『朝永振一郎著作集 別巻2 日記・書簡』
朝永振一郎・著/小林稔・解説/みすず書房1985年
朝永博士の日記について。下「」引用。
「故朝永振一郎博士の現存する二つの日記を収録する。
一つは、一九三八年四月から一九四○年九月にいたる滞独時代を中心とする日記である。この日記の一部はすでに「滞独日記」、「帰郷日記」、「目白日記」として発表されているが(『著作集』第1巻収録)、ここに収めたものは既発表分の約四倍に相当する。小見出しは既発表分に準じて付したもの。〔〕内の挿入は編集部による。
一つは、晩年一九七八年十一月の「病床日記」で、手術にいたるまでの病床での生活が細かく記載されている。カタカナによる横書きの原日記に則って横組として巻末に配した。
なお、「滞独日記」において「京都時代の日記」への言及がなされているが、この日記は発見されていないる」
ドイツの日記。下「」引用。
「滞独日記(一九三八年四月七日-一九四○年九月八日)
ライプチヒの学生ハイム
一九三八年四月七日
日記をはじめる。但し、このごろは熱い湯につかつている気もちだ。熱くていたいけれども、うごけばなお熱いからじっと湯のさめるのをまっている。だからおよそ情ちょなどうごかない。」
きつかったようですね。
そして、そこでインド人からも湯川は素晴らしいと聞く。下「」引用。
「インド人ディッタよこにすわり少し話をする。日本にもえらい学者がいるのではないかというからだれかときくと、Nishina、Yukawaなどという。夜は風邪だから早くねる。」
ナチスが台頭していく様子も書かれてある。
ハイゼンベルクの講義でも湯川理論をとりあげられたという。下「」引用。
「四月十三日
-略-
啄木にこういう歌があるそうな。
友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひきて妻としたしむ」
やはり、ドイツ的でないものは学問でさえも迫害を受けたという。下「」引用。
「四月二十五日
ひる前学校に行ってNatureをかりてくる。この雑誌は、反ドイツ的だというので図書室からすがたをかくして別室にある。帰ってボームの論文をよむがどうしても判らない。それはそれで判るが、ぼくの計算との関係が判らない。核の振動を弾性体としてやると、考えがクラシカルになって量子論とのつながりがうまくいかない。」
漱石の小説を、物理学よりおもしろいと日記に書いている。
パスカルのパンセなども読まれたようである。永井隆博士も、この本を読んで人生観をかえらたようです。
ベルツの孫という技術家は日本人の血も入っていたという。
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朝永振一郎・著/小林稔・解説/みすず書房1985年
朝永博士の日記について。下「」引用。
「故朝永振一郎博士の現存する二つの日記を収録する。
一つは、一九三八年四月から一九四○年九月にいたる滞独時代を中心とする日記である。この日記の一部はすでに「滞独日記」、「帰郷日記」、「目白日記」として発表されているが(『著作集』第1巻収録)、ここに収めたものは既発表分の約四倍に相当する。小見出しは既発表分に準じて付したもの。〔〕内の挿入は編集部による。
一つは、晩年一九七八年十一月の「病床日記」で、手術にいたるまでの病床での生活が細かく記載されている。カタカナによる横書きの原日記に則って横組として巻末に配した。
なお、「滞独日記」において「京都時代の日記」への言及がなされているが、この日記は発見されていないる」
ドイツの日記。下「」引用。
「滞独日記(一九三八年四月七日-一九四○年九月八日)
ライプチヒの学生ハイム
一九三八年四月七日
日記をはじめる。但し、このごろは熱い湯につかつている気もちだ。熱くていたいけれども、うごけばなお熱いからじっと湯のさめるのをまっている。だからおよそ情ちょなどうごかない。」
きつかったようですね。
そして、そこでインド人からも湯川は素晴らしいと聞く。下「」引用。
「インド人ディッタよこにすわり少し話をする。日本にもえらい学者がいるのではないかというからだれかときくと、Nishina、Yukawaなどという。夜は風邪だから早くねる。」
ナチスが台頭していく様子も書かれてある。
ハイゼンベルクの講義でも湯川理論をとりあげられたという。下「」引用。
「四月十三日
-略-
啄木にこういう歌があるそうな。
友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひきて妻としたしむ」
やはり、ドイツ的でないものは学問でさえも迫害を受けたという。下「」引用。
「四月二十五日
ひる前学校に行ってNatureをかりてくる。この雑誌は、反ドイツ的だというので図書室からすがたをかくして別室にある。帰ってボームの論文をよむがどうしても判らない。それはそれで判るが、ぼくの計算との関係が判らない。核の振動を弾性体としてやると、考えがクラシカルになって量子論とのつながりがうまくいかない。」
漱石の小説を、物理学よりおもしろいと日記に書いている。
パスカルのパンセなども読まれたようである。永井隆博士も、この本を読んで人生観をかえらたようです。
ベルツの孫という技術家は日本人の血も入っていたという。
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