本にいても、マスターピースには出会えるし、観賞する機会もある。
しかし、創造者が「そこにいて、生きていた」という実感のようなものは、
日本にいるだけでは決して味わうことができない。
やはり、その場に、この足で立つことが、何よりも確実な感覚を得られる
唯一の方法だと思う。


最近は、出かけるのが億劫になってしまった私だが・・・
もう少ししたら、「時間を気にせずに、また放浪する旅」に出発したい。
いつになるかはわからないけれど・・・・
必ず、出かけてみたいと思っている。



ジュベルニ―も、少しは変化しているのだろうか。
モネの家は、たとえ二度目でも「感じる雰囲気」は、違うことだろう。
また、出かけてみたいものだ。

そこには、画家が残した絵画鑑賞から得られる芸術性だけではなく、
人物想像という“おまけ”がついた環境鑑賞がある。
私は、こういう何気ない「想像遊び」が好きな人のようだ。

魅力ある人には、必ず、それなりに面白いエピソードが存在する。
だから、想像を飛び越えて、時々(突飛に)妄想したりするのもまた、
楽しいことだったりするのだ。
タイムトラベルが本当にあったとしたら・・・そんなことを空想すると、
余計に面白い時間が過ごせることがあるが、これって、一種の「変な人?」。
それでも、昔からやめられないのは、それなりに楽しいからだ。
想像力の発達や、脳機能の熟練にも、役に立っているとは思うのだが、
はたして実際はどうなのだろう(笑)。

  芸術は、常に、想像することからはじまるものだ!


     ※写真は、ジュベルニ―のモネの家
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