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W杯の思い出:近ツリのねらい

2014年05月24日 | サッカー

※この記事は2000年に執筆したものを転載しています。

W杯の思い出:26時間の続き <目次



 ホテルへ着いたその日、添乗員Mが試合会場となるツールーズスタジアムまでバスで行くと案内した。
 あさっての午後には日本代表VSアルゼンチン代表が戦うサッカーフリークにとっては記念となる会場へ近づき、チケットは持っていないものの気分は高まる。道中、添乗員Mは「チケット入手は厳しい状況です」とか「最悪でも大型スクリーン観戦が可能です」と逃げを打ちはじめている。

 スタジアムに到着すると綺麗に整備された公園風の中州に古いが存在感のある外壁が見えた。周辺には日本人サポータが集まりいやでも決戦ムードが高まる。しかしわがツアーの面々は大人しいのかのん気なのか、スタジアムを背景に記念撮影をしている。

ツールーズのスタジアム。これは試合前日の風景


 兄と私はいざとなればどのフェンスを乗り越えれば突入できるか偵察に忙しく、ほのぼのと記念撮影などしている暇はない。もうこの頃には私たち兄弟には絶対とも言える信念が芽生えており、それは「何があっても観戦する」という単純であり困難な決意であった。

 ツアー一行は再びバスに乗り込みホテルへと戻った。南フランスの片田舎モンタバンにあるアビスホテルは小さいながらも清潔な部屋を用意してくれる落ち着いた感じの宿であった。
 その夜の食事は予定では自前であったが添乗員から「お好きなものを注文ください。ツアーで用意させて頂きます」と案内された。しかも翌日の自由行動は「ボルドーへバスを出しますので無料で日帰りツアーをお楽しみください」と至れり尽せりのサービスを発表している。

ホテルアイビス
とても静かで、庭にはウサギがいた。



 どうも怪しい。どう考えても30人からのこのツアー全員へチケットが行き渡る手配がされているとは思えない。ただ怒りを静める為だけにディナーが用意されオプションツアーが無料になり、ただただ時間が過ぎていくだけのように思える。
 この時確信したのだ。近ツリは時間切れを狙っている。自然死を待っているのだ。








※「アイビスホテル」は、正しくはイビスホテルのようです。ついでに「ツールーズ」はトゥルーズ、「モンタバン」はモントーバンと表記されています、googleでは。
それにしてもわずか十数年でストリートビューを通し現地の様子が見られるようになるなんて隔世の感ですね。


戻る 続く

コメント
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