総理がコジキでコジキがソーリィー 083 戦争が…… 「十代っていったら、楽しいはずの年齢じゃないの」 「そんなことないでしょう。十代なんて、楽しくないですよ」 「人によって違うんだよ」 と、ソーリィーは笑った。 ……どうして、こう自分自身を物差しにしてしか考えられないのだろう。 「でも、若い子どもたちまでもが、追い込まれているってことですなあー」 熊谷老人は苦痛の表情をした。 「いやいや、そうじゃないって、愉快犯なんですよ。人殺しっておもしろいってねえー。あきれたもんだよ!」 青年の世界は、すべて楽しさを人は追い求めているようだ。 --これも、また自分自身を物差しにしている……。 「そんなものがおもしろいのだろうかあー」 ソーリィーは服をしぼりながらいった。 「おもしろいわけがないなあー」 青年でも、理解したようである。 「そうさねえー、追い込まれているから、そんなことが楽しいなんて、思い込んでしまっているだろうねえー」 と、熊谷老人は幽霊のような顔をしていた。 「追い込まれるとわけがわからなくなる……。それが人間ってものですね」 「ところが、プライドだけは一人前。……だから、空威張りしたくなるんだろう。バカにされたくないから、異常な行動をとるんだろう。ホラーや猟奇的な映画やマンガも目にするから、それがいいもののように勘違いもしているのだろう……」 「人に勝つ、そんなことのみが価値があるように育てている……。それなら、当然そうなるものだろうなあー。私の子供のころは負けるが勝ちだったよ」 「戦争も子どもたちに悪影響を及ぼしていると思う……」 「そうだね。人を殺すことがヒーローなんだから、これも個人の戦争とでもいいたいのだろう……。」 「しかし、ベトナムでヒーローになった人たちも決して幸福な生活を送っているとは限らない。」 「心を荒廃させることは間違いないね。」 「それは誰にでも、わかることではないだろうか?」 「わからない人たちもいる……。わたしの年齢でもいる…」 熊谷老人は寂しそうだ。 「いい戦争なんて、ないんだ。人と人が殺し合う……。そんなことに美しさなんてない。」
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