総理がコジキでコジキがソーリィー 107 担任のクビ…… 『そうだろうなあー。いじめなんて、この学校にはない。いじめなんて、そんな低俗なことは公立校のことであり、私立のわが校にはない。あるわけがない。あったら、そいつは退学処分だ。本校の教育方針からはずれているからなあー。いじめというものは、存在すると思ったときに、存在するらしいが、それは間違った民主主義の話だ。強いものが勝つ、それが民主主義だ。勘違いをしてもらっては困る。きみたちが、この学校に来られるというのも、民主主義のおかげだ』 録音された教室での会話が再生されている。 「ひでえー、クラスだなあー」 「あの勉強しましょうって、がり勉の西沢だろう。本当、友達より勉強なんて、あんな奴、出世して欲しくないなあー」 「でも、憎まれっ子、世にはばかるからなあー」 永嶋先生は頭を両手でかかえていた。 理事長もそうしていた。先に顔をあげたのは理事長だった。 「先生たち、そのテープを取り上げなさい」 と、叫んだ。 教師たちはあわてて、教壇に登り、少年をかこんだ。 この録音がマスコミの手に入れば、世間が騒ぐと教師たちは本能的に悟ったのである。 この録音はまさに学校を破壊する爆弾なのである。 「あのー、慌てないで下さい。永嶋先生を辞めさせるなら、これは渡すよ」 と、少年は気楽に言った。 理事長はそれを聞いて、笑顔になり、永嶋のところへ行く。 「先生、この学校は辞めてください。ほかの学校を紹介しますから……」 「わかりました……」 と、永嶋は苦虫をつぶしたような顔をしていた。 「生徒会は……」 美智子は意見をしようとしたが、先生たちは浮足だって、マイクを使用できないようにしている。 校長はハンドマイクで、 「永嶋先生は辞めることは決まった。生徒は落ち着いて勉学に励んで下さい」 と、生徒に説明した。
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