Bad News...Good luck! 024 雪ふる日に夜に在宅医療、ぜんそくで倒れた永井 「堀さん、やはり、病人が病院に行くよりも、重病な患者のところに行く方がいいですよね」 「それはそうだよなあー。風邪でたいしたことがないのなら、近所の医者に行くのがいいなあー」 堀は一口、コーヒーを飲む。 「永井はぜんそく持ちになってしまったんだ」 「それは無理な仕事をしたからでしょう……」 「そうだと思うよ。ぜんそくは苦しいんだなあー。これが……」 「それは知っていますよ。わたしの母もそうですから……」 「そうか、それならわかるなあー」 「いつも無料でみている、ぜんそくをもっている老人……。でも、自分も同じ、ぜんそくを持っている。寒い冬だ……。こんな冬には、ぜんそくが起こりやすいのは、医師でも患者でも同じだなあー」 「医師でも患者になったら、患者でしょうね」 堀はひょとこみたいな顔をして、笑ってから。 「そうだろうなあー。医師も人間だからなあー。同じ人間だからこそ、ぜんそくを持っている患者の苦しみを感じたってわけだあー」 「自分もそうなんですから……」 「妻のみどりさんは、行ってほしいような気もするし、博士の体のことも心配だったんだなあー」 「だけど、博士は寒さはぜんそくに悪いのを知っているから、できるかぎりの防寒をして診療に出掛けるんだよ」 「大変ですよねえー」 「今の医者のことじゃないよ! 永井隆博士だよ」 堀は高いトーンで話した。 「それはそうでしょうね……。戦争中で食料の事情も悪いんですしょう」 「それもぜんそくには悪いねえー。博士は寒い中を歩いて、いつもの患者を診て、そして「だいじょうぶだよ」とやさしい言葉とともに注射をうつ」 「ぜんそくの薬ってききますよねえー」 「ああ……、そうらしいなあー。それで、じいさんの喜ぶ顔をみて、永井博士はまた寒い道を歩いていく。夜もとっぷりとくれて、真っ暗、雪さえふっている……」 思い浮かべる宮城。 「博士は出がけから心配だった、ぜんそくが起こりそうになってくる。博士はどうしようかと思う。かけこむ所もない。ああ、そうだ、農作業用の小屋があったんだ! そこで、博士は小屋に入っていた……。ぜんそくが起こりませんように……。しかし、ぜんそくが起こり出した……。こんな夜中に、それも家などない、農業用の小屋に寝ている。このまま、死んでしまうのではないか……。永井博士は思っていたそうだ」 ゆっくりと、コーヒーを飲む堀。 「どうしたんですか? 深堀さん!」 「深堀じゃなくって、ここでは堀でいいよ! 話は永井博士にもどって……。そこに提灯をもって、永井博士の妻があらわれた。どうしてわかったんだろうって、永井博士は不思議だったそうだ。永井博士は妻に背負われて、家路につくんだなあー。立派な大和撫子だったんだよなあー。永井博士の妻、だから、博士は後妻ももらわなかったんだろうよ!」
人気blogランキングへ ありがとうございます。 |
最新の画像[もっと見る]
- いい音ってなんだろう-あるピアノ調律師、出会いと体験の人生- 12年前
- 音楽演奏の社会史-よみがえる過去の音楽- 12年前
- AERA ’12.7.16 12年前
- 週刊現代 2012-8-11 12年前
- AERA ’12.7.9 12年前
- 必ず来る!大震災を生き抜くための食事学-3・11東日本大震災あのとき、ほんとうに食べたかったもの- 12年前
- 僕のお父さんは東電の社員です-小中学生たちの白熱議論!3・11と働くことの意味- 12年前
- 日本の原爆-その開発と挫折の道程- 12年前
- エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/13 12年前
- エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/6 12年前