鱒釣堀競技 ”者” Stanの備忘録。

夏は渓流、冬は鱒釣堀大会。
鱒族中心に季節が過ぎてゆく、
私の独り言&備忘録。
タイトルは、トラエキ復活まで。

カムチャツカ釣行記 5/9

2015-03-14 09:34:41 | 鱒釣り
● 8月13日
朝、テントから出ると昨日同様、物凄い朝露。
 
今日は馴染んだベースを引き払い、南方の下流域へ移動する日だ。
朝のキジうちに、私有地から出たついでに近隣を散策する。
幹線道路まで百メートル程度の一帯は、一応集落の体は保っているものの、廃屋が多い。
 
この地区のランドマークとして佇む、さびれた煙突が特徴の建屋。壁は崩れ、周囲に石炭が散らばっている。
発電もしくは集中暖房等のボイラー設備だったことが想像される。
ここに来る車中、各所でジェイナさんが語った、この国の「約20年前」の大改革。
市場経済への移行は一気に進んだ。その反面、放棄された地方の社会インフラや、農場も多かったとのこと。
この地の人たちとっては、どちらが幸せだったのか。
以前は電気が通っていたはずの、碍子のみ残し、朽ちている電柱が、うら寂しい。

朝食後、セルゲイさんと奥さんはじめ家族や昨日の3人組に別れの挨拶をして、
居心地のよかったベースを後にした。
本日はビストラヤ川中流域を試す。例のごとく車でオフロードを進んだ後、川岸に出る。
車を降り、小高い左岸側から周囲を見渡すと、ついに右岸下流遠くに熊を発見。
カムチャツカの熊は、日本でいうヒグマの類。遠目にも牛のように大きい母熊と、子熊2匹。
しかしながら、私達の立ち位置からはかなり遠く、安全性に問題はないと判断し、釣りの支度を始める。

川は、手前左岸側が湾曲した川の外周となり、えぐれて深い。岸と平行にアップへ投げ、
着底からの転がしを試みる。ワンキャスト目から何らかの細かい乗らないアタリが連発し、
暫くしてヒット。グレイリングだった。リアライズのスイミングフックを口いっぱいにほうばっていた。
これは明らかにフックの赤いスレッドに喰いついたのだろう。

写真を撮ってリリースしてしまったが、美味しい魚ということを失念していた。
次回はキープして食べてみよう。
その後、手前のコロガシで、ガリエツの良型(55センチくらい)を獲るが、反応が続かず岸沿いに釣りあがる。
目線は常に進行方向である上流部を窺っていたその視界に、先程目撃したのと異なる単独の熊が現れ、
私達の居る左岸上流部から、下流に向かってゆっくり歩いてくる。
ジェイナさんが空気ホーンで威嚇するが、熊は臆することなく、更に近づいてくる。 
その時私は、熊に最も近い最上流部で釣りを続けながら、もう少し熊に近づくシャッターチャンスを
待機していたのだが、ジェイナさんが”危険”と私に声をかけたのを機会として、
しかしながら無暗に熊を刺激せぬよう、ゆっくりとその場を離れた。 
 
ジェイナさん曰く、3歳位の若い個体とのこと。空気ホーンの大音響でも逃げないのは、
無邪気な好奇心なのだろう。こんな個体の場合、日本では信頼されている熊鈴の音色は、
むしろ熊を惹きつけるのではないだろうか。。。と、考えた次第。
旅行前、メールでの打ち合わせでエフゲニーさんが、”熊鈴って、何?と云ったのが頷ける。
この遭遇を機会として、この場は熊に譲り移動することにした。

車で下流に3キロほど移動した先は、東の山系から透明度の高い支流が流れ込む地点。
その合流点近辺をベースに本流を釣り上がったり、下ったり、ガリエツの猛攻を愉しんだ後、
私は景色を眺めながらコーヒー休憩。Small Pondさんは、流れ込み合流部に立ちこみ、粘りの釣りを始めた。
専らダウンクロスにキャスト。合流のヨレにルアーを送り込んだあと、タナを調整しながらダウンから流れを
遡上してゆっくり巻き上げる方法。程なくして、50センチ弱の良型ミキージャを穫る。(MIU5gパーマークカラー)
カムチャツカのミキージャ。細かい分類はできないが、腹部にまで斑点が及んでいるのが特徴だろうか。
無駄に太らず、一点の欠けもない立派な鰭もあいまって、アブラビレ熱中症患者にとっては
”見事”というしかない体型だった。
 
その後も私は、先日同様に素晴らしい周辺環境の中に身をゆだね、
心地よい陽光のもと、椅子に座ってうたたねしたり、コーヒーを飲んだり、
ロシア語会話帳を眺めたりしてノンビリ。
その他には「釣りしかやることのない」、最高の贅沢を満喫した。
ジェイナさんは、ベース周辺に散らばるゴミを一箇所に集め、焼却する作業を行っていた。
カムチャツカの大自然の真っ只中。 ”手付かず”と冠するのが当然だと思っていた。
しかしながら現実はそうでもなく、実際は合法、非合法問わず職漁師として川でも鮭や鱒は獲られているし、
内外の釣人も居る。その結果、各所に人間活動の痕跡が残される。空き缶、空き瓶、吸い殻、その他ゴミ。。。
流石に粗大ゴミは見かけることはなかったが、残念ながら日本でもよく見かける光景だ。
しかし、そのような現状に問題意識を持ち、自発的に地道な活動するジェイナさんのような
人も居ることが分かった分、少しは気持ちが軽くなった。
 
昼食は、Small Pondさんが釣った、ミキージャのマリネ。勿論、言うこと、ない。
食後の私は、心地よい気候の下、またしてもウダウダして過ごす。。。
夕刻が近づき、宿となるMARKA地区に移動する。
MARKA地区は、恵まれた水源を活用したミネラルウオーターのボトリングや温泉が有名とのこと。
私達は、リゾート施設の屋外温泉プールで、実に3日ぶり!の入浴兼ね(笑)ゆったりと久々の水泳を愉しむ。
ジェイナさんは学生時代、水泳選手だったとのこと。私も過去、水泳はトレーニングの一環として行っていた。
そうなると当然、競泳!!で、意志に反し、私の完敗!。水着の差!と、言い訳してみたが、、、(笑)
プールから上がり、隣接のキオスクでリゾートビックリ価格のビールを仕込んで、
本日の宿となるオートキャンプ場へ移動。こちらには河原に湧出する温泉があり、水着着用ではあるが、
素掘りの釣堀のような露天風呂で、多くの人が入浴を愉しんでいた。そんなテントサイトは平日にもかかわらず、
人とクルマが一杯。しかも、重低音を効かせた音楽を鳴り響かせて愉しんでいる。

私達は相談せずとも、それらの集合体から思い切り離れた山際にテントを張ることにする。
時刻は20時。辺りが薄暗くなりはじめ、野営の準備をこれから始める私達には少々気忙しくなってきた。
キャンプ場で、意外に困ったのが、焚き木あつめ。河原であれば、幾らでも焚き木は拾えたのだが、
皆が焚き木を欲するキャンプ場では、最少限の焚き木も、見つけるのに一苦労。
結局、山中に分け入り、白樺の立ち枯れ木を斧で倒し、身長以上ある丸太を、麓まで引きずり下す作業を
行うことで焚き木を何とか確保した。その結果、温泉プール後の爽快感はすぐに消え去り、汗まみれに。。。
苦労して運んだ丸太は湿気を帯びてなかなか炎が安定せず、そのうち辺りは真っ暗に。
そこで、ガスストーブ+アルファ米の登場! 調理は一気に進み、夕食の準備は完了した。
先程購入したビールでカンパイ!と同時、全く予期していなかった雨が降り出す。
仕方なく、車の後部ドアを雨除けにして立ったまま夕食を続けるが、流石にこれはせわしく、心開かない。
雨は食後も降り続き、ウダウダ寛ぐ余裕もなくテントに入るのみ。今回唯一の残念な晩餐。
私たちがテントに入った後も、ジェイナさんは雨の中でも焚き火が安定するよう、数時間火の守りを務めていた。
立場の違いはあるにせよ、ただ感謝。

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